~展望と変化に富む加賀の霊山~ いおうぜん(896m) 2004年5月1日(土)曇り後晴れ 見上峠-白兀山-大沼-見上峠 |
医王山スポーツセンターでバスを下りると、前方に医王山の山塊が目に入る。 しかし気圧の谷が通ったすぐ後らしく、山頂部は雲の帯に隠されている。登っていくうちに晴れるだろうと思った。 10分ほどで見上峠登山口となる。出だしから新緑の瑞々しい山道だ。イカリソウやスミレが道脇に多く咲く。 中部山岳の山々を中心にして、この地は東京周辺の山とちょうど反対側にあたるが、標高が同程度なら新緑の時期はほぼ同じと見ていいだろう。
一般には、西尾平まで車で上がってしまうことが多いようで、このあたりはヤブがちで歩きにくい部分もある。U字状にえぐられた箇所も多い。 医王の里キャンプ場に出ると大きなオートキャンプのテントがいくつも張られている。その後車道と山道を入ったり出たりで眺めのよい西尾平、スミレとショウジョウバカマの道がずっと続いている。 新緑に包まれた森の道を進み、しがらくびと言う峠に出る。ここで再び車道に下りて山頂付近の状態を確認する。まだガスがかかっている。
しがらくびから、ようやく山らしい登り道となる。 眺めの効く新緑の樹林帯の中、ミツバツツジの紫色が鮮やかに映える。東京周辺のに比べて色が濃い。さっきまで間断なく咲いていたスミレもきれいな明るい紫をしていた。 やがて植生が変わり、周囲に高い木もなくなって来た。視界が開けるが、すでにガスの中に入ってしまい山々の眺めはない。 鳶岩への分岐で1人とすれ違う。分岐のほうの道は雪が残っていると言う。 分岐からさらに上がるとすぐに小兀(こはげ)の展望地に出る。ガス一色の眺めで残念。 笹の登りをさらに5分ほどで白兀山(しろはげやま)に到達する。一般にここを医王山頂上と呼んでいる。櫓があり天気がよければ白山や北アルプス、金沢市の眺めが素晴らしいとのことなのだが、何とも悔しい展望ゼロの頂上であった。 頂上に居合わせた夫婦の会話を聞いて愕然とする。明日行くつもりの富士写ガ岳に2日前に登ったが、シャクナゲは裏年とのことで全く咲いていなかったらしい。 展望が自慢の山でガスに巻かれ、シャクナゲ目当てで登った山でシャクナゲが見れないとなると、はるばる遠路まで来た甲斐がない。 このまま奥医王山への縦走路に行くつもりでいたが残雪があり、雨もバラバラと降ってきたので何となく臆してしまう。一方、大沼(おおいけ)にも行ってみたかったので、いったんしがらくびに戻って鳶岩・大沼方面に向かうことにした。
しがらくびから北に伸びる林道に入る。休憩所のある覗(のぞき)を過ぎて再び山道になる。ピンクのイワウチワが、もう終期近いがかわいい花をつけている。 鳶岩への道を分け、樹林帯の下りに入る。沢が近づきサンカヨウやキクザキイチゲが咲くのを見る。 大沼のほとりに出るが、周囲は依然としてガスに覆われ鳶岩すらも見れない。この池にはサンショウウオが住んでいるとのことであったが確認できず。 昼食を済ませて再び、来た道を登り返す。天気がよければ直接鳶岩を登るのも面白かった。 しがらくびに戻ると、上部は青空に変わっている。おとなしく下る案はボツとなり、もう一度白兀山に登ることにした。 途中の小兀も先ほどとは様変わりで展望の地に。しかしここは歩を進めとりあえず頂上へ。 櫓に上がってしばらくすると、粘った甲斐ありで白山がうっすらと望めた。また白兀山から湾曲して伸びる奥医王山への稜線も眺められ、この山塊のスケールが感じられる。 展望が得られてほっと一安心、小兀まで戻ってゆっくり展望を満喫した。
下りはちょっと回り道し、残雪のあるという道に入る。昨年の神室山の残雪の登りを少し思い出したが通行困難というほどではない。再び覗・しがらくびと回った後スポーツセンターに戻る。 大きい山ではあるが車道が発達し、人もそこそこいたので深山の趣はなかったが、再訪したい印象を強く持った山であった。歩き残した奥医王山→栃尾への縦走、鳶岩の登りも次に挑戦したい。 バスで兼六園に戻り、落ち着いた風情の金沢の町を歩いて兼六温泉に寄る。 西方寺というお寺の横にあり、普通の住宅街の中にお寺と温泉が並んでいるのでさすが、歴史と文化の町と思った。銭湯と言ったほうが近い温泉だが茶褐色のすべすべするお湯は満足度高い。こんな温泉が街中にあるとはうらやましい。 もう日も落ち、夜の市街地を金沢駅目指して歩く。兼六園周辺はまだ市街地であるが、東京と比べて街灯が少なく足元が暗い。最後は疲れ果てて駅前のビジネスホテルに入った。 |