山の写真集 > 北関東(栃木・茨城) > 八溝山
  • -信仰の山に春の花咲き乱れる-
  • 駐車場-金性水-八溝山-茗荷谷-日輪寺
  • 奥久慈
  • 茨城県/福島県
  • 八溝山(1022m)
  • 2015年4月25日(土)
  • 8.7km
  • 4時間10分
  • 270m(登山口-八溝山)
  • 鈴木屋旅館(前日泊)
  • -
  • マイカー
天気1

 

2015年4月25日(土)
下野宮(鈴木屋旅館) 6:05
  県道28号
八溝林道
6:50 登山口駐車場 6:55
7:20   金性水
7:45 八溝山 8:03
8:20 高笹山分岐
8:24   茗荷谷入口
8:55   茗荷谷
9:00   八溝山天然林の看板 10:10
    沢沿い往復
休35分
10:35   稜線(大梅コース)
11:05   八溝山 11:10
11:33   日輪寺 11:35
12:03 登山口駐車場 12:10
  竪破山登山口へ移動

 


茨城県の最高峰、八溝(やみぞ)山は福島県・栃木県との三県境の山でもある。今までも雲取山や甲武信岳など、三都県にまたがる山にいくつも登ってきたが、今回またひとつ追加される。コレクション的で面白いかもしれない。
八溝山は大きく2つの面を持つ。ひとつは山中の日輪寺や八溝嶺神社があるように、古くからの信仰の山であるというもの。もうひとつは水の豊かな山、ということである。八溝という山名は、山中が8つの溝(川)で刻まれていることからつけられたと言われており、八溝川湧水群は日本名水百選にも指定されている。水の多い山ということは自然環境も豊かで、沢沿いを中心に山野草を多く見ることができるようだ。

前日の奥久慈男体山へ 午後の竪破山へ


新緑とニリンソウの群落が見られる茗荷谷

八溝山登山口。車はさらに上がっていく

八溝山登山口

登山口駐車場から、湧水群コースに入る

湧水群コースへ

湧水群コースは最初、明るい新緑の平坦道が続く

明るい新緑

露天風呂のようにも見えるが、湧水群のひとつである鉄水

鉄水

白馬像を見ながら階段を上がると八溝嶺神社に着く

八溝嶺神社

八溝山三角点は明るい台地の上にある。後ろのお城のような建物は展望台

三角点と展望台

八溝嶺神社の手前に、大梅ハイキングコースの入口がある。このコースは入山、鬼ヶ嶺を経て棚倉町に通じている

山頂裏へ

大梅ハイキングコースから茗荷谷コースへの分岐。ここから茗荷谷へ一気に高度を落とす

茗荷谷へ下る

イワウチワ(茗荷谷への下りにて)

イワウチワ

茗荷谷の源流部に下り立つ。ここからしばらく沢沿いに比較的はっきりした踏み跡がある

茗荷谷

茗荷谷にはカタクリ(この時は花期終わり)やニリンソウが多い

ニリンソウ

茗荷谷にある遊歩道・天然林の看板

50選の看板


この山は山頂まで舗装車道が通っている。見どころのひとつである山頂北側の沢沿いの山野草を目的に、山頂まで車で上がってから沢に下るという歩き方もできる。このあまり例のない登山にも惹かれるものがあるが、山頂まで車で行ってしまうことに後ろめたさがやはりある。今回は八合目下の日輪寺入口に車を置き山頂へ「登る」ことを選択した。

下野宮の旅館から県道を北上、大きな鳥居の立つ登山口で八溝林道に入る。このまま七合目の駐車場まで車で上がってしまう。林道は途中で左側が大きく開ける場所があった。昨日とは違い朝から気持ちよい快晴で、期待が膨らむ。
登山口駐車場には一番乗りたっだ。標高は700mを越えており、昨日登った男体山山頂よりも高い。空気も締まって爽やかな朝である。駐車場の周囲にはカタクリがたくさん見られたが、まだ朝早いので花は閉じられている。
ここからは2つの登山口が見えていて、湧水群コースのほうを登路にとることにする。広葉樹に囲まれた幅広の平坦な道から始まる。芽吹きの広葉樹が朝日に輝き、気持ちのよい眺めだ。静かである。

途中、道が崩れて高巻きする箇所があったが、すぐにまた歩きやすい道に戻る。前方にはゆったりとした八溝山の山頂部がもう見えている。
金性水は整備された水場になっていた。平坦な道が終わり、鉄水を過ぎると八丁坂と呼ばれる直線状の登りが続くようになる。高度を上げるほどに木々の芽吹きも軽くなっていく。車道を横断し、木の向こうに大きな駐車場が見えてくると、そこから伸びる車道と再び合流。あっけなく山頂の八溝嶺神社に到着した。その裏の小広い芝地が一等三角点のある八溝山の山頂で、その横には展望台が立っている。
展望台に上がるが、残念ながら春霞みで遠くの山は見えない。わずかに那須岳と思われる雪山が空に浮かんでいるのが見えた。ほぼ360度展望だから、空気が澄んだ時期はすばらしいだろう。

