2020年6月21日(日)前夜発 | |||
◇ | 練馬IC | 19:52 | |
関越自動車道 大和PA泊 |
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◇ | 小出IC | 3:55 | |
国道252,290号 | |||
5:15 | 二口平登山口 | 6:45 | |
7:10 | 護人清水 | ◇ | |
7:37 | 谷内平 | ◇ | |
8:00 | オカバミ沢ノ頭 | 8:10 | |
9:10 | 二口分岐点 | 9:15 | |
9:30 | 青雲岳 | 9:45 | |
10:00 | 守門岳 | 10:25 | |
11:00 | 二口分岐点 | ◇ | |
11:45 | 守門大岳 | 11:55 | |
12:55 | キビタキ小屋 | ◇ | |
13:25 | 保久礼小屋 | 13:30 | |
13:52 | 二分駐車場 | ◇ | |
14:15 | 二口平登山口 | 14:30 | |
国道290, 252号 ゆ~パーク薬師立寄り |
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◇ | 小出IC | 17:00 | |
関越自動車道 | |||
◇ | 練馬IC | 20:55 |
都県境を越えた外出が緩和されたので、北の山に行きたい。
群馬や新潟まで遠出したいのだが、まだコロナ感染者の多い東京都から出かけることにどうしても戸惑いがある。登山口に東京ナンバーの車が停まっていたら、地元の人もあまりいい感じはしないだろう。
でも今回は、時間が経てば状況がよくなるようなものでもなく、東京の感染者数が減るのを待っていたらいつまでたっても出かけられない。
稜線から守門大岳を望む [拡大 ] |
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アプローチは車から出ることを極力避けるようにし、食材も全部自宅近くで調達するようにする。ドライブインで車中泊しようとしたが、久しぶりのこともあってか気持ち的に高ぶってしまい、寝ることができなかった。
睡眠不足のまま早朝、登山口の二口平に着く。駐車場はすでに半分以上埋まっており、奥の方に停める。地元の新潟や長岡ナンバーがほとんどだが、京都や福井からも来ており、同じ東京の多摩ナンバーを見つけたときはホッとした。守門岳も今や立派な全国区の山になった。
自分も今回が7度目、緑萌え立つ初夏が似合う越後の山である。
車の中で少し仮眠してから出発する。後からやってきた地元の人に「東京から来たんですか?」と声をかけられる。思わず返答に困ってしまった。でも特に警戒している様子でもない。わざわざ遠い所から来てくれた、という気持ちが伝わってきたので、胸をなでおろす。
登山口からすぐに急登が始まる。護人清水を経てぐんぐんと高度を上げていく。豊かなブナ林が若々しく、白い樹皮が日に照らされて輝く。
登山再開で今月登った東京の山に比べると、越後の山は土が柔らかくて、匂い立つようだ。他の山域よりも自然との距離が近く感じる。
明るい台地に出たところが谷内平で、ここからしばらくは眺めのよいヤセ尾根歩きとなる。回りを山と谷に囲まれ、守門山稜奥深くに入っていく感じだ。ヤマツツジの赤が鮮やかで、ウラジロヨウラクも見られる。
登山道は低い樹林の中、守門の稜線目指して一気の登りとなる。ここのきつさは覚悟していたので、気合を入れて登る。
路面がぬかるんで、U字型にえぐられている部分が多く、足の置き場を探すのに苦労する。こういうところは下りが危険なのだが、登りでも予想以上に時間をとられる。前後を歩く登山者も同じように苦戦している。イワカガミがよく咲いているのがせめてもの救いだ。
いったん樹林が切れ、大岳など周りの景色が見える。目指す稜線はすぐ近くに見えるのだが、再び樹林に入るとこれが長い。この急登の始まるところに、稜線まで50分との標識があったが実際はもう少しかかりそうだ。
傾斜がほとんどなくなって、待望の稜線に出る(二口分岐点)。前方が大きく開け、残雪を少しだけ蓄えた大岳が現れた。今年もこの眺めが得られてよかった。しかし稜線は容赦なく太陽光が降り注ぎ、もう夏山である。
登山者もあらゆる方向からやってくる。マスク姿は誰一人としていない。
腰を下ろしての休憩は、この先の青雲岳ですることにして、歩き出す。
イワカガミのほかアカモノ、マイヅルソウ、ツマトリソウなどこの季節、この山域ならではの高山植物が次々と。そして開花したばかりのゴゼンタチバナの白がとてもきれいで、印象的だ。
