2012年5月2日(水) | |||
◇ | 中条グランドホテル | 6:10 | |
国道7,113号 | |||
◇ | あらかわ運動公園駐車場 | 6:55 | |
7:08 | 虚空蔵登山口 | ◇ | |
7:15 | 沢 | ◇ | |
7:50 | 休憩所 | ◇ | |
8:15 | 蔵王分岐 | ◇ | |
8:45 | 高坪山 | 9:10 | |
9:20 | 三方境 | ◇ | |
9:25 | 飯豊連峰展望台 | ◇ | |
10:03 | 虚空蔵コース分岐 | ◇ | |
10:30 | ブナ平 | ◇ | |
11:03 | 荒島城跡 | ◇ | |
11:30 | 花立林道 | ◇ | |
12:00 | 駐車場 | ◇ | |
国道113号 クアハウスたいない立寄り はまなすの丘立寄り |
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15:40 | 中条IC | ◇ | |
日本海東北道 北陸自動車道 関越自動車道 |
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20:40 | 練馬IC | ◇ |
今日の高坪山は一人で歩く。時間に余裕を持ちたいのと、できればこの日のうちに帰京したいこともあり、朝早く胎内市のビジネスホテルを出発する。
7時前にあらかわ総合運動公園の登山者用駐車場に着いた。新潟の山には登山者用駐車場が完備されているところが多い。もちろん無料である。地元の人は山に登るのに、公共交通機関を利用することはあまり一般的でないようで、マイカー登山が多い。
ブナの豊かな新潟の山にあって、高坪山はとりわけブナ林で知られている。他にも新保岳、大平山など新潟県下越地方にはブナの見ごたえのある低山が多い。
ブナ林に木漏れ日差し込む |
蔵王コース登山口 |
ホクリクネコノメソウ |
春の色 |
米どころと日本海 |
荘厳なブナ林 |
山頂から |
杁差岳が見える |
オオイワウチワ |
高坪山の登山口は、駐車場から花立林道(舗装道路)をさらに少し歩く。登山ガイドには、車はちゃんと駐車場に置くようにと書かれていた。登山口に横付けする人が多いのだろう。
林道から山道に入り、すぐ先の虚空蔵山荘で登山コースは2つに分かれる。右折して蔵王コースに入る。高坪山は蔵王権現、蔵王山城、荒島城跡など城郭のあった山としていくつもの伝説が残されている。
天気予報は曇りだったが、朝から青空となった。ただし風が強そうだ。沢を木橋で渡る。水際にキクザキイチゲとホクリクネコノメソウが咲いていた。杉林に入るがすぐに頭上が明るくなる。チゴユリ、そしてオオバキスミレがここでも当たり前のように群落を作っていた。
落葉樹の中、けっこうきつい斜度の登りとなる。木の階段を補修している人がいたので挨拶する。
澄み渡る青空の下、ユキツバキの花や芽吹きのクロモジを見ながらの快適な登りとなるが、このあたりではブナはまだあまり出てこない。
支尾根に上がった所は休憩所となっていた。日本海の青が鮮やか。3日のうちで今日が一番海の色がはっきり見える。粟島はよく見えたが佐渡ヶ島は今日も霞の中だった。また、新潟平野の水田地帯も広く見渡せる。ここは夕方、水田に輝く夕日と日本海に伸びる光の帯が美しいそうだ。
粟島が見える |
新緑萌ゆ |
稜線は強風 |
ブナ巨樹 |
緑の森 |
ユキグニミツバツツジ |
高坪山と飯豊連峰 |
高坪山の尾根歩きのハイライトはここからだった。高度を上げていくとブナ林、そして足元にはイワウチワがあちこちに群落を作っていた。イワウチワは花が大きいのにびっくりする。葉っぱも直径5cmくらいあって、東京周辺の山で見られるイワウチワと、まるで別の植物ではないかと思わせるくらい大きいのだが、花も葉と同じ程度の大きさのものがある。
どうやらこれは「オオイワウチワ」で、北日本の日本海側によく見られるらしい。
そしてこの先、歩くにつれブナ林の密度はどんどん上がっていった。蔵王集落からの道を合わせ、方向はやや左に向く。高坪山直下の登りでは、細く背の高いブナが密集する道となった。
巨樹が立ち並ぶ明るいブナの森も見ごたえあるが、このような一種荘厳な印象のブナ密林も雰囲気がある。朝日が新緑を透かして林の中に届き、ブナの白い幹も緑色に染まっているように見えた。
高坪山山頂は一転、明るく開けた地となる。ベンチで日本海を眺めながら、ちょっと早い昼食とする。
ブナの道はまだまだ続く。もうひとつの魅力的なルート、蔵王権現コースを合わせ、イワウチワの咲き続く尾根を行くと、大きな反射板の立つ平坦地に着く。飯豊連峰展望台で、この日も大きく連峰を見渡すことができた。昨日の五頭山では二王子岳に隠れて見えなかった杁差(えぶりさし)岳が、ここからは真正面に見える。飯豊本山は杁差岳の真後ろに位置していて見えない。2日続けて飯豊が見えるとは運がいい。杁差岳は今年、ぜひ登ってみたい山だ。
その後もイワウチワ群落を見ながら緩やかな稜線を行く。飯豊が見られるポイントが何箇所かあった。
虚空蔵ルートとの合流点に着く。荒島城跡コースに足を踏み入れると、登山道が若干柔らかくなる。今までのメインルートと比べ、それほど歩かれていないようだ。しかしこの道もブナが絶えることはなく、直径2mくらいありそうな巨樹も目につく。高坪山直下のブナ林と対照的だ。
稜線は風が強く、新緑のブナの葉はみな同じ方向になびいている。ここ数日、北日本を低気圧が通過中で新潟はフェーン現象により気温が急上昇し、強い南風が吹いている。
ブナ平と思われる場所で稜線を離れると、風は弱まった。高度を落していくにつれブナの数も減る。ユキグニミツバツツジ、タムシバなどの木の花が多く見られる。急斜面を下って鞍部から再び登り返す。この地形は昔の城跡はの名残りで、城の周りに窪地を造り敵の侵入を防いだ。
登り返したところが荒島城跡のようだが標識はない。その後同じようなアップダウンを数回繰り返すうち、だんだん里山の雰囲気になってきた。杉林を抜けて登山口に下り立つ。
500mの山でも稜線は涼しかったのだろう、麓に下りると汗が吹き出すような日照りだった。花立林道に出て、駐車場まで炎天下の中を歩く。
農作業のおじさんに「暑いね~」と声をかけられる。まだ暑さに体が慣れていないので、30分程度の車道歩きもけっこうきつい。山肌には桜、道端にキケマンが群生しているのにすでにこの暑さである。
駐車場に戻る。その後はTシャツでの行動となる。胎内市の温泉施設に立ち寄り、海岸沿いまで車で行ってみた。日本海から吹き寄せる季節風はもはやなく、夏がすぐそこまで来ている感じだった。
今回の新潟の山旅は、昨年同様天気に恵まれ、花、残雪、ブナ林を存分に楽しめた3日間となった。山形県境に近いこのような地から1日で帰京するのは初めてだが、のんびりと帰ることにしよう。
天候は下り坂となり、関越を走り上越国境に近づく頃にはパラパラと雨がきた。関越トンネルをくぐって関東地方に入ると、ワイパーも役に立たないほどの大雨だった。