山の写真集 > 北関東(栃木・茨城) > 大倉山・三倉山
  • -会津中街道から花と展望の稜線へ-
  • 大峠林道-大峠-流石山-大倉山-三倉山
  • 那須
  • 福島県
  • 大峠山(1760m),流石山(1813m),大倉山(1885m),三倉山(1888m)
  • 2013年8月10日(土)
  • 12.0km
  • 5時間
  • 579m(大峠林道-三倉山)
  • -
  • 弥五島温泉 郷の湯
  • マイカー
天気

 

地図
2013年8月10日(土)前夜発
富ヶ谷IC 20:40
  首都高
東北自動車道
上河内SA泊
白河IC 6:10
  国道289号,林道大峠線
駐車スペース 8:05
8:15   大峠林道終点
8:25   鏡ヶ沼分岐
8:50 大峠 8:55
9:30 大峠山 9:40
9:55 流石山
10:45 大倉山 10:55
11:20 三倉山 11:50
12:15 大倉山
13:00   流石山 13:10
13:55 大峠 14:05
14:25 大峠林道終点
14:35 駐車スペース 14:50
  林道大峠線,国道121号他
弥五島温泉立寄り
18:30 西那須野塩原IC
  東北自動車道
首都高
20:50 目黒IC

 

那須連峰の福島県に張り出した山域を奥那須というそうだ。前回三斗小屋温泉から三本槍に登った際、大峠から反対側の尾根におおらかな山稜が伸びていて、歩いてみたい気になった。
会津若松から野際新田を通り大峠~三斗小屋宿(温泉ではない)を越えていく道は、古くは「会津中街道」と呼ばれ、江戸時代から明治にかけて、大名の参勤交代に使われたり、会津と関東(下野)を結ぶ交易路として賑わいを見せ、歴史的にも重要な街道だった。松川街道とも呼ばれる。
今回は車利用で、その街道に通された大峠林道を終点まで入り、大峠に上がってから三倉山までの往復コースを歩いた。

流石山から大倉山、三倉山にかけての尾根道には特に決まった名前のようなものはない。しかし一帯は伸びやかな高原となっており高山植物の宝庫らしい。
山大きく谷深いその稜線は「ミニ飯豊」とも呼ばれている。まさに穴場的存在である。


流石山から大倉山に続くスケールの大きな稜線

大峠林道の駐車スペース。ここから先は車の進入を遠慮してほしい、との看板あり

駐車スペース

鏡ヶ沼方面に続く草深い旧道が、林道と交差している。おじさんが草を刈っていた

草深い旧道

会津中街道の面影を残す、一里塚の石標

会津街道の面影

大峠から大峠山、流石山への斜面を見上げる

大峠へ

ヒメシャジン(大峠山への登り)

ヒメシャジン

オオバギボウシは、他の山域で見るよりも色が濃く、花開いているものが多かった

オオバギボウシ

東北自動車道を白河ICで下り国道289号を西へ進む。途中で甲子温泉に通ずる道と交差する。
天気予報とはうらはらに、雲の多い空。那須連峰もぼんやり見えるだけだ。国道から大峠林道に入る道がわからず、30分ほど時間をロスした。道の駅下郷から観音沼に下りていくルートがわかりやすかった。

緑がきれいな森の中に林道は通じている。初めのうちは道幅は狭いながらも舗装されていたが、途中で石ガラガラのデコボコ道となる。パンクでもすると大変だ。幸い悪路の距離は短く、徐行運転で林道終点近くの駐車スペースに着いた。ここから先は車の進入は遠慮して下さい、との看板がある。すでに車が5台ほど停まっていた。なおも石の突き出た林道を歩いていく。水が流れているところもあるが、平坦で道幅は広い。
車止めのある林道終点に、軽トラから地元のおじさんが鎌を持って出てきた。旧道の草刈りにときどきやって来ると言う。
会津中街道は、一般には現在登山者が歩いている大峠に直接上がる登山道を言うのだが、それとは別に、林道を交差する草深い踏み跡も見い出せる。おじさんによるとこれが旧道、すなわち本来の街道だとのこと。注意深く見ると、林道の両側に古ぼけた白いプレートがかかっていて道であることを示しているが、目立たないのでほとんどの人は気づかずに通りすぎるだろう。おじさんは草を刈りながら、ぜひこの旧道を歩いてほしいと言っていた。

鏡ヶ沼への道が分岐したところから本格的な山道となる。「一里塚」の石標を見て、少しぬかるんだ笹の中の道は、だんだんと傾斜が増してくる。急登もあるが、ダケカンバなど樹林も豊かで歩き心地はいい。ところどころでショートカットの踏み跡がある。登山口から30分ほどで大峠に上がれた。
前方に三斗小屋温泉に下る道と、左の尾根は三本槍岳、右は流石山から大倉山・三倉山。茶臼岳も正面に大きい。大峠は眺めも素晴らしいし峠らしい峠だ。ハクサンフウロがたくさん咲き、さわやかな高原の趣だが、いかんせん天気が悪い。福島側から大きな雲がやってきた。今日はこんなに天気が悪いとは思わなかった。しかも湿度が高いのか、ここまでで汗を大量にかいている。
三本槍に行く登山者と挨拶し、いよいよ流石山への長い斜面に取り付く。

流石山付近の南斜面はお花畑となっていた

斜面はお花畑

どこまでもなだらかな山稜が続く

大きな稜線

三倉山はこの稜線の最高点

三倉山

三倉山から南方の1854mピークは端正な三角形。ここから南西に男鹿山塊への稜線が伸びている

端正な三角形

キスゲ小沼越しに沼原の池がぼんやりと見えた

沼原が見える

ミヤマシシウド

ミヤマシシウド

国道121号沿いにある日帰り入浴施設、弥五島温泉「郷の湯」。石鹸やシャンプーは要持参だが料金300円で源泉かけ流しである。会津鉄道の同名駅からも徒歩3分くらいと近い

