~浅間山の展望台、深秋の似合う山~
タイトル
はなまがりやま(1655m)、
つのおちやま(1393m)
2005年10月23日(日) 晴れ

5:24赤羽駅-[高崎線]-6:54高崎駅6:56-[信越線]-7:29横川駅8:40-[JRバス]-9:14軽井沢9:25-[草軽バス]-9:43長日向9:45-10:25林道-10:45鼻曲峠分岐-11:10鼻曲山11:55-13:10鼻曲・角落山分岐-13:30鼻曲山登山口-13:45きりづみ館(泊)歩行時間:3時間15分

マップ
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紅葉の登路
紅葉の登路
浅間山をバックに記念写真
浅間山をバックに記念写真
真っ白になった谷川連峰
真っ白になった谷川連峰
●上信の展望台と素朴な山の湯 (長日向~鼻曲山~きりづみ館)
別荘地を過ぎて、しばらくは幅広の林道(未舗装)を緩く上がる。小瀬温泉からの道を合わせると少し山道っぽくなるが、まだ車が通れるような道幅だ。
この長日向からの道は「おとめコース」と名付けられていて、標高差も小さく穏やかな登路だ。周囲はカラマツが多いが紅葉には早い。

やがて眺めが開け、もう一度林道と交差する。振り返ると浅間山が少しだけ頭を見せている。360度展望と言われる鼻曲山へ気持ちがはやる。
ここからは本当の登山道。笹の茂る細い道が始まるが急登ではない。正面に碓氷峠から上がってくる尾根が見えてくると、だんだんと周囲の木々も色づき始める。上のほうでは風がビュービューいっている。
分岐に着くが、鼻曲峠に直接至る道は崩壊のため通行禁止。ここから鼻曲山への直登となる。きついが気持ちの入る登りだ。
急登は長く続かず、稜線に上がったようだ。笹と頭上の紅葉とのコントラストがいい。しかし昨日の風雨のせいか、すでに葉を落とした木も多い。
樹林の背が低くなり、浅間山がみるみるせり上がってくる。補助ロープついたザレ場を直登すると、鼻曲山西峰(小天狗)である。風が強いが大展望が待っていた。

期待にたがわず、真正面に白い帽子をかぶった浅間山が大きい。新雪だから白というよりも銀色に輝いて見える。
鼻曲山頂上(大天狗)
鼻曲山頂上(大天狗)
トンガリ山の角落山
トンガリ山の角落山

先ほどバスから見たときより雪の量はやや少なくなっているが、これは本当に素晴らしい眺め。釘付けになるとはまさにこのことだ。
若干樹木にさえぎられるがほぼ360度の展望である。四阿山、妙高山、草津白根山、谷川連峰の仙ノ倉山など軒並み白くなっている。今年5月に榛名の水沢山で、同じ様に上信越の白い峰々を眺めたが、あれから季節は巡ったのだと実感する。
そして浅間山の右奥には北アルプス・鹿島槍や五竜岳も望める。やはり白いラインが引かれている。

北側だけでない。南方の展望も広く八ヶ岳、奥秩父の隣りに何と富士山の頭も見えている。左方には雲取山もみえているだろう。手前には西上州や妙義山の特徴ある姿も見れる。ここからだと見下ろす、といったほうがいい。

山頂はたちまち人で一杯になる。周りをぐるっと見渡して、皆口々に「すごい、すごい」と言う。何度か来ているのだろうか、今日初めて浅間山を見れたと言う人もいる。
この山は霧積山塊の一角と言われていたこともあったようで、霧に包まれることの多い山のようだ。今日初めて来て、これほどの展望を拝めた自分は運がいいということだろう。
きりづみ館
きりづみ館

その後も、子供やご老人など後から後から登って来る。鼻曲山の本来の頂上、東峰(大天狗)に歩を進める。ここで休憩している人も多い。樹林が多いが東側の眺めが得られる。
紅葉と落ち葉豊かな道を下る。留夫山方面への道を分け高度をどんどん落とす。
時々ロープのかかった急斜面もあるが総じてなだらかな広い尾根で、ランチタイムにしているグループをあちこちで見かける。しかし紅葉の色付きはやはり今ひとつだ。ここでも暖かい秋の影響が出ているのか。
東方面に、明日登る予定の角落山の尖峰を見る。八重歯を逆さにして突き立てたような特異な形をしている。

道は稜線の少し下側につけられ、足元に笹が生える道は奥多摩・長沢背稜の雰囲気を思わせる。落ち葉をカサカサ鳴らして歩くのがよく似合う、心洗われる山道だ。葉を落とした晩秋に歩くのが展望も効いて最適だろう。
麦わら帽子
麦わら帽子
六角形の湯館
六角形の湯殿

途中で尾根を乗っ越し、北側に登山道は移る。振り返ると樹間から鼻曲山の特徴ある山容が見上げられる。まさに名は体を表す、だ。
角落山方面への道を分けて霧積温泉へ下る。林道に出てさらにジグザグ道を15分ほど下ると「きりづみ館」にたどり着く。水車の回る、落ち着いた造りの宿だ。

霧積温泉は、森村誠一の「人間の証明」で有名になった「母さん、あの帽子どうしたでしょうね」で始まる西条八十の詩が詠まれた場所で知られている。風に飛ばされた麦わら帽子は、ここ霧積山地の谷のどこかに落ちているはずなのである。
他にも多くの明治時代の著名人が泊まった由緒ある宿とのことである。

ご主人夫婦は何となく愛想のない、とっつきにくい感じ。自分が何か失礼なことをしたのかな、と思ってしまうほどだ。山奥の宿はそんなものなのかもしれない。

明ばん重炭酸土類を含んだ温泉は独特の甘い香りがしてとてもいい。建物も風呂も六角形の形をしていて、どこか明治時代に建てられた西洋建築の雰囲気がある。
「初秋の霧積山の石の亭 六方のまど霧にふさがる 与謝野晶子」
__________きりづみ館は2012年をもって閉館した


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