今日のメインは山頂というよりも、ここからである。いったん車道に戻ってみると笹原の中に登山道が伸び、大梅ハイキングコースの古い標識が立っていた。これに入り、まずは緩やかに下っていく。急なところはないが、かなり長い距離を下る。同じ道を戻る予定なので、帰り登り返し覚悟である。笹原の伸びやかな尾根道は気持ちがいい。
いったん尾根を乗っ越して北側の斜面を伝う。高笹山からの尾根道が合流したあと、すぐに茗荷(みょうが)谷へ下る分岐に出る。ミズナラ林の中をひたすら下っていくと、斜面にイワウチワがびっしりついていた。やがて登山道脇にも多く見られるようになる。ここのイワウチワは花も葉も小さく、可憐なイメージがある どんどん下って行き、ついに茗荷谷に到着。谷底には沢の源流が静かに流れていた。

標高を下げたので新緑真っ盛り、さらに沢筋にはニリンソウが大群落を作っていた。「八溝山天然林 ふくしまの遊歩道50選」の看板が立っている。ここはもう福島県のエリアに入っているようだ。ブナの大木がそびえ、知られざる秘境の雰囲気がする。ハイキングコースは続いているので、沢を下ってみる。とにかくニリンソウがすごい。昨日、今日とニリンソウ三昧である。ほかにキケマン、ムカゴトラノオ、ネコノメソウが咲く。看板付近にはカタクリもものすごく多いが花はすでに終わっていた。

ニリンソウ(茗荷谷)

ニリンソウ

ムカゴトラノオ(茗荷谷)

ムカゴトラノオ

茗荷谷にはブナも多い。芽吹きはこれから

高木のブナ

茗荷谷から、道のない笹の斜面を登って大梅ハイキングコースへ戻る

笹をこいで稜線へ

カタクリ(大梅ハイキングコース)

カタクリ

八溝山から日輪寺への下りはカタクリなど山野草が多く見られる

カタクリの道続く

中腹にある日輪寺は、坂東三十三観音霊場第21番札所として全国から参拝者を集める

日輪寺


沢を高巻く道に入った所で引き返すことにする。作業道が続いているようだが、日輪寺とは方向も全く違うので下山には使えない。

さて戻るのだが、まずは山頂に登り返すという変則技である。地形的にも、山頂を経由しないと車を停めたところに下れない。
一般には来た道を登り返せばいいのだが、用意してきた山行記録に従い、隣の尾根を上がってみる。道はない。腰下程度の笹をこいでどんどん高度を上げていくと、大梅ハイキングコースに合流した。

西に見える八溝山山頂のアンテナまで、頑張って登り返すのみである。さっき下って来た道は、笹の中にカタクリがいっぱい咲いている道だった。花に慰められながら標高差300mの登り返しを終えることが出来た。
行きかう登山者も増えてきた。山頂まで車で来ている人もいる。山の楽しみは人それぞれなので、別に否定するものではない。今日のコースを辿るなら、八溝山は山頂まで車で来ることも「アリ」の山である。

神社前から、日輪寺を経由して下山する。なだらかな尾根道は笹の中にいっぱいカタクリが咲き続いていた。八溝山はカタクリも多い山たった。ニリンソウやイワウチワも多いし、田中澄江著「花の百名山」に入っていないのが不思議なくらいである。
いつしか、大きな黒い雲が上空を覆うようになっていた。上空に寒気がやってきており、天気予報では午後からところにより雨となっていた。林道を横断して日輪寺に下ると、観光バスで来た団体さんが参拝中だった。

日輪寺は坂東観音霊場二十一番札所として、遠くから多くの信仰者を集めている。昨晩泊まった旅館のご主人さんによると昨年、横浜からここまで歩いてきたお遍路さんを泊めたとのこと。
登山口からどういうコースで登ろうかとか、どこに花が咲いているかというレベルで山を考えている登山者に比べれば、信仰の対象として山に登る人のほうがずっと大きい視点で山をとらえているように思える。

日輪寺からの下りではようやく信仰の山の表参道らしく、杉林の道となった。これから登る登山者と何組か、すれ違う。杉林の中にはエイザンスミレがたくさん咲いていた。ワサビ田を見たあとは登り返しとなるが、ここでついに雨が降ってきてしまった。弱くはない降りなので雨具を着ることにする。しかし、少し登り返したら駐車場はすぐ上にあった。
車で下りていく途中、麓から登ってくる登山者と何人もすれ違った。車利用でない人も多い山だった。

八溝山の登山は終えたが、まだ午後になったばかりでもあり、もうひとつ登っていくことにする。しかし車道を南下していくうち雨雲がどんどんやってきて、たちまちどしゃ降りの中の運転となってしまった。

前日の奥久慈男体山へ 午後の竪破山へ