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  • 花立峠登山口-花立峠-鋸山
  • 越後
  • 新潟県
  • 鋸山(765m)
  • 2013年5月26日(日)
  • 5.2km
  • 3時間
  • 551m(登山口-鋸山)
  • ホテルニューグリーン(長岡市)(前日泊)
  • 麻生の湯
  • マイカー
天気1

 

地図
2013年5月26日(日) 前日泊
長岡駅 6:30
  国道352号他
6:55 花立峠登山口 7:10
7:35   鳥滝
7:55   大モミジ
8:15   見返り清水 8:20
8:40   花立峠 8:45
9:10 鋸山 9:40
10:05 花立峠
10:18 見返り清水
10:32 大モミジ
10:55 花立峠登山口
  国道352号,8号他
麻生の湯立寄り
14:15 長岡IC
  関越自動車道
18:25 練馬IC

 

もともと今回は、日曜に二王子岳に登る予定だったのだが、土曜日に変更したため日曜日はどこか他の山に登ることにした。
あまり大きな山に登る体力はない。鋸山なら標高もそれほどでもないし、地元の人々に親しまれている山でもあるのでちょうどいいだろう、と思った。半ばハイキング気分で登ったところ、見所いっぱいで登りがいもあり、とてもいい山だった。この山をメインにした新潟行もいいのではないかと思うくらい、密度の濃い登山となった。
鋸山と言えば、関東の人の多くは千葉県の山を思い浮かべるが、今回の山は新潟県長岡市東方にある「東山連峰」の最高峰、鋸山である。

前日の二王子岳へ


露出した赤土が荒々しい長工新道を眺めながら、花立峠へ

花立峠登山口の整地された広い駐車場。国道352号はここでいったん行き止まりとなる

駐車場は広い

天狗清水(長寿の泉)の水場から登山道が始まる

登山口

タニウツギ

タニウツギ

タニウツギ咲く緑豊かな道を行く

緑豊かな道

頑丈な木橋で沢を渡る

沢を渡る

鳥滝の案内。ここを左に行くのではなく、「3分進んで左に30m」が正解

間違いやすい

杉林を抜け出ると周囲は花と新緑の道へ

杉林を抜ける

ツボスミレ(ニョイスミレ)

ツボスミレ

コシノチャルメルソウ。コチャルメルソウに比べ茎が長く、付く花の数も多い

コシノチャルメルソウ

市内のホテルから国道352号を東へ。市街地を抜けるとすぐに、山に囲まれたのどかな田舎の風景になる。空は曇りがちだが薄雲程度だ。
花立峠登山口は、昨年ゴールデンウィークの時期に三ノ峠山に登った際、ついでに登山口を下見しておこうと思い車を走らせてみたのだが、国道の途中で雪が残っていて、登山口まで達せなかった。今回は雪も消え、難なく通れた。

長岡市の東側は悠久山公園などの自然公園やキャンプ場、スキー場などがあって市民の憩いの場となっている。花立峠登山口にも広い整地された駐車場が用意されていた。
なお、この国道352号は新潟県柏崎市から福島県の会津高原まで延々と続く長い国道で、越後駒ヶ岳の登山口でもある枝折峠を通るなどアップダウンが大きいため「酷道」と呼ばれたりもする。登山者にはおなじみの道だが、ここ花立峠登山口でいったん途切れており、鋸山の尾根を越えた先で再び現れるという、不思議な国道である。

駐車場に車を停め、出発する。すぐに水場への分岐が戻るようについている。「長寿の泉」の水場は駐車場のすぐ上にあった。この水を飲むと長生きするそうである。「1杯で5年、2杯で10年、3杯で限度」とのこと。
登山道は、沢を下に見る少しスリルのあるところを行く。タニウツギがあちこちできれいに咲いている。道が尾根筋に入るところで標識があり、「3分、30mで鳥滝」と書かれ左方向に矢印がついていた。尾根道に入る前に左の沢に下りて、鳥滝とやらを見に行こうとするが、岩が多く渡渉ばかりで途中で行くのを諦めた。
尾根道に戻って素直に登っていくと、再び鳥滝を示す表示がまたあり、左の踏み跡をたどるとすぐに滝が見えた。どうやらさっきの標識は、その場所から「(登山道を)3分歩いて左に30mで鳥滝」という意味だったようだ。「左に3分、30m歩いて鳥滝」と勘違いしてしまったのだが、言葉が足りなくてわかりにくい標識である。

