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2011年7月16日(土)前夜発
| 21:10 | | 練馬IC | ◇ |
| 関越自動車道 赤城高原SA泊 |
5:30 | | 小出IC | ◇ |
| 国道352号,枝折峠経由 |
7:30 | | 鷹ノ巣登山口 | 8:00 |
| | (平ヶ岳入口バス停) |
9:50 | | 1420m | ◇ |
10:45 | | 下台倉山 | ◇ |
11:45 | | 台倉山 | ◇ |
11:55 | | 台倉清水 | 12:15 |
12:55 | | 白沢清水 | 13:10 |
14:30 | | 池ノ岳 | |
14:45 | | キャンプ場 | ◇ |
2011年7月17日(日)
| ◇ | | キャンプ場 | 4:50 |
5:15 | | 平ヶ岳 | 5:40 |
6:30 | | 玉子石 | 7:10 |
7:30 | | キャンプ場 | 8:00 |
8:15 | | 池ノ岳 | 8:35 |
9:05 | | 白沢清水 | 9:10 |
9:55 | | 台倉清水 | 10:20 |
10:30 | | 台倉山 | ◇ |
11:30 | | 下台倉山 | 11:40 |
13:20 | | 登山道入口 | ◇ |
13:35 | | 鷹ノ巣登山口 | 13:55 |
| 国道352号,400号 駒の湯立寄り |
18:00 | | 西那須野塩原IC | ◇ |
| 東北道,川口JCT,首都高 |
20:40 | | 目黒IC | ◇ |
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新潟・群馬の県境の山というと、尾瀬や谷川岳などのように比較的アプローチしやすい印象があるが、この平ヶ岳は別である。
魚沼または会津からぐるっと回らないとならないため、東京方面からの電車やバスなどの公共交通機関利用では、前夜麓泊が当たり前となる。かといってマイカーでも日帰り登山は難しい。唯一の正規ルートである鷹ノ巣からの登山コースは、登り6時間半、下り4時間半と総計11時間はかかるので、日の長い季節に、登山口に遅くとも朝5時には着いていることが日帰り登山の条件となる。
残雪豊かな平ヶ岳キャンプ場付近の湿原
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昨年、未丈ヶ岳に行ったときくぐった奥只見シルバーラインのトンネル、今度はこれを抜け切らなければならない。全長18kmある。曲がりくねっている上に傾斜があるので、できれば遠慮したい。 しかし東北自動車道から会津回りで行くとえらく遠回りになる。迷ったが、結局魚沼側からアプローチすることにした。
この山を取り巻く環境もここ数年で、かなり変わってきた。以前はテント泊が当たり前だったようだが、奥只見シルバーラインができて以降、早朝発の日帰り登山が一般的となった。山頂付近は広大な湿原となっていて、自然保護の観点からテント泊を薦めていないとも言われ、市販の登山地図には「日帰りで登るように」と注意書きされているものもある。
でも自分は、あえてテントで行く。登ってすぐ下るような山ではない。できるなら1日過ごしたい山である。
| すでに満車 |
| すぐにヤセ尾根 |
| 主稜線は高い |
| 眺めよい台倉山付近 |
| 燧ヶ岳 |
| 平頂は遥か先 |
| 台倉清水 |
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小出ICを5時半に通過。尾瀬に行く道を進むが、カーナビは越後駒ヶ岳の登山口、枝折(しおり)峠を経由するほうを選んでいた。
トンネルを通らなくていいのでこれでもいいか、と思ったがこれが大変な遠回りになってしまった。カーナビは標高差の考慮なしに道を選んでいるのか。平ヶ岳に登る前に、車で山に登ってしまった。枝折峠付近で、残雪輝く越後駒を拝めたことが唯一の収穫だった。
下って下って、奥只見ダムを左手に見ながら延々2時間、ようやく鷹ノ巣までたどり着いた。
明るい山間の地に立つ清四郎小屋を見て少し先、すでに車で一杯の平ヶ岳登山口に到着。やはり朝の早い山である。何とかスペースを見つけて駐車する。
8時出発。すでに日は高く、若干の睡眠不足もあっていやな予感がした。
平ヶ岳は登り始めから樹高の低いヤセ尾根ということである。方角によっては太陽に炙られ続けかもしれない。ブナ林の林道を10分ほど歩く。途中に水の流れがあった。ここでタオルを濡らして置けばよかったかな、とあとで思ったが文字通り後の祭りであった。
右手に尾根への取付き口が分かれていた。標識に「すぐにヤセ尾根です」と書かれていて珍しい。
杉林の登りを10分足らずですぐに左右が低潅木となり、ナイフリッジのようなスリリングなところもある。日差しギラギラである。
正面にはとりあえずの目標である稜線が遥か高いところに。この日照りの中をあそこまで登るのか、ちょっと信じられない気持ちになる。
歩き出しから30分たたないうちに15分の休憩。これは注意して登らないと、稜線に立つまでに行き倒れになると確信した。
ここ数年、7,8月の登山は灼熱の尾根歩きに苦しめられる。アルプスや八ヶ岳なら少しはましなのだが、標高2000m程度の山ではたとえ新潟や東北であっても苦行となる。
むき出しのヤセ尾根は、ロープのかかった急登も交える。木陰に入るたびにザックを下ろして体を冷やす。ちょっと頭がフラフラしている。
水は1.5リットル持っていたがみるみるなくなり、1240mピークに着くころには3分の2を消費していた。
足が地につかない感じでピークから下り、すぐに登り返し。容赦ない急登で思わずまた休止。イソツツジ、アカモノ、ゴゼンタチバナを見るが写真を撮る余裕などない。
左手が開けた稜線にようやく到達、下台倉山の標柱を見る。日帰りと思われる下山者とすれ違う。
燧ヶ岳が大きく望めるが、暑さに完全に参っているせいか気分がすぐれない。水もほとんど飲み尽くした。引き返すことも考えたが、ここから同じ道を下るよりは、あと1時間あまりの水場を目標に、さらに前進することを選んだ。
片側の切れ落ちた稜線を何度もアップダウン、ときどき樹林帯に入るとシャクナゲが現れ出す。この山の樹林は奥秩父のようなコメツガ、シラビソといった針葉樹が多くを占めている。
台倉山までは眺めがよく、進む方向のずっと先に、残雪光る緩やかな2つのピークが望まれる。平ヶ岳と、もうひとつはその手前の池ノ岳であろう。今日のゴール地点としては、笑ってしまうほど遥か遠くにそれはある。本当に今日、自分はあそこまで行くのか。
| 針葉樹の森 |
| 山上湿原 |
| ワタスゲ |
| キャンプ場 |
| ハクサンコザクラ |
| コイワカガミ |
| キンコウカ |
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その後は今までがうそのように急な登りがなくなり、樹林の中の落ち着いた道となった。台倉山から緩やかに10分ほど下ると台倉清水という水場に着いた。
水は2分ほど下ったところに湧き出ている。水量は少ないが冷たく、生き返る心地がした。あまり飲みすぎるとお腹を壊しやすくなるのだが、つい何杯も飲んでしまう。
人間の体は不思議なもので、水を得るとにわかに精気が戻ってくるのを感じた。今まで一歩さえ足を前に踏み出すのにも消耗していたのに、そこから先はいつものような足運びが戻った。台倉清水は自分にとってオアシスのような水場だった。
木道が時々現れる、なだらかな道となる。なだらかとは言っても全く傾斜がないわけではなく、木道が切れるたびに緩やかだが登りとなる。木道は平成20年に整備されたとあって、一部を除いてきれいでがっしりした造りになっている。
時たま倒木やぬかるみが現れ、道の左右に繁茂するネマガリダケが体に覆いかぶさるようなところもある。以前の平ヶ岳の登山道の映像を見ると、こうしたヤブやぬかるみがあちこちにあって、かなりな難路に映った。
その後木道が敷かれるなどして、かなり整備されてきているようだ。
白沢清水も樹林の中の水場である。ぱっと見では溜まり水のように見えたが、よく探すと流れている場所があった。口に含むと、これが台倉清水以上に冷たくておいしい。
鬱蒼としたヤブ濃い山にひっそりと湧き出ている清水。山を歩いていてこういうのに出会うと本当にホッとする。
この頃になると、日帰りの登山者が次々と降りてくる。駐車場30台分くらいの人数とすれ違っただろうか。いや、まだもう少し上にいそうである。
聞くと、キャンプ場には雪渓からの水が豊富にあり、テントを張るには最高の場所だという。今回はこれ以降、下山まで水の心配をしなくてよさそうである。
上でも十分調達できるのがわかっているのに、目の前のおいしい白沢清水を、ついよけいにペットボトルに詰め込んでしまう。
緩やかに下って、池ノ岳への登りが始まる。今日の頑張りどころはここが最後。急登ではあるが、先ほどまでのつらい苦行ではない。けれどやはりいつも以上に疲労・倦怠感が体にたまりやすくなっている。
それでも頑張って高みを目指すと、開けた笹の斜面に出た。イワイチョウやコバイケイソウといった高山植物。1年ぶりのご対面である。左手に平ヶ岳が大きく迫っているがガスがかかり始めていて、時たま真っ白な眺めになる。
この時間になっても、下山者がポツポツといる。いまからだと下山は夕方6時近くなってしまうか。日の長い今の季節なら真っ暗になることはない。
岩場を登って、ハイマツも茂る低い樹林帯を越えると、池塘のある広い草原に出た。姫ノ池というらしい。ということはさっき越えた針葉樹のピークが池ノ岳だったか。気づかずに通り過ぎていた。
今はガスで見えないが、姫ノ池は平ヶ岳を真正面に望める展望台として知られている。平ヶ岳を紹介する写真のかなりの割合が、ここから撮ったものであろう。
木道に併設された板張りの休憩スペースの上に、テントが張られている。湿原の上に張るわけにはいかないから、そういう所に張っているのだろう。正式なキャンプ場はここからさらに少し進んだところにある。
標識に従い木道を行くと残雪があり、そのずっと下にテントが張られていた。やはり板張りの上に設営している。しかも水場はまん前。自分もここにテントを張ることにした。
テント設営場所から水場まで3歩という便利さである。と言うより、他に張る場所がない。土の上に張っていいのか、わからない。
ハクサンコザクラやショウジョウバカマ、コイワカガミなどここも規模は大きくないがお花畑になっている。設営後は玉子石に行く予定だったが、今日はこのまま体を休めることにする。ちょっと吐き気もあるので、もしかしたら熱中症の一歩手前だったのかもしれない。
隣りのテントの人は、朝4時から登り始めたと言う。日帰りでないから出発は遅くていいとの考えは、ここ平ヶ岳では、特に今の季節は考えないほうがいい。朝の涼しいうちから行動開始するのが鉄則である。
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