山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 五頭山
  • -残雪の山頂から飯豊を望む-
  • 砂郷沢-烏帽子岩-五ノ峰-五頭山-どんぐりの森
  • 越後
  • 新潟県
  • 五ノ峰(856m)、五頭山(913m)
  • 2012年5月1日(火)
  • 8.1km
  • 約5時間
  • 781m(砂郷沢登山口-五頭山)
  • ベストイン新潟南(前日泊)
  • 宝珠温泉あかまつ荘
  • マイカー
天気1

 

地図
2012年5月1日(火)
新潟亀田IC 8:00
  日本海東北道
磐越自動車道
安田IC 8:20
  国道290号
8:50 どんぐりの森 9:05
  国道290号
9:15   砂郷沢登山口 9:17
10:03   四合目 10:08
10:20   烏帽子岩
10:45   三ツ俣
11:10   赤安山分岐 11:22
11:55 五ノ峰 12:00
12:17   三ノ峰 12:22
12:42   一ノ峰
13:00 五頭山 14:10
14:40   三ノ峰
15:05   長助清水 15:10
15:47 どんぐりの森
  国道290号
16:00   砂郷沢登山口
    国道290,49,7号
宝珠温泉あかまつ荘立寄り
19:30 中条グランドホテル(泊)

 

泊まったビジネスホテルは亀田インターから数分のところで、サッカースタジアムが近くにある。高速から見る下越の山々はどれも、かけ上がる新緑と残雪模様が目に鮮やかだ。
その中で、コブコブの連なりが特徴的な五頭山(ごずさん)と、その右に端正ないで立ちを見せる菱ヶ岳、その山稜の懐に車を走らす。

前日の三ノ峠山へ
翌日の高坪山へ


好展望が続く三ノ峰付近の稜線

五ノ峰(砂郷沢)登山口


砂郷沢登山口

四合目の休憩地にはミズナラがある


ミズナラも

新潟平野の眺めがいい烏帽子岩


烏帽子岩

七合目近くになると雪解け直後の様相。芽吹きも淡い


そろそろ残雪が

駆け上がる新緑(七合目付近)


駆け上がる新緑

ブナの新緑が残雪に映える


ブナ大木

芽吹いたばかりの山肌


春もみじ

五ノ峰山頂から四ノ峰方面を望む


友情の鐘

五頭山稜は阿賀野市に横たわる、標高1000m以下の山としては比較的大きな山稜で、その中でも五頭山は新潟市に近いこともあり、年間登山者数が県内で最大とのことである。
山稜の最高峰は菱ヶ岳で、五頭山と尾根続きになっている。今回、当初は菱ヶ岳から五頭山への縦走を考えていたが、残雪時は一部難所があるとのことで、縦走は次回の楽しみとした。

安田ICで高速を下りて国道を走り、村杉温泉に入る。菱ヶ岳登山口を過ぎた少し先、どんぐりの森の駐車場で駐車する。ここから五ノ峰経由で三ノ峰コースの周回を予定していた。ぽぽさんが到着し、車が2台あるのなら1台を出湯(でゆ)温泉の五ノ峰登山口に回しましょうということになった。こうすれば、烏帽子岩をコースに入れることができて、五頭山登山としては一番贅沢なコース取りができる。

五ノ峰(砂郷沢)登山口から、杉林を早々に抜けて砂郷沢を左に見ながら急坂を登る。スミレやショウジョウバカマ、コシノカンアオイ等を見ながら高度を上げる。尾根の肩に上がったところが四合目で、ここで少し休憩する。ブナと、そしてミズナラと思われる黒木もある。越後の山でミズナラはあまり見ない気がする。
ブナは芽吹いたばかりの木もあって、葉が繊毛で覆われているものも見る。痩せた尾根を登っていくとあたりがパッと開ける。白い花崗岩が積み重なったような烏帽子岩で、背後に新潟平野や日本海の眺めが広がっていた。