弥五島温泉

タテヤマウツボグサ、シモツケソウ、ヒメシャジン、シシウドとすでに百花繚乱だ。ハマハハコやマルバダケブキも。そして一番目につくのはオオバギボウシだろうか、他の山域で見るのと比べてとても濃い紫色をしている。
この斜面は初夏ならばニッコウキスゲが満開になるそうで、このときもたくさんの咲き終わりの結実が見られた。しかし、蒸すように暑い。まだ1時間くらいしか歩いていないのに、Tシャツが絞れば滴り落ちるほどの汗を吸い込んでいる。
振り返ると三本槍岳がガスに隠されようとしていた。茶臼岳や朝日岳も霞んでいる。

直線状のきつい登りももう一息のところまできた。斜度が緩むと尾根の肩のようなところに小さな空間があった。ここが大峠山だろうか。汗でびしょびしょのシャツを着替える。
この日は関東甲信で40度近い猛暑の日だったそうで、さすがに山の上の高原地でも涼しいとは言えなかった。大峠は標高1500mに届かないので、20度台後半にはなっていただろう。これでは汗も止まらない。

この先は大きな登りもなく、高原状の大きな稜線が続いている。「広い」というよりも「大きい」と言ったほうが合っている。「ミニ飯豊」と呼ばれるのもうなずける。緩やかに登り下りして流石山山頂に着く。ガスがかかり残念ながら眺めはない。ここは好天であれば、それこそ大パノラマの眺めであろう。

いったん下り気味に草付の稜線を進む。左手は広大な斜面、深い谷の先に茶臼岳方面がわずかに望める。花がここもいっぱい咲く。キスゲ小沼は小さな水溜りのようなところ。そのすぐ先に、もう少し大きな五葉ノ泉があった。オトギリソウが群落をなす。
次の大倉山はちょっとした登りになる。とにかく蒸し暑く、着替えたシャツももう汗まみれ。あまりに暑いと内臓にも影響するなるのか、さっきから胃がシクシクと痛む。
下郷町の標柱の立つ大倉山は笹とハイマツに覆われ、ここだけが眺めがよくない。流石山へ1時間というのは今まで歩いてきたのでわかるが、三倉山までも1時間というのはそんなにかかるものなのか。

ちょっと休憩して胃薬を服用する。霧雨も少し落ちてきた。少し下って登り返す。次のピークは南西側に男鹿岳方面への稜線が派生している。
なお、この一帯の山名は混乱していて、大倉山の位置が地図や登山ガイドによって様々である。また、昔の国土地理院の地形図では大倉山と三倉山の位置が逆だったという。これは、麓の下郷町と黒磯市の見解が相違しているためとのことだ。

突然、前方に青空と太陽が登場。日差しが出ると暑くなるが、今までの蒸し暑さとは違う。ガスが切れ始めて三倉山の山体が目の前に現れる。少し下草の深い登りを経て三倉山に着く。
祠がある小広い山頂は開放的で居心地がよく、雲の間から少しだけ展望が得られた。この先は三倉山北峰~唐沢山を経て音金という登山口に下るコースがあるが、急坂で難路とのことだ。山頂に居合わせた地元の人によると、先日も足をくじいた人がいたと言う。
熊の目撃情報も多いこの音金コースを使えるとほぼ一周ルートとなり充実する(ただし大峠林道の登山口に容易に戻れるのかは定かでない)のだが、ほとんどの人が自分と同じ、大峠からのピストンを選ぶとのことだ。

帰路、天候はやや持ち直し、次のピークからの男鹿山塊への稜線や那須岳方面の展望が得られた。
きつい登りがなく、それこそ飯豊連峰の北股岳から門内岳間を思い起こさせるような、スケールの大きな稜線である。それでも今日は汗をかきすぎるなど体調がいまひとつだったため、流石山への登り返しは少々きつかった。

大峠山からは、はるか下の大峠目指しての下りとなる。下りてしまうのがもったいなかったので、途中の斜面で休憩をとりながらゆっくり下った。
大峠でようやく天候が回復してきた。タイミングが遅すぎる。地元、会津田島在住の人と言葉を交わす。天気予報を信じて茶臼、朝日、三本槍と縦走してきたとのことだ。
この近くに温泉がないかと尋ねたら、弥五島(やごしま)温泉を教えてくれた。大峠林道からの往復の場合、下山地に意外と温泉が見つからないのである。その地元の方は、以前東京に住んでいたころ山に夢中になり、田島に移ってからは近くの山に入り浸っているという。流石山に登る斜面にはヒメサユリも咲くと言う。まさにミニ飯豊である。

今日は返す返すも天気が残念だった。この山はピストンコースであっても、再訪する価値がある。紅葉もよさそうである。
那須連山は狭いエリアであるけれども、観光地として開けた表那須、甲子温泉方面の裏那須、そしてこの奥那須とそれぞれ違った味わいがあって、なかなか奥深い山域である。

林道の駐車スペースに戻って車で林道を下り、養樽公園駅近くで国道121号に出る。弥五島温泉「郷の湯」はそこから10分ほどの国道沿いにあった。料金は300円で混んでもおらず、かけ流しである。いい温泉を教えてもらった。
帰京はいつもの会津山行の帰りと同じく、塩原温泉経由で西那須野ICから東北自動車道に乗る。