2016年8月13日(土) 前夜着 | |||
◇ | 鳥居峠/林道終点駐車場 | 5:35 | |
5:55 | 稜線 | ◇ | |
6:20 | 花童子宮跡 | 6:30 | |
7:17 | 古永井分岐 | 7:22 | |
8:15 | 根子岳分岐 | ◇ | |
8:25 | 四阿山 | 9:10 | |
9:40 | 嬬恋清水 | ◇ | |
10:40 | 古永井分岐 | 10:50 | |
11:15 | 的岩 | 11:20 | |
11:40 | 鳥居峠/林道終点駐車場 | 11:58 | |
国道144号 つつじの湯立寄り 県道235号, 国道146, 18号 |
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16:05 | 松井田妙義IC | ◇ | |
上信越自動車道 関越自動車道 |
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19:05 | 練馬IC | ◇ |
四阿山(あずまやさん)は菅平高原から登ったことがあり、秋深まった時期にもかかわらずたくさんの高山植物が見られたことが印象に残っている。2度目の訪問は群馬・長野県境にある鳥居峠からのルートを取ってみる。
花童子宮跡のお花畑 |
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日も落ちかける中を、車で鳥居峠まで上がる。以前通過した時は、峠付近に店か何かがあったと思うのだが、いまは駐車スペースがあるだけ。店は廃業したようだ。
鳥居峠からさらに林道を3キロほど。林道終点の登山口には、この時間だともちろん誰もいない。今日はここで車中泊する。
翌朝起きて外に出ると、朝もやが辺りを覆っている。久しぶりによく寝られた。
ここからの登路は花童子(げどうじ)コースと的岩コースの2つがあり、前者を選ぶ。カラマツ林を登っていくと稜線に出て、以降は緩やかな登りとなる。もやを通して朝日が柔らかく差し込み、幻想的な雰囲気だ。
すぐにあずまやのある小広い場所に出る。マツムシソウが咲いていたが、まだ花童子宮跡ではないようだ。
なおも登ると視界が開け、左手の山稜が見えてきた。あずまやがあるのでここが花童子宮跡だろう。
マツムシソウがさらにたくさん咲いており、ノアザミ、ハクサンフウロ、カワラナデシコ、コウリンカ、ハクサンボウフウ、ツリガネニンジンなどちょっとしたお花畑になっている。初夏であればニッコウキスゲも見られるそうで、短い夏の間に様々な種類の花が咲き継がれるようだ。
尾根通しに辿り、方向が左に変わる。ところどころで祠を見かけるのは、昔の参道の名残であろうか。コメツガの樹林帯はしっとりとして落ち着く。空模様は思ったほど好転せず、次の開けた岩角の地はガスの中だった。ただ進む方向、すなわち山頂方面の空は青いので、これ以上悪くなることはないだろう。
立派なホツツジの木があって、たわわに花をつけていた。
鳥居峠からのもう一つのルート、的岩からの道を合わせる(古永井分岐)。ここにもあずまやが立ち、いい休憩場所だ。マツムシソウはここでもたくさん見られる。昨日歩いた横手山・志賀山では、マツムシソウは横手山山頂ヒュッテ付近(おそらく植えたもの?)にしか見られなかった。今日見る高山植物は昨日と全く顔ぶれが違うのが面白い。距離的にはそれほど離れていないのに不思議である。
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小さなピークを越えると再び開けたガレ場状の尾根の背に出る。ヤマハハコ、キオン、イブキジャコウソウ、ウスユキソウ、ミヤマコウゾリナ、ウメバチソウと形とりどり、色とりどりの高山植物が咲き競っている。さすが四阿山は花の山である。欲を言えば天気がもう少し良くなってほしい。
水場への道を見送り、さらに登高していく。四阿高原から登ってくる道を合わせるとほどなく、根子岳からの稜線に出る。雲が多いながらも、上はやはり晴れていた。
木道をひと登りで四阿山神社の社を見て、その先が四阿山の山頂である。山頂にも社があり、2つの社は向きが違う。これは上州と信州、それぞれの信者のための配慮ということだ。山頂には、こんな早い時間に10名ほどの若いグループが先着していたが、じき下山していった。
頭上は青空で太陽もあるが、360度のパノラマ展望はほとんどが雲海で、山並みが見えない。わずかに尾根続きの根子岳が見えるくらいで、南面は青と白だけの世界である。こういうのも珍しいが、過去には日光白根山で似た眺めを見ていた。昨日登った横手山を確認したかったが残念だ。
それでも山頂は暑すぎず寒すぎず、涼風がそよぎ実に気持ちがいい。ここに1日いれば夏バテも体調不良も吹っ飛ぶだろう。社の屋根でTシャツを乾かせてもらいながら、一段高い石の上で長い休息をとる。
山頂も次第に混んできたので、下山とする。雲海が途切れ始め、根子岳の全体が見えるようになった。稜線分岐からその根子岳方面の道に、少し入ってみる。登山者が次々とやって来る。やはり鳥居峠コースよりも根子岳経由の方がよく歩かれている。
分岐に戻り、登ってきた道を下る。水場に立ち寄る。広々とした笹の斜面をなぞっていくと「嬬恋清水」である。標高2179mは関東地方で最高所の「湧水」で、年間を通して枯れることがないそうだ。冷たくておいしい水だった。
ガレ場の尾根で休憩しているうち、雲がみるみる切れていき、展望の地に様変わりした。湯ノ丸山の後ろで雲を被っているのは浅間山か。日も照ってきて急に暖かくなる。
あずまやの分岐から的岩コースに入る。こちらもところどころで眺めがある。展望を楽しむなら根子岳コースに軍配が上がるが、鳥居峠コースも眺めのいいところは多い。花も多く、マツムシソウは今日は全域で見られた。南関東・甲信の山はマツムシソウが激減しているが、四阿山はまだたくさんある。
高度を落とし林相が針葉樹から広葉樹に変わっていくと、的岩が現れた。目の前にしてびっくり、まるで要塞である。人が作ったものと言われても納得してしまう、壁のような一枚岩だった。「この岩には登らないでください」との注意書きがある。
古い登山地図には、的岩から南下して的岩山というピークに至る破線が書かれているが、見たところ踏み跡は的岩で終わっており、この先行き止まりの表示もあった。
カラマツの樹林帯に入ると傾斜は緩やかになり、そのまま林道終点登山口まで行き着いた。距離は短かったが見所がたくさんあり、楽しめるコースだった。鳥居峠まで車で戻り、行きがけに見つけていた「つつじの湯」に立ち寄っていく。昨日の硯川温泉同様、ここも緑色がかったにごり湯で、やわらかいいいお湯だった。
お盆の帰省客で高速は混んでいるようだが、ぼちぼち東京へ帰ることにしよう。
上信越道までは軽井沢の別荘地を抜けていくようカーナビ設定されていた。碁盤のように張り巡らされた都市のような中軽井沢の道は車が多く、あちこちで渋滞にはまる。しかも普段こういう山の中では見かけないような黒塗りの高級車が何台も、狭い道路を行き交っている。さすが日本有数のリゾート地である。ただし、山の帰り道としては遠慮したかったルートではある。
一般道で碓氷峠を越え、ようやく松井田妙義インターへ。以後も渋滞の連続だったが、我慢強く帰る。