稜線は残雪。明るいブナ林の中を緩くアップダウンしていく


残雪の道

二王子岳は飯豊連峰に負けないくらい白かった


二王子岳

前一ノ峰(右)と菱ヶ岳


菱ヶ岳が覗く

五頭山頂上からは飯豊連峰、二王子岳など雪山がズラリと並ぶ


五頭山頂上

五頭山頂上付近から望む飯豊連峰


飯豊の眺め

三ノ峰からの下山路もブナが豊かな道


再びブナの道

高度を落とすと新緑の度合いは 一層増す


新緑濃い

どんぐりの森登山口近くになるとユキグニミツバツツジが咲いていた


ユキグニミツバツツジ

さらに登っていくと左手が開け、新緑に山桜が日の光を受け輝いている。快晴の空で登山道も新緑。谷筋には雪の線が幾重にも伸びている。そして右手、樹林の向こうには残雪の菱ヶ岳が覗く。
登山道上の残雪も多くなってくる。ブナが密度を増し、新緑もやや淡さを見せるようになった。五頭山がこれほどブナが見ごたえあるとは思わなかった。新潟の山はどこでもブナが見られて当たり前なのだが、五頭山は登山ガイドなどでも、展望のよさのほうが先に紹介されて、ブナのことはあまり出てこない。
ブナの多い山は登山道が足に優しく、水が豊かという印象が強い。ブナは、他の樹木と比べて保水力がそう高いわけではないことが、最近の研究で明らかになってきているのだが、実際歩いてみるとやはり、ブナの山は山全体が潤いに満ちていて、それを求めて多くの動物や野鳥がやってきているのがわかる。
春先のブナに耳を当てると、幹の中を水が流れ落ちる音が聞こえることがあると言うが、試してみると確かに水の動く音がした。自分の脈や心臓の鼓動ではない、言葉では表現しづらい独特の音である。音と言うよりも感覚的なものなのかもしれない。

三ツ俣で、どんぐりの森からの登山道が合流する。その後はやや掘り窪められた登山道が続く。雪解け間もない場所もあって、登山道が小さな沢状になっていたりもする。左右の一段高い場所にはイワウチワの葉がたくさんついているが花は少ない。まだ開花前のようだ。
段差にはロープが設置され、女性では登りが大変なところも出てきた。8合目を過ぎてブナ林の中、残雪眩しい斜面を登るようになる。雪がいったん切れたところが五ノ峰頂上だった。

積み重なった岩の横を抜けて、鐘の前に立つ。これから巡る五頭山の稜線の先、飯豊連峰が素晴らしい。昨年の大蔵・菅名岳では霞みがちだったが今日は大展望だ。
今回の計画では、前から好天予報が続いていた5月1日を五頭山登山と決めていたので、狙いが当たってうれしかった。

見たところ、五頭山の本峰へはずっと残雪の上を歩くことになるようだ。距離もそこそこあり時間もかかりそう。早々に行動再開することにした。
雪の稜線を上下する。それほど急な下りはないので、足運びに難儀することはない。四ノ峰を経てお地蔵さんと避難小屋のある三ノ峰に立つ。雪が溶け、カマボコ型の小屋はすでにてっぺんが出ていた。
さらに稜線を歩いて二ノ峰、一ノ峰。一ノ峰が五頭山本峰というわけではなかった。展望はさらに広がり、雪がなければ森林限界上の草尾根の趣である。
次のピークである前一ノ峰からは菱ヶ岳から続く白い尾根があらわになる。たしかにこの縦走路を残雪期に行うのは大変そうだ。雪の消えたところにはイワウチワが咲いていた。緩く下って、菱ヶ岳からの道に合流。雪庇の名残りのような雪形をした稜線をひと登りして、待望の五頭山頂上となる。

飯豊連峰の大日岳、北ノ俣岳、門内岳の稜線がパノラマで見渡せて感動的である。そして左手前に二王子岳、これも飯豊と同じくらいの白さで迫っている。菱ヶ岳の方角は粟ヶ岳そして守門岳も頭が覗いているようだ。眺望満点の山頂で、登山者数が新潟一というのもうなずける。

下山は三ノ峰まで戻り、どんぐりの森のコースを下ることになる。今度は先に行かせてもらった。残雪上のアップダウンは気持ちがいい。
三ノ峰にはもう誰もいなかった。ゴールデンウィークと言えども今日は平日なので、地元の人中心に登られている山はかえって静かなようだ。
鐘を鳴らして下山路に入る。しばらく雪の急斜面を下るが、だんだんと土の道となる。ぬかるみが多いが、五ノ峰コースのように歩きにくいギャップのような場所はない。雪解けも五ノ峰コースより早いようで、イワウチワもある程度の花数が見られる。
そしてこちらはブナの林相が素晴らしい。長助清水を過ぎてもブナ林は続く。下部は階段状の急降下となり、ユキグニミツバツツジを見ながらどんぐりの森登山口に下り立った。

眺望一番、登りがいのある素晴らしい山だった。そして展望だけではない、ブナ林の豊かさも見もののこの山に、一緒に登ってくれたぽぽさんに感謝。季節を変えて、再訪したい山となった。
山麓の宝珠温泉で一浴し、ぽぽさんとはここで別れる。

翌日の予定に向けて、国道を北上。胎内市のビジネスホテルに着いたのは夜になった。

前日の三ノ峠山へ
翌日の高坪山へ