シラネアオイ、カタクリ、ショウジョウバカマなども雪解けの縁に咲いている。ヒメサユリはこの辺りで見かけるのは時期的にもう少し先だろう。大岳への登りの斜面では早いうちから見られるので、あとで行く予定だ。
木道を歩いて青雲岳山頂。山頂というよりもゆったりした湿原状の台地といったほうがいい。目の前に守門最高点の袴岳が大きく、遠方には越後三山も望める。
草原の尾根を緩く下って登って、袴岳山頂に至る。人が多いのにびっくりした。まだ10時なのに。これは果たして「密」だろうか。いや、人との距離は1m以上は保てそうだからそれほどでもない。
それでもこんなに賑わう守門岳山頂は初めてだった。やっぱりみんな、出かけたくてうずうずしていたんだろう。隣の浅草岳もきっと同じような賑わいか。
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いつまでも休んでいたい山頂だが、大岳のヒメサユリが咲いているか気になるので。腰を上げる。
青雲岳から二口分岐点までは緩やかな傾斜だが、ところどころ湿っぽいガレた斜面があり、滑りやすいので下りは要注意だ。登山を再開して間もないうちは膝がまだ硬いので、いつもならなんともなさそうなところも転倒の危険がある。
朝駐車場で声をかけられた人がいた。草むらの中にシラネアオイが咲いていると教えてくれた。「東京から来たんだったらぜひ見てって」と屈託なく言葉をかけてくれる。お互いにマスクもなしで、こんな至近距離で話をしていいのかな。相手はあまり気にしていないようだが、東京人としては申し訳ない思いがある。
二口分岐点からはさらに標高100mほどの下りとなる。残雪の縁を歩くところがあった。今年は残雪の山を歩く機会を逸したので、雪の上はもう歩くことはないのかと思ったがさすが越後の山である。標高1500mでも雪が残っている。
ここまで下った分、網張からは登り返しとなる。ヒメサユリがもう咲いていた。それも1輪2輪ではなく、けっこう続けて見られる。
ヒメサユリのおかげで、暑くて参りそうな登り返しもそれほど苦も無く登りきることができた。大岳の雪庇はもうミニチュア版になっていたが、まだ残っていた。
大きな雲がやってきて展望は悪くなったが、おかげで暑さから逃れることができた。雪のそばで休憩ののち、下山とする。
不動平、第二展望台を経て直線状の登山道をどんどん下る。が、この日は低木の樹林帯に入るとぬかるみがひどかった。二口平からの登りも上部ではぬかるみに苦しめられたので、ピストンで同じ道を下りたくないために大岳まで頑張って登ってきた。しかしこの保久礼への下山路も似たようなものだ。
とにかく滑らないように、足の置き場を考えて集中して下る。ハルゼミの声がどんどん大きくなってくる。コースタイムをかなりオーバーし、大岳からキビタキ小屋まで1時間近くかかってしまった。
樹木の背が高くなり、ブナの樹林帯となって一安心。水場に寄り水を調達する。冷たい水が喉を通り生き返るようだ。
ぬかるみの道はまだ続く。途中から階段状になり、スリップの危険は小さくなった。保久礼小屋でようやくぬかるみから解放される。しかしここから登山口までへの急な下りで、不覚にも今日初めて滑ってしまう。
登山口に下り、すぐ二分駐車場に出る。日差しが容赦なく降り注ぎ、暑い中を25分ほどの車道歩きで二口平の駐車場へ戻ってきた。停まっている車はさらに増えており、道脇にも車列ができていた。
登山口のトイレを借りる。ドアの取っ手、水流ボタン、水道の蛇口と立て続けに無意識に触っていた。公共物にはなるだけ手を触れずに立ち去りたいものだが、やはりどうしても気が緩んでしまう場面はある。
しかしここは東京ではなく新潟、しかも山奥。こんなところで地元の人から感染するなんてことはまず考えられない。しかし自分も含めこの山には今日、各県から登山者がやってきているのだ。
県内の人しか登っていなかった先週までと変わって、守門岳もこれからは全国の人がやってくる。そしてこれら公共物に何かしら「跡」を残していくのだ。登山届ポストや水場に置かれている茶わん、山頂の鐘を叩く木槌も全国の人が触る。定期的に消毒が行われる頻度も都心のものに比べればずっと少ないだろう。
登山は三密とは縁遠いかもしれないが、接触感染の危険性がむしろ大きい。ちょっとした行動にも細心の注意を払わなければならない。
兎にも角にも都県境を大きく越えた登山が無事にできてホッとしている。睡眠不足もそれほど影響しなかったが、体じゅうにかなり疲労感が残っていた。特に腰回りが痛い。ぬかるみを避けて不自然な体の動きを続けていたからだろう。
迷ったが、マッサージ効果を期待して温泉に入っていくことにする。新潟でも、麓の公共施設内はマスク必須である。受付で名前と電話番号を書かされた。早く日常が戻ってほしい。