~岩尾根を彩る錦絵巻~ がんごうしんどうからたにがわだけ 2007年10月21日(日)晴れ時々曇り、山頂は霧 8:25上越線水上駅-[バス]-8:45谷川岳ロープウェイ駅8:55-9:25巌剛新道登山口9:30-10:05第一見晴台10:10-11:25ガレ沢のコル-12:30谷川岳(トマノ耳)12:50-12:55肩の小屋13:05-14:05熊穴沢避難小屋-14:35田尻尾根分岐-15:35田尻尾根登山口-15:50ロープウェイ駅 歩行時間:6時間5分 |
|
通算5度目の谷川岳、そのうち4回は今の時期だ。 9月下旬から10月初旬にかけ頂稜部や森林限界上の草紅葉が始まり、中旬で稜線の低潅木や中腹のブナ林、そして下旬に山麓部へ紅葉のラインが下りて来た頃には、上の方ではたいてい降雪がある。
紅葉ラインの下り方を追っていくと、季節が1つ進む。下から上まで全てが広葉樹で標高差の大きい谷川岳はならではのことであろう。山に登るとは季節を感じることである。谷川岳や上越の山に登ると、それがとりわけ強く印象付けられる。 いつものように各駅停車を乗り継いで水上駅へ。バスは座れず、満員すし詰め状態でロープウェイ駅に着く。観光バスや車がたくさん来ている。周囲の木々はかなり色づいてはいるが、まだ緑が優勢だ。 ロープウェイ駅前には、以前のように乗車待ちの行列は見られない。数年前の改築以来、室内で乗車待ち出来るようになったのだ。おそらくベースプラザの大きな建物の中には、長蛇の列が出来ていることだろう。 今日はロープウェイに乗らずさらに車道を歩いていく。西黒尾根登山口を過ぎ、マチガ沢の手前の巌剛新道登山口に着く。先月雨模様で登るのを諦めたコースである。今日は天気も何とか持ちそうだ。 緩い沢沿いの登り。古い指導プレートを見てさらに緩く上がって行くと、樹木の背が低くなって視界が利いてくる。ところどころでマチガ沢のダイナミックな岩峰があらわになる。 西黒尾根は前半は樹林の中で眺めに乏しいが、巌剛新道は背の高い木が少なく、最初から明るい。もっとも今の時期なら、樹林下の西黒尾根も紅葉が楽しめる(4年前の同時期に登っている)。 巌剛新道を登る人は多い。もっとも他のコースに比べれば静かなほうだろう。道は次第に急登になり、梯子、鎖が断続する。難しいところはないが、昨晩の雨の影響で濡れている岩には慎重に足を置く。
登るほどに木々の彩りは豊かになる。マチガ沢の岩峰も錦の衣を纏っている。しかし、上部の稜線はガスに隠され、なかなか岩峰全体に日が当たることがない。今日は久しぶりに中判カメラを持ってきたのだが、なかなか撮影するタイミングがつかめない。 枯れ沢状のガレ場を通過するところはロープが張られ、注意を要する。森林限界に達し、上部に稜線が見えてくるとやがてガレ沢のコル、ここで西黒尾根と合流する。とたんに人の往来が激しくなる。 展望は素晴らしい。赤城や榛名山はもちろん、小野子山や大峰・吾妻耶山、テーブル状の上州三峰山、遠くには奥秩父、最奥に富士山が光っている。 そして上州武尊と日光白根山の頭が白い。谷川連峰はこれらに比べて標高が少し低い分、雪の洗礼はもう少し先のようだ。ただし上は雲の中のようなので、このへんで眺めを楽しみながらじっくりと登っていく。 急登の尾根は低潅木帯から千島笹の斜面、そして岩稜へと引き継がれていく。大きな一枚岩に乗り、ザンゲ岩の基部を回り込む。急斜面の場所で振り返ると目も眩むような切り立った眺めだ。 西黒尾根を下りてくる人もかなりいる。皆口々に、「山頂はすごい風、冷蔵庫のようだったよ」と言っている。 だんだんと視界が悪くなり、肩の広場近くになるとついにガスの中だ。主脈縦走路の方面は全く見えない。しかし時々強風が谷から吹き上がってくると、ガスが流れて稜線が覗く。 [ 次のページへ ]
|