2012年8月11日(土)前日泊 |
7:00 |
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角間温泉 |
◇ |
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国道292号 |
7:30 |
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熊ノ湯 |
7:40 |
7:52 |
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リフト中継点 |
◇ |
8:45 |
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笠岳峠 |
◇ |
9:10 |
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笠ヶ岳 |
9:40 |
10:00 |
笠岳峠 |
◇ |
10:52 |
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リフト中継点 |
◇ |
11:05 |
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熊ノ湯 |
16:10 |
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喜楽ホテル入浴立寄り
国道292号,県道29号他
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14:05 |
信州中野IC |
◇ |
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上信越自動車道,関越自動車道 |
18:30 |
練馬IC |
◇ |
前日に岩菅山に登り、麓の温泉に泊まった。湯田中温泉から少し外れたところにある角間温泉である。
住宅地の中にある角間温泉。中央の建物は共同浴場の大湯
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角間温泉は、街道沿いにある小さな温泉で、ごく普通の民家の隣りに、昔ながらの木造の旅館が数軒並んで立っている。いわゆる「温泉街」のイメージとは違う。群馬の湯宿温泉、福島の岩瀬湯本温泉と雰囲気は近い。
狭いエリアだが共同浴場も3軒あり、地元の人と宿泊者が入れる。立ち寄り客も時間帯によっては入れるようだが、どこで料金を払うのかはわからなかった。
温泉は無色透明で、かすかに臭いがある。そして大変熱い。あまりに温度が高いので、共同浴場では少し水で埋めているが、旅館のお風呂は全くのかけ流しだった。温泉味は十分で、とても純度の高いお湯だった。
山を下りた後、ネオンの温泉街の明るい雰囲気に浸るのも悪くはないが、こういう何の変哲もない民家の間にひっそりと温泉が湧いている、そういう情景が東京に住むものにとっては不思議であり強く惹かれるものがある。日本有数の観光地である、志賀高原のすぐ近くにある温泉とは思いにくい。
天気予報は曇りのち雨か雷雨。だが朝方は青空が広がっていた。時間の早いうちに登ってしまおう。
もう一度国道を上がり、今度は横手山、草津方面の道を行く。開けた高原地を過ぎるとスキー場となり、熊ノ湯、硯川温泉といったホテルがいくつか建っていた。熊ノ湯ホテルの前の駐車場に車を停める。
硫黄臭の立ち込める中、ホテルの前を通って「笠岳→」の指導標に従いゲレンデを登っていく。
最初からゲレンデ登りというのは、傾斜が緩くてもけっこうきつい。ゲレンデはもともと、人が歩くように作られていないからだろうか。リフト中継地点で右の樹林帯に入る。ここからはしばらく、平坦な道となる。
笠ヶ岳は峠の茶屋まで車で上がって、そこから登るのなら20分で山頂に立てる。しかしそれでは山登りにならないので、ある程度時間のかかる熊ノ湯からの道を選んだ。特筆すべきことのない登山道だが、シラビソ、ブナ、シラカバなどいろいろな樹木が茂る豊かな森の道である。志賀高原の登山道は標高の関係上、こういった針葉樹と広葉樹の入り混じったところが多いようだ。
樹林の切れ間から、笠ヶ岳が大きく見えた。この名前の山は日本各地にあるが、どれも笠の形をした端正なものばかり。しかしこの志賀高原の笠ヶ岳は、少なくともこの方角からは笠には見えない。西上州の山のように、弾丸やナッツを突き立てたような形をしている。
ユニークないでたちのこの山はどこからも目立ちやすく、志賀高原のランドマークと言われる所以だが、そういう名前がついている以上、ある所からはきっと笠の形に見えるのだろう。
登山道は2箇所ほどの小さい沢を渡ったあと、にわかに傾斜を増す。ぬかるみもあって急に歩きにくくなった。でもそれも長くはなく、下に車道の見える頃にはまた平坦な道に戻った。少し眺めが開けてくると、笠岳峠の茶屋のすぐ上に出る。さっき見た車道はここが最高点のようだ。
左手には笠ヶ岳が大きくのしかかるよう。さっき見たときはすごく高く感じたが、それから高度を上げてきたので、ここからだとそれほど高さを感じない。
左右にゆったりしたスロープを伸ばしており、その名の通り笠の形となってきた。
少し進むと階段となる。高度を上げるにつれ傾斜は増し、一歩一歩が大股となってくる。階段がなければ手足を使っての這いつくばっての登りになりそうだ。階段や手すりは完ぺきなくらい頑丈で、少しくらい体重をかけてもびくともしない。
背後の眺めもよくなり、いったん平坦な道に戻る。息を整えもうひと登り。樹林帯の中、ロープをたくり寄せつつ階段を登っていくと笠ヶ岳の山頂に出た。
奥の大岩の先が展望がよさそうだが、崩落があったらしくてロープで入れないようにしている。左手のテラス状の場所でも絶景が楽しめた。あいにく雲が多くなってしまったが、横手山など志賀高原の山、さらに白根山の平頂も望めた。
これで下ってしまうのは、ちょっとあっけないがこの先に登山道はないので仕方がない。天気が崩れないうちに車まで戻るとする。来た道を引き返し、熊ノ湯に戻ったのはまだ11時を過ぎたばかりだった。
硫黄の臭いに惹かれて熊ノ湯に入りたかったが、日帰り入浴は12時半からとのこと。にごり湯の硯川温泉ホテルは12時からだった。ちょっと下山してきた時間が早すぎた。
待つ選択もあったが、早くから入浴を受け付けてくれるホテルがあったので、そこに入ることにした。
入浴後帰途に着く。途中の道の駅で「須賀川そば」(すかがわでなくてすがかわ)を食べていく。岩菅山の稜線にも咲いていたオヤマボクチをつなぎに使った、珍しい蕎麦である。
昔、ここ山ノ内では小麦がとれなかったため、このような野草をつなぎに使ったらしい。大変コシのある、野趣あふれる蕎麦だった。
志賀高原は全体的に観光地化されて深山の趣を味わう雰囲気は薄れたが、それぞれの山は上信越の山らしい伸びやかな尾根を持ち、湿原も多くて様々な高山植物が楽しめる。温泉もふんだんにあり、登山対象として大いに魅力のある山域と言える。