-望外の紅葉、約束の展望-
タイトル
しらすなやま(2140m)
2009年9月20日(日)晴れ、朝のうち雨
(前日発)練馬IC-[関越自動車道]-駒寄PA(車中泊)-5:20渋川伊香保IC-[国道353、145号]-長野原-[国道292号他]-7:50野反湖8:00-8:20ハンノキ沢出合-8:40地蔵峠-9:40堂岩の泊場9:45-10:10堂岩山-11:20白砂山12:10-12:55堂岩山(分岐)-13:40鞍部-14:20八間山14:50-15:55野反湖-[国道292号他、長英の隠れ湯立ち寄り]-長野原-[国道145、353号]-20:15渋川伊香保IC-[関越自動車道]-23:45練馬IC 歩行時間:6時間30分

マップ
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9月の5連休、いわゆるシルバーウィークだが、山の紅葉がいい時期はもう少し先である。長旅はその時にとっておくことにして、今回は車を使っての前夜発日帰りで済ますことにした。
連休の中日を使うので、帰りは遅くてもかまわない。普段あまり行けないような遠いところまで足を延ばせる。
選んだのは群馬・新潟・長野の3県境に位置する白砂山だ。山域でいえば上信越だが、草津や志賀高原の山と分類する場合もある。紅葉にはまだまだと思っていたので、登ってみてあまりの意外な光景に、驚きの一言だった。


色づき始めた登山道の切り開きから、堂岩山を望む

土曜日の夜出て、駒寄PAで車中泊する。朝起きて外に出ると、涼しいなんてものではない、かなりの冷え込みである。晴れ渡った空に浮かぶ雲も、すでに深秋の趣だ。
渋川伊香保ICで下りて国道をひたすら西進。長野原から高度を上げていき、六合村の道の駅で一休み。六合と書いて「くに」と読む。ここには日帰り温泉のほか、宿泊もできる。帰りに寄ってみよう。

道路に設置されている気温の電光掲示が12℃を示していた。高速を出てから、もう3時間近く走っている。かなり遠い山だ。
ようやく広い台地に出ると、登山口のある野反湖(のぞりこ)が見えてきた。しかし、上空には低い雲が垂れ込めている、しかも強風で車が揺れる。今日は日本全国快晴、朝方の天気からしてもこんなはずはない。
湖畔の駐車場に着くと雨まで降ってきた。ちょっとした台風並みである。上越の山らしいへそ曲がりな天候がここにもあった。

野反湖
真っ赤な葉も
緩やかな森の道

野反湖の登山口には広い駐車場とトイレ、売店があるがそれ以外何もなくどこかさびれた印象だ。ニッコウキスゲ咲く夏の一番いいシーズンが終わってしまったからそう思えるのか。旅館や店の立ち並ぶ富士五湖あたりとは偉い違いだ。
売店の横を通って湖畔に出てみる。ものすごい風で湖面が波立ち、遊歩道のマツムシソウがちぎれんばかりに頭を揺らめかせていた。かと思うと、突然雲が切れ一瞬青空が。忙しい空模様である。
しかしここまで来てすごすごと帰るわけにはいかない。幸い、雲の流れははやく時折青空ものぞく。フリースを着て帽子を深くかぶり、出発することにした。

緩い登り道からいったんハンノキ沢に下り、木の橋を渡る。日が差して沢筋をまぶしく照らす。細かい雨がまだ落ちてきている。
ダケカンバの多い樹林帯は密でなく、木の間から稜線が見える。しかし後から後から湧いてくる雲で空は真っ白。風もまだ強い。
ウルシだろうか、真っ赤に色づいた葉も目につく。ここのところの冷え込みにより、紅葉が進んでいるのかもしれない。天気が悪く眺めが楽しめそうにない代わりに、紅葉が期待できるかもしれないとの思いが湧く。

右に上がる道が分かれていて、「白砂→」と書かれた棒っきれが立っていたのでそれに従う。見逃さなくてよかった。
少しきつめの登りののち、今度はちゃんとした指導標の立つ場所に来る。地蔵峠である。左に下り気味に行くの道は、切明温泉、和山温泉を経て秋山郷に至る長い道だ。上は白砂山だが、右からもう一本の道が合わさってここは十字路になっている。
しばしの急登を経て、見通しのよい場所に出た。少し先に見えるピークは笹の緑がきれいだ。方角からするとおそらく、今から登る堂岩山だろう。ちょっと大菩薩嶺に似ている。
もう雨は止んだ。部分的に青空も見えてきたが、野反湖のほうはいまだ雲に覆われている。

赤く結実
白砂山が見えた
早くも草紅葉のピーク

落葉樹の穏やかな道が続く。登山道というより、昔から歩かれてきたような生活の道といった風情がある。

高度を上げるに従ってだんだんと林相も変わり、針葉樹が目立ってくる。急坂になり、木の根の出た斜面を一歩一歩登る。夫婦が1組、休憩していた。
急坂が一段落したところは、ちょっとした広場になっている。水場も近いようで、ここは堂岩の泊場と呼ばれる場所らしい。
野反湖方面の眺めが開け、数名の登山者がいた。歩き始めは人に会わなかったので、みんな朝の風雨で諦めて帰ってしまったのかと思うくらいだった。

堂岩の泊場からは急登が始まる。相前後して7,8名の登山者が並ぶように登る。
なだらかになったところはまだ樹林の中だが、裏側に回りこむように進むとだんだんと眺めが開け、樹林が切れた場所からは、笹のたおやかな稜線とその先の大きな山体を望むことができた。あれが白砂山だろう。初めての対面だ。しかもその稜線は赤やオレンジ、黄色に彩られていた。
9月中下旬は、普通ならせいぜい北海道や北アルプス立山あたりで紅葉が見頃になるくらいだ。甲信越の山でこんな色づきが見られるとは信じられない。栗駒山頂上でさえも9月最終週から10月初旬である。

堂岩山(2051m)の標柱から先はやや下るが、ここからは森林限界であり、笹とハイマツ、低潅木の中の眺めいい尾根歩きとなる。八間山への分岐を過ぎてからはさらなる好展望稜線の最後に白砂山がおいでと招いている。
ハイマツの緑にナナカマドなどの赤、ミネカエデのオレンジ色。ちょっと栗駒山と雰囲気が似ている。

雲はまだ流れてくるが、天気はよい方向に向かっているのは疑いない。
周囲の山もよく見え、東方に榛名山、西に志賀高原の山が望めるが、山座同定は山頂についてからゆっくりとやることにしよう。



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