山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 巻機山
  • -秋の実りに舌鼓、魚沼の名峰-
  • 桜坂駐車場-井戸尾根-巻機山
  • 越後
  • 新潟県
  • 巻機山(1967m)
  • 2013年10月13日(日)
  • 9.2km
  • 7時間10分
  • 1226m(桜坂駐車場-巻機山)
  • 民宿雲天(前日泊)
  • 五十沢温泉
  • マイカー
天気1

 

地図
2013年10月13日(日)前日発
練馬IC 13:30
  関越自動車道
塩沢石打IC 15:55
  県道28号, 国道291号
16:45 民宿雲天(泊) 5:10
5:30 桜坂駐車場 5:40
6:50   五合目焼松
7:20   六合目
8:10   七合目物見平 8:20
8:50   八合目
9:15   前巻機
9:25   巻機山避難小屋 9:35
9:50   御機屋 9:55
10:05 巻機山
10:15 御機屋 10:20
10:40   巻機山避難小屋 11:10
11:20   前巻機
11:55   七合目物見平 12:10
13:05   五合目焼松
14:00 桜坂駐車場
  国道291号,県道233号他
上田屋食堂、川永農園立寄り
16:30 五十沢温泉ゆもとかん(泊)

 

巻機(まきはた)山には2006年の夏に初登頂して以来、紅葉の時期にもぜひ登りたいと思っていた。この3連休は天候もよさそうで、ようやく実現の運びとなった。
前日のうちに山麓の清水に入っておき民宿泊、翌日曜日に巻機山の井戸尾根を登る。月曜日はこれまで未踏の八海山とした。友人と2人で自分の車で出かける。

翌日の八海山へ


七合目から見上げる前巻機山の草紅葉

民宿「雲天」は清水集落から少し離れた六日町側にある

民宿雲天

五合目「焼松」から谷川連峰の大源太山を望む

谷川連峰を望む

六合目付近のブナ林

ブナ林を登る

七合目物見平の草紅葉を見下ろす

七合目の紅葉

八合目付近の草紅葉

八合目付近

急登を詰め前巻機へ。日が差し眼下の展望が広がる

急登を詰め前巻機へ

前巻機を下ると巻機山本峰の斜面が見えてくる

木道を伝う

避難小屋へは草紅葉の中の木道を歩いていく

避難小屋へ

土曜日は日本全国ほぼ好天に恵まれたが、北陸以北の日本海側は低気圧の影響が残り雨となった。関越トンネルをくぐると新潟県側はやはり雨。塩沢石打インターで高速を下り、南魚沼地方の山奥に入っていくと雨足はさらに強くなる。清水街道を走り夕方、民宿「雲天」(うんてん)に到着する。
清水には5軒の民宿があり、この雲天は他と少し離れた六日町側にある。昔の大きな公衆浴場を思わせる門構えの古民家だ。江戸の昔から旅人が行き交う清水街道の、歴史ある宿のひとつである。
実は翌日曜日の天気も怪しく、いっこうに降り止まない大雨に、明日は雨具を着ての山行を覚悟する。キノコや山菜を主とした夕食は量も十分で美味しかった。コシヒカリのおにぎりを受け取り、翌朝の天気を案じつつ就寝する。

朝、雨は上がっていた。しかし上がったばかりだったようで道は濡れている。それなりに冷えてはいるが思ったほどではない。山は雪だったのかもわからない。
夜が明ける前に宿を出発、車で10分ほどの桜坂駐車場まで上る。暗がりの中まず第二駐車場、すでに満車状態だ。さらに奥の第一駐車場から引き返してくる車もある。これは奥も満杯かと思ったが、とりあえず行ってみると、まだ数台の余裕があった。それにしてもさすが日本百名山、紅葉の時期はこんな悪天でも暗いうちから登山口駐車場は車であふれ返る。
空がだんだんと白んできて、麓の町並みが見えてきた頃出発。ヌクビ沢コースを分けて井戸尾根コースに入ると樹林帯で暗い。ヘッドランプを点けて歩き出す。

はやはりグチャグチャだ。今は足元を汚す程度だが、下山時は滑りそうだ。最初なだらかだった道は次第に傾斜を増し。四合目の「井戸の壁」まで急登となる。完全に夜が明け、視界がはっきりする。ブナ林のジグザグ登りを経て五合目「焼松」に着く。
ここは展望がよく、正面に前巻機山を見上げ、背後には谷川連峰を望む。空模様は持ち直し、青空も覗く。天候回復のスピードは予想以上でこの先の期待が膨らむ。

びブナ林の登りとなる。朝日岳から柄沢山にかけての稜線の上から、朝日が差し込む。色づき始めた木々の葉がキラキラと輝いた。六合目はヌクビ沢、天狗岩、割引岳方面を見下ろす展望地である。谷筋はまだ明るくなっていない。さすがに残雪はなくなっていた。
さらに登っていくが、いつの間にか頭上は白い空に逆戻りしていた。ブナから低潅木帯となり、それも抜けて森林限界となる。七合目「物見平」付近で眺めは大きく開け、谷川連峰を始め周囲の山々がよく見えるようになった。そして目の前には色づいた前巻機山の斜面が大きい。
遠くの空は青空のようで、どうやら頭上が分厚い雲で覆われているのはここ南魚沼の山域だけのようである。日本中が爽やかな秋晴れとなっているのにここだけ仲間外れだ。下のほうに見える清水の集落は明るくなっている。井戸尾根は日が差さないため、紅葉も今ひとつ映えない感はぬぐえないが、それでもここ七合目から前巻機山にかけての全体的な色づきは悪くない。天気が悪いのにきれいに見える紅葉というのはそうざらにない。

