山の写真集 > 北関東(群馬) > 三壁山・カモシカ平
  • -ニッコウキスゲ咲く盛夏の山-
  • 野反湖-三壁山-カモシカ平-高沢山-エビ山
  • 上州
  • 群馬県
  • 三壁山(1974m), 高沢山(1906m), エビ山(1744m)
  • 2014年7月26日(土)
  • 9.6km
  • 4時間5分
  • 454m(野反湖-三壁山)
  • -
  • 道の駅六合 くつろぎの湯
  • マイカー
天気1

 

2014年7月26日(土) 前夜発
練馬IC 21:50
  関越自動車道
駒寄PA泊
渋川伊香保IC 5:10
  国道353,145号
国道292,405号
7:10   野反湖ロッジ 7:25
7:30   三壁山登山口
7:47   水場
8:30 三壁山 8:40
9:10 分岐
9:25 カモシカ平 10:30
10:50   分岐
10:55 高沢山
11:25 エビ山 11:50
12:15 エビ山南鞍部
12:25   湖岸歩道
12:50   第二キャンプ場
13:05 野反湖ロッジ
  くつろぎの湯立寄り
国道405,292号
国道145,353号
渋川伊香保C 17:00
  関越自動車道
練馬IC 18:30

 

北アルプス縦走を前に、1週くらい山から遠ざかってもよかったのだが、この土日は天気もよいようなのでやはり出かけてしまった。
野反湖(のぞりこ)のニッコウキスゲが今一番いい時期に当たる。一度見てみたかったので、前日発で群馬に向かった。


ニッコウキスゲ咲くカモシカ平

野反湖ロッジから5分ほどで三壁山登山口となる

三壁山登山口

樹林帯を抜ける草原となり、野反湖が見下ろせる

笹原の稜線

三壁山山頂は樹林の中

静かな山頂

草原の稜線にはニガナが多い

ニガナ

カモシカ平への分岐

分岐の導標

カモシカ平は、登山道から南側の傾斜地に大きなニッコウキスゲの群落がある

カモシカ平

シモツケ(カモシカ平)

シモツケ

高沢山から下ると、ノリウツギ咲く開けた草原の道となる。エビ山の緩やかな山頂が見えてくる

開けた草原

エビ山山頂から高沢山方面。左奥にカモシカ平の一角も見える

エビ山

ノハナショウブ(エビ山)

ノハナショウブ

エビ山から八間山を望む

八間山を望む


長野原で国道と分かれ、野反湖・尻焼温泉方面の道に入る。途中で道の駅六合(くに)を通過する。
野反湖は群馬県中之条町にある、ダム発電のための人造湖である。水は信濃川系に注ぐので、関東地区の人にはあまりなじみのないところかもしれないが、周囲の山を含め自然は豊かで、四季を通じて楽しめる景勝の地となっている。湖にボートや船は走っていないので静かで、あまり観光地という感じがないのが、山を歩く者にとっては好ましい存在である。

野反湖ロッジ前の駐車場から歩きはじめる。高いところは、薄雲を割って青空が覗いていた。ニッコウキスゲやノハナショウブをもう目にする。野反湖周辺に咲くニッコウキスゲは「ノゾキキスゲ」と呼ぶそうだが、別に種が異なるわけではない。バンガローの横を登っていくと、三壁(みつかべ)山登山口の標柱が立っていて、ここからが山道になる。
笹と樹林の鬱蒼とした道を行く。背中から暑い日差しを受ける。この登りは東斜面を向いているので、角度的に朝日をもろに受ける。今日は猛暑予想が出ているだけに、早朝の涼しい時間帯に登っておきたかったのだが、これでは早出のメリットがあまりない。日差しは朝から強烈で、樹林帯も関係ない。水場に着くころにはかなり汗をかいてしまっていた。

ダケカンバが多くなり、やがて薄暗い樹林の中に入って少しホッとした。しかしそれも束の間、すぐに広々とした笹原の斜面に出る。ニガナやオトギリソウの黄色い花が足元に目立ちはじめた。またクルマユリも咲く。振り返ると野反湖が雲の下に見えていた。太陽は容赦なく山の斜面を照りつけ、笹の緑がギラギラと光っている。
やがて進む先に、三壁山と思われる緑のピークが見えてきた。緩やかな斜面を辿って再び林の中へ。三壁山山頂は日差しの遮ることのできる場所だった。木陰でしばらく涼む。

腰を上げる。この熱波のせいか、さっきまで青空だったのがいつの間にかガスの稜線になってしまっていた。このあたりは標高1900mを越えていて、エビ山や弁天山と比べるとやはり少し植生が違っている。笹の開けた稜線に出ることもあるが、基本は針葉樹を中心とした樹林帯の中を歩く。
登山道の足触りはよく、歩きづらいギャップはない上、登山道を保護するための木道もない。最近歩く山は、過剰なまでに整備されている登山道か、または自然の姿がむき出しの難路かと両極端なことが多い。今日の山はそのどちらでもない、足に優しい山道である。

