~会越の峰々と日本海を俯瞰する~ すもんだけ(1537m) 2004年6月13日~14日
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新潟・只見山地西端に位置する守門岳は、地図を見れば西に大らかな裾野を広げてスケールを感じさせる山である。今は登山道が発達して、通常は大白川または二口からの日帰り登山の対象になっている。 2年前の同時期に、隣の浅草岳に登っている。いずれにしても東京からは遠い山であり、途中の無人小屋で一泊する計画を立てた。
小出駅からバスで只見線沿いの国道を行く。 貫木(つなぎ)バス停から歩き出す。正面に守門岳の山稜を見上げながら、 二分(にぶ)集落付近を過ぎる。 この日は守門村主催の山開きがあり、二分登山口(二口平)までの車道では送迎バスと何度もすれ違った。 駐車場とトイレがある二分登山口には、多くの登山者がひしめいている。みな下山してきたところだろう。 貫木から2時間近いアプローチを経て、保久礼(ほっきゅうれい)の登山口にたどり着く。やっと舗装車道から解放されたと思ったら山道は泥んこ、田んぼ状態であった。雪解け間もないのか、あるいは昨日までの台風から変わった低気圧の雨によるものか、わからない。 以後ずっとスパッツを着けての登山となる。
保久礼小屋までの間に1箇所、ぬかるんで滑って登れない斜面があった。笹と木にしがみついて何とか体を引き上げる。この難儀な道は、今回の山行を暗示しているかのようであった。 ブナに囲まれた保久礼小屋に到着する。ここからはぬかるんだ急な登りだが、木段が滑り止めの役目を果たしている。こういう道の状態の時は木の階段がありがたく感じる。 このへんはブナが豊かだが不思議と太い木がなく、スラッとした女性的なものが多い。いつしか上空の雲もほとんどなくなり、見上げるたびに木の間から覗く青空の割合が大きくなる。 やがて木段の道は尽きるが急登は続く。時たま下山者とすれ違う。キビタキ清水(水場)の入口を見ると、すぐにキビタキ小屋だ。何とか暗くなる前に着くことが出来た。 中を覗くと、それほど汚れているわけでもない、十分宿泊に耐えられる。暗い雰囲気だった保久礼の小屋よりかえって快適そうだ。 荷物を置き、とりあえずキビタキ清水で1日の水を補給する。水場付近で最後の人と言葉を交わしたあとは、山の静けさがいやに意識されるようになる。 寝床も作り、落ち着いたところで大岳の方向に少し登ってみることにする。 ぬかるみの道はまだまだ続いている。途中で「展望台NO.2」との板が掛けられている展望地に出る。北西面が大きく開け、越後平野の向こうに日本海、そしてその先に佐渡ガ島まで一望出来る。 山の上で海を見たのは、一昨年の白神岳以来か。山からの展望としては、太平洋よりもなぜか日本海のほうに惹かれるものがある。 もう少し登り、大岳の見える不動平まで行く。左右の眺めが開け、海の反対側には越後駒ケ岳、中ノ岳の越後三山が見えてくる。これ以上登ると明日の楽しみが半減しそうなので、このへんでUターンする。 先ほどの展望地で、日が日本海に沈むのを待ちたかったが、小屋まで足元の悪い道をかなり下らなければならないため、安全を考え暗くなる前に小屋に戻る。 木の枝越しに見る西の空は、白神岳からの下山時に見たのと同じ色、濃いピンク色になっていた。 |