物見平から上は、木の階段を交えた急登となる。登るほどに天狗平の錦繍の色合いが広く見下ろせるようになり壮観だ。柄沢山方面の稜線も草紅葉が鮮やかである。雲間から太陽が顔を出すタイミングも増える。
急斜面を登りきり前巻機山に到着。反対側の巻機山本峰を正面に見据える。下のほうからだと、前巻機山が大きく過ぎてこの本峰の姿を見ることはできない。前巻機を越えて初めて得られる眺めである。
こちらも草紅葉が黄金色に染まりいい景観だった。前巻機山から少しの下りで、大勢の人で賑わう巻機山避難小屋に着く。さすがに、7年前に宿泊したときよりも少々古くなっている。

7年前に泊まったのはちょうど、現在連勝記録を更新し続けているプロ野球投手が、高校野球時代に甲子園でライバルと投げ合って引き分け再試合になった日である。中継をラジオで聞いていたので鮮明に覚えている。
あの時の様子から、2人の差がこんなに開いてしまうとは思わなかった。

巻機山本峰へ続くたおやかな斜面

巻機山本峰へ

御機屋は小広い台地。巻機山山頂の標識が立っている

御機屋

巻機山避難は登山者で大賑わい

大賑わい

八合目付近から谷川連峰の新潟側を見下ろす。展望は若干回復する

八合目付近から

七合目から下りブナ林へ。樹林帯の紅葉はこれから

ブナ紅葉も間近

ツアーバスもやって来た桜坂駐車場。14時頃

桜坂駐車場


巻機山本峰の上部はガスで隠されていたが、次第にそれも薄まってきて時々たおやかな稜線が見えるようになる。それを目指して最後の登りに入る。
草紅葉が美しい。登山者も途切れることなくどんどん登ってくる。登りついたところは御機屋というところで、1967mの山頂へはもう少し右を歩いていくのだが、ここにすでに山頂を示す標識が立っている。なので多くの人はこの御機屋を巻機山頂とみなして下っていく。自分たちは本当の山頂目指しさらに歩く。

風強く、ガスも増えてきた。ケルンの積まれたところまで来たが展望もないので引き返す。気温は5度をさしていた。
昨日東京を出てきたときはまるで夏に逆戻りしたような気候で、おそらく気温は30度を越えていたはず。それが1日で25度も低くなってしまった。日本の真ん中で大気の流れを遮断してしまう上越国境の存在を実感する。
御機屋に着くころは一面のガス。避難小屋で食事をすることにして、早々に下る。小屋の前は多くの登山者でごった返していた。ちょっと高度を下げただけでずいぶんと暖かくなる。
関西からのツアーバスのグループも大挙下ってきたので、食事が済んだら場所をあけた。

下山は同じ道である。天候は回復するでもなく、雨になるわけでもない。登ってきたときと同じ眺めを見ながらの下りだが、紅葉は見飽きることはなかった。巻機山は七合目付近の低潅木が紅葉する今ぐらいが、時期的には一番いいであろう。またこの先も下部のブナ林が色づくので楽しみは多い。
快調に下っていくが思いのほか長い。五合目に着くころは空気が少し湿っぽくなったように感じた。雨に降られる前にさっさと下る。
幸い、標高を下げると日差しが復活し、暖かくなった。ぬかるみの道は相変わらずだったが無事に桜坂駐車場に下山できた。ただし、ペースが早かったか、同行者が膝痛をもよおしてしまったのが反省材料である。明日の八海山に影響がないといいが。

今回も、上田屋食堂で山菜そばを食べに行く。もう食事の時間を過ぎていたようで、材料の山菜が少なくなっており、代わりにキャベツなどが入っていた。でも味が濃くておいしいそばである。
天気がよくなった中、もう一度雲天に戻る。宿泊料金の精算のためだ。朝早く出発する登山者のために、この宿の精算は翌日、下山してからでいいことになっている。玄関に入り精算を申し込むと、上がってお茶でもいかがですか、と言われた。
そのまま戻らずにトンズラする悪いやつもいるかもしれないのに、清水の人たちはおおらかで優しいなあと感じた。

次の宿へ向かう途次、コシヒカリ直売ののぼりが目に入ったので立ち寄ってみよう、ということになる。
店舗への入り方がわからず、そばで庭の手入れをしているおばあさんに聞いたら、その店の主人のお母さんだった。来てくれてありがとう、と言って中に案内してくれた。清水街道沿いの農家で、倉庫の中で米を販売している。友人は24年産を10キロ余り、自分は新米を3キロ購入。少し割引してもらった上、茄子をおまけにくれた。

五十沢温泉が今日の宿である。明日の好天は折り紙つきだ。中越の主な山では最後まで登り残していた名峰、八海山についに登る。難所・八ツ峰の通過に備え、温泉とコシヒカリ、そして銘酒「八海山」で英気を養う。

翌日の八海山へ