笹原や樹林帯の道を下り気味に歩き、少し登り返すと指導標のある分岐に着く。右手の下り坂に入って、今日の目的地のひとつであるカモシカ平に向かう。一面のガスも、歩くにつれだんだんと視界が利き、緑の大きな斜面が見えてきた。周りにはニッコウキスゲやツリガネニンジンなど、高原の花が目立ち始める。一番低いところに標識が見える。あそこがカモシカ平だろう。
そのカモシカ平に着く。一帯が緑の草原で、ニッコウキスゲがあちこちに群落を作っている。ここはニッコウキスゲの群落で知られた地である。

クルマユリ(エビ山南斜面)

クルマユリ

エビ山から下っていくと野反湖が眼下に広がる

野反湖が眼下に

イブキトラノオとノアザミ。エビ山南鞍部から湖岸の遊歩道へ下りる部分は花が多い

イブキトラノオ

ハクサンフウロ(エビ山南鞍部~湖岸の遊歩道間)

ハクサンフウロ

野反湖岸の遊歩道は、伸びやかなシラカバの樹林帯も

シラカバの遊歩道

第二キャンプ場からは、ウッドチップのリヤカー道を歩いて野反湖ロッジへ戻る

リヤカー道を辿る


標識のところからさらに進む道は大高山を経て、以前歩いた志賀高原の山、岩菅山からの尾根道に接続している。ただそこまで行くのには7時間を要するので、あまり歩く人はいないようだ。
ここは一応十字路になっており、右手は水場への標識があるが草深い。踏み跡をたどっていくとマルバダケブキが咲き始めていた。戻って左手の、これまたわかりにくい踏み跡に入っていく。すぐにはっきりとした踏み跡を見い出し進んでいくと、笹の中にぽっかりあいたガレ地に出る。周りにはニッコウキスゲが一面に咲いていた。休憩適地でもあり、腰を下ろしている人が何人かいる。ここがカモシカ平の一番いい場所のようだ。
雰囲気的には大菩薩の狼平や奥秩父の雁峠に似ている。ニッコウキスゲの名所とは言っても、尾瀬のように全国区ではないので、ここはちょっとした穴場的存在かもしれない。
また、今年の野反湖のニッコウキスゲは裏年だそうで、花数が多くないという。しかしそれでも、これだけ咲いていれば不満はない。

今日はガスが濃くて残念だが、晴れていればすばらしい景観が拝めるだろう。さっきまでの暑さを忘れ、写真を撮りながら1時間ほど過ごした。

三壁山からの稜線へ登り返し、そこから5分ほどで高沢山山頂である。樹林に囲まれた地味な場所だが、懐にカモシカ平を隠し持っている山として、野反湖の山の中でも確固たる位置を占めていると言える。
高沢山を過ぎると、緩いながら長い下りとなる。次のエビ山へは標高にして160mを下ることになる。再び笹原の稜線となり暑さがぶり返してきた。猛暑が原因であちこちにガスが湧き立っているが、今日の空は基本的には晴れである。
ノリウツギが白い花をつけている。進行方向にエビ山のたおやかなピークが見えてきた。

少しの登り返しで、エビ山山頂に着く。ここからは展望もよく、正面に八間山など野反湖対岸の山がよく見える。振り返ると、今越えてきた三壁山や高沢山が高い。エビ山山頂はちょっとしたお花畑となっており、ノハナショウブやハクサンフウロ、イブキトラノオなど今までの道では見られなかった夏の花がたくさん咲いていた。登山者も多く行き交い、やはり人気の山である。
2年前の紅葉の野反湖の山もよかったが、夏もまたよしである。

エビ山から野反湖第二キャンプ場へ直接下る予定を変更し、もう少し稜線を歩くことにする。急坂を下っていくとオオバギボウシ、アザミを目にする。1本で6つも7つも花をつけたクルマユリがあった。
正面に見える山は弁天山だ。さっきのエビ山は、甲殻類のエビではなく、えびす様のエビである。えびす様と弁天様に挟まれた道を歩くと、幸運がやってきそうな気がする。鞍部に下り、平坦な道をさらに少し行くと、湖畔への道が分岐していた。周辺にはノリウツギやノハナショウブが咲く。
稜線と分かれ、湖畔に進む道は四方が開け気分がいい。涼しい風が吹いてくれれば最高だが、今日はそれは全くなく、ただ暑い1日で終わりそうだ。でもこの湖畔への道も花いっぱいで、ハクサンフウロ、シモツケ、イブキトラノオなどひっきりなしに咲いている。

T字路を左折し、野反湖キャンプ場への遊歩道に入る。登山者だけでなく、行楽の人も多く歩いている。シラカバ林を抜けるとヤナギランのお花畑があった。暑いけれど景観は最高である。若干の登り返しを経て野反湖第二キャンプ場に着いた。ここからはリヤカー道(キャンプ利用者がリヤカーで荷物を運ぶための道)を辿って、朝出発した駐車場に戻った。

今回の周回で、野反湖周辺の主な山はひと通り登ってしまったことになるが、季節を代えての再訪もしてみたい。また今日のニッコウキスゲも、当たり年のときにもう一度見てみたいものだ。

道の駅六合の温泉「くつろぎの湯」にやっと入れた。前回は満員で入れなかった。ここのお湯は硫黄の香りがとてもいいのでお薦めである。
時間が早いので、今日も渋滞に巻き込まれることなく帰京する。