~会越の峰々と日本海を俯瞰する~ すもんだけ(1537m) 2004年6月13日~14日
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次の日の朝、一点の雲もない快晴となる。 昨日と変わらない泥んこ道を登る。イワカガミが多く咲くが、大岳に出るまではそれほど花はない。展望地NO.2から見る朝の日本海はやや霞んでいた。
不動平から上は斜度は緩み、樹林帯もなくなるが、周囲の潅木やネマガリダケの背が意外に高く展望が得られないところが多い。最後のひと踏ん張りで大岳頂上(1432m)に出る。 山名板と鐘のあるその地は日本海側が望めるくらいで、それほど眺めはよくない。しかし10メートルほど先に進むと、何とも素晴らしい展望の地に飛び出る。 足元の大雪庇を前景に、守門の主峰である袴岳が実に堂々としている。そしてそれを包むように周囲には会津や越後の山々がどこまでも立ち並んでいる。主役はやはり越後駒、その手前に未丈ガ岳。遠くにとさかのような双耳峰の燧ケ岳が特徴的だ。会津平野付近の一面の雲海も、一昨年に朝日岳で見たのと同じ。さらに粟ガ岳、飯豊連峰も高くそびえている。
雪庇に下り、しばし時のたつのも忘れて会越の峰々の雄姿に魅入る。今日は時間的にかなりの余裕があるので好きなときに好きなだけ休憩し、展望を楽しむことにする。
守門岳(袴岳)への縦走路に進む。若干のアップダウンがある。さっきまでのひどいぬかるみの道は、このへんではやや改善された。 コイワカガミやゴゼンタチバナ、ミヤマキンバイ、マイヅルソウ、ミツバオウレンなど花もどんどん増えてくる。ヒメサユリは少し時期が早かったようだ。蕾が数輪、咲いているのを1輪のみ見る。一昨年のこの時期に浅草岳では満開だったが、あの年は特別、季節の進み方が早かった。本来なら6月下旬~7月近くなる頃が見頃ではないだろうか。少し行くとシラネアオイの薄紫色も顔を出す。 高みに上がるたびに左右の展望が大きく開け、越後駒や飯豊連峰の姿を確認しながらの歩きとなる。 振り返れば大岳はだんだん低くなっていく。大岳の背後に越後平野と日本海が見下ろせるような位置まで来て、高度を上げたことが実感できる。 二分コースを分けてなおも進むとやがて木道が現れ、広い湿地帯に出る。青雲(あおぐも)岳の一角だ。池塘が点在しミズバショウも見られる。しかし干上がってしまった池塘もある。 ここもやはり展望の地で、越後駒の隣に巻機山あたりの上越山塊も大きく見えてくる。アルペンガイドではこの一帯をテント設営可能地として紹介しているが、植生を荒らしてしまいそうなので幕営は気がひけるところだ。 さあ、袴岳はもうすぐそこだ。短い急坂ののち、ついに守門岳(袴岳)頂上に立つ。 さらに展望は素晴らしく、周囲の名峰をつなぐうねうねとした緑の山並み、眼下には入広瀬村など人々の生活の地が箱庭のようだ。浅草岳もここにきて初めて姿を現す。 稜線の続きには袴腰、烏帽子岳といったピークが続いているが、そこに至る登山道はないようだ。
ゆっくり休憩したあと、下山にかかる。大白川への下りは残雪がまだ豊富で、雪が解けた部分からは順にカタクリやシラネアオイが咲き始めている。北国の山の花は雪解けとほぼ同時に咲くものなのだというのがよくわかる。 オオバキスミレも非常に多く、至るところで群落をなしている。 二ノ芝、三ノ芝と残雪の上を歩く。実はアイゼンを持ってきていなかった。これが今回最大の不覚となる。残雪上にあるトレースは意外と薄く、皆がどこを歩いて下山しているのかがはっきりしない。 潅木につけられた赤テープに従って、急な雪の斜面をトラバースするが、そのうち踏み跡がわからなくなってしまう。 |