~アカヤシオの花笠を纏う岩峰~ かさまるやま(1189m) 2008年4月29日(祝)晴れ
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アカヤシオツツジを見に今年も西上州の山を訪ねた。西上州は昨年の天狗岩~烏帽子岳、それ以前に黒滝山や立岩でアカヤシオを見ている。 しかし西上州でツツジの山と言えば、何といっても上野村の笠丸山だ。6年前、紅葉の時期に登っている。春になるとミツバ・アカヤシオ・ヒカゲ・トウゴクミツバと季節の進むのに合わせ、さまざまな種のツツジが咲きつながれていくそうである。 ここ数年、どこの山域もツツジの花の付きがよくなかったが、今年はなかなかいいようだ。車を利用し、南牧村の毛無岩と合わせて登ることにした。 当初、人気の笠丸山は平日の2日目に回し、1日目(昭和の日)は毛無岩に登るつもりでいた。しかし寝不足で出発が遅れたため、1日目は距離の短いほうに変更した。休日で駐車場の確保など不安な面はあるが、行ってみないとわからない。
上信越道を下仁田ICで下り、道の駅で休憩。周囲の山は新緑色だが空はどんよりした雲に覆われている。 南牧村に入り、昨年バスでくぐった湯ノ沢トンネルを、今日は車で越え上野村に出る。一面もえぎ色の山々。 国道を経て細道に入る。今日泊まる予定の不二野家を確認し笠丸林道を上がる。見上げる笠丸山も新緑で輝いている。紅葉もよいが西上州の山はやっぱり春が似合う。 住居附(すもうずく)集落に入ると林道脇にたくさんの車の列。停められる場所を求めるうち、集落や登山口を過ぎて、林道のかなり上のほうまで行ってしまった。 駐車スペースから登山口まで下り、山道に入る。地蔵峠までは広葉樹の中の緩やかな登りだ。
明るさに満ち溢れた登山道で、ハシリドコロ、ネコノメソウ、エイザンスミレ、ヤマエンゴサク、ニリンソウと春の花がいっぱい咲く。流れる沢の水もどことなく温かみがある。 今日の登山者は皆、周りを見渡しながら急ぐことなく、かみしめるように登っている。自分も今日は寝不足気味なので、努めてゆっくりペースで行く。 岩壁を見上げるとアカヤシオがたくさん付いている。 地蔵峠で塩ノ沢方面への道を分ける。山頂へは左の潅木の尾根を登る。アカヤシオが現れ、登るほどに花の数はどんどん増えてくる。 いったん鞍部に下って見上げると、笠丸山の山頂部に人が何人も立っているのが見える。やはり混雑してそうだ。 登り返しではアカヤシオのトンネルをくぐる。これほどの満開のアカヤシオを見るのは初めてだ。まるで桜が咲いているような花の付き方である。 ロープのかかった急坂を上ると南峰・北峰の間にあるコルだ。ここから見る笠丸山北峰は文字通り、アカヤシオの花笠をかぶった艶やかな山だった。
岩場を乗り越え、展望ぐるっと360度の笠丸山頂上へ。春らしい霞んだ大気に覆われ眺めはいまひとつだが、両神山や天丸山のゴツゴツのシルエット、二子山の怪異な姿が印象的だ。 滞頂する人の数もすごい。狭いが30名くらいはいるだろう。しかも後から20名の団体さんが登ってきた。座る場所がないのでコル付近でスペースが空くのを待っている様子だ。 アカヤシオだけではない。ヒカゲツツジもここ北峰に多く咲いている。しかもすぐ目の前で見られる。ヒカゲツツジは岩場の急斜面に外を向いて咲いていることが多いので、写真を撮るのも大変なことが多い。 笠丸山はヒカゲツツジをじっくり観察するのにいい場所だ。 後がつかえているので、そろそろ下山とする。南峰のほうもヒカゲツツジがたくさん花をつけていた。 南登山口までの下りは、最初はかなりきつい急坂である。芽吹き前の広葉樹林の中どんどん高度を落としていくと、淡い新緑が復活してくる。登山口からの標高差が400m程度しかなくても、今の時期は芽吹きや新緑の進み具合が下と上とでずいぶん違う。 登山口のある住居附集落は桜やツツジ、桃の花、軒先の草花などが色とりどりに咲きほこり、周囲の新緑とマッチして、まさに春爛漫の桃源郷といったところだ。 住んでいる人はみなお年寄りばかりなのであろう。それでも、例えが変だがカラーコーディネイトのセンスを感じる。こんな素晴らしい景観の山里を演出してくれて、ありがとうとお礼を言いたい。
焼肉と鍋用の両方あり、熊肉の鍋のほうは脂身だった。熊肉は初めて食べたが、柔らかくてほんのり甘味がある。猟師で山岳ガイドでもある宿のご主人が自ら撃ったものだそうだ。100kgの熊1頭から通常60kgの肉が取れるそうである。熊の肉を食べられる宿はこのへんではここしかないそうだ。 藤岡の地酒「巌」を飲みながら上野村の話をいろいろ聞く。 夜8時に床に入る。10時間寝て、慢性的に続いていた寝不足がようやく解消した。 |