見返り清水から上はカタクリ、エゾノエンゴサク、オオバキスミレなど春の花咲く道となる

花咲く道へ

花立峠には長工新道開通の記念碑がある

花立峠

花立峠からは緑鮮やかなブナの森へ

緑のブナ林へ

半蔵金からの道を合わせる。オオイワカガミが群生している

オオイワカガミ咲く

北西面が大きく開けた鋸山山頂

鋸山山頂

鋸山山頂から少し下った展望台より、北東側に続く東山連峰を望む。鬼倉山・五百山など、低山ながら立派な山容

東山連山を見渡す

サンカヨウ(見返り清水付近)

サンカヨウ

大モミジは小さな平坦地があり休憩場

大モミジ


沢を離れ、杉林の中から抜け出すと周囲は鮮やかな新緑の道になった。傾斜が増し、上に見える稜線目指してジグザグの登りが始まる。オオバキスミレがよく咲いている。カタクリやショウジョウバカマなど早春の花も見られ、樹木は新緑だが足元の花はずいぶん遅い印象がある。コチャルメルソウは東京の山では3月から4月にかけて見られるが、ここはまだたくさん咲き残っている。
新潟で見られるのはコシノチャルメルソウで、コチャルメルソウより茎が長く花と花との間隔が短い。谷筋には残雪もまだある。アブラチャンまで見られた。

見返り清水という開けた場所に出ると、鋸山の尾根もぐっと近づいて見える。サンカヨウが咲いていた。振り返れば長岡市の眺めが広がっている。
ここからのジグザグの登りではカタクリ、エゾエンゴサク、スミレが群落をなしており、高度を上げれば上げるほど花の密度は増した。今が一番の花期のように思える。標高は低いが雪解けの遅い山なのだろう。
峠にはすぐ到達しそうでなかなか着かない。見えていた稜線に上がり反対側の眺めが広がったが、まだ峠ではないようだ。土が露出した長工新道の急崖を正面に見ながら、緩やかに登る。ここは10年前の新潟中越地震の震源地に近く、2000年に開通した長工新道も地震による崩落で現在の荒々しい姿になったようだ。

登りついた尾根の肩が花立峠だった。麓の方角が少し開かれており、石ブロックに腰を下ろし少し休憩する。
峠には長岡工業高校山岳部が長工新道を切り開いた記念碑が設置されている。北アルプスに慶応尾根、早稲田尾根と初登拳した大学の名前がつけられた尾根があるが、この長工新道は高校の名前である。
萱峠までつけられたこの縦走路は、ブナ林がすばらしいとのことで、ここまでの行程で余裕があったら歩いてみることも少し考えていたのだが、花立峠までなかなか足を使わせてくれたので、今日のところは鋸山の往復のみとする。

鋸山へ向かう。ここからはブナ林が清々しい。オオイワカガミもたくさん咲いている。半蔵金(はんぞうがね)からの道を合わせたあとは尾根通しに、小さなアップダウンを交えながら高度を上げていく。すぐ下に残雪が見えている。
峠から25分程度で、鋸山山頂である。一等三角点が置かれており、北西側が大きく開けている。空も青みが増すようになり、遠くの景色とともに手前の三ノ峠山からここまで続く山稜の緑色が映える。反対側には守門岳など雪山が霞みがちながら遠望できた。
これだけ自然に囲まれ、おまけに展望も楽しめる山なら、地元民の人気があって当然だろう。

もうひとつの登山口からの道、大入沢コースの方向へ少し下ってみる。ひと下りで雰囲気は一変し、まるで駐車場のように整地された展望台に出た。ここからは守門岳がよく見え、眼下の半蔵金の棚田のような地形も見下ろせる。
今日はこちらに下山するわけにはいかないので、山頂に戻る。続々と登山者がやってきて、それほど広くない山頂は混雑してきたので下山とする。

来た道を戻るのみだが、登りの時と比べて日差しが強まり、暑い中での下りとなった。どんどん人が登ってくる。また、道を外れて山菜採りにいそしむ人も多い。
光を浴びて輝きを増した花や木の写真を撮りながら、のんびりと下る。樹林帯に入るとさすがに暑い。やはりそこは標高700mの低山である。「長寿の泉」の水でペットボトルを満たし、車に戻った。

昨日の二王子岳とともに、今日も大変充実した山となった。
ここ数年、新潟の山は下越地方を集中して登ってきたが、主なところでまだ粟ヶ岳を残している。都心からアクセスのよい中越・上越(国境)付近では小松原湿原、佐武流山、刈羽黒姫山など。また上越(地方)に目を転じれば頚城・海谷山塊に青田南葉山、権現岳、駒ヶ岳、焼山など低山から高山まで魅力的な山がなおたくさんある。妙高山も未踏だ。
まだまだ新潟病は治りそうにない。

前日の二王子岳へ