山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 >不動堂山
  • -大蔵菅名山塊の寂峰-
  • 林道ゲート-直登コース分岐-不動堂山
  • 越後(下越)
  • 新潟県
  • 不動堂山(557m)
  • 2022年5月4日(祝)
  • 4.5km
  • 2時間30分
  • 498m(林道ゲート-不動堂山)
  • (前夜車中泊)
  • さくらんど温泉
  • マイカー
天気1

 

2022年5月4日(水)前日発
練馬IC 17:10
  関越自動車道塩沢石打SA泊
塩沢石打IC 5:10
  国道353号他
美人林、星峠の棚田、二六公園、後山ブナ林公園立寄り
国道352号他
堀之内IC 11:25
  関越自動車道
北陸自動車道
三条燕IC 12:15
  国道403号他
県道67,435号
13:15 不動堂山登山口・林道ゲート 13:20
13:37   鉄塔基部
13:57   295m点
14:43   直登コース分岐
14:55 不動堂山 15:15
15:20 直登コース分岐
15:57   鉄塔基部
16:12 不動堂山登山口 16:20
  国道290号他
さくらんど温泉立寄り
18:00 阿賀野市保田地区(旅館 グリーン会館泊)

 

ゴールデンウィークを利用して、新緑の新潟の山を巡った。ここのところは、長くて1泊2日の山行だったのだが、今回は久しぶりに2泊して3つの山に登った。
新潟県は3日とも朝から晩まで全く雲のない快晴。こんなことは後にも先にもないであろう。
新潟の山にはこれまでもずいぶん登ってきていて、この季節に登りたい未踏の山も限られてきた。それでも初登にこだわり、今回は下越の不動堂山、菱ヶ岳、そして県北で山形県境の日本国を選んだ。

翌日の菱ヶ岳・五頭山へ
翌々日の日本国へ


不動堂山山頂。正面に風越山・大蔵山の眺め [拡大 ]

キノコ工場とテントの間を通っていくと、その裏側に不動堂山登山口の駐車スペースがあった

キノコ工場の裏手

林道ゲートでは、恐ろしいいでたちの熊の看板がお出迎え

熊が恐い

登山道入口からひと登りし、眺めの開ける鉄塔基部へ

鉄塔基部

マルバマンサクの丸い葉は、左右非対称なのが特徴

左右非対称

オオカメノキの葉は正円に近い

こちらは正円

チゴユリ

チゴユリ


初日は当初、美人林など十日町のブナ林公園を回るだけで考えていた。美人林のほかいつもの定番コースで二六公園、後山ブナ林公園を車で回る。その上、星峠の棚田まで見学するという贅沢な計画をしたのだが、朝が早かったので昼頃までには予定を終え、日の高いうちに下越まで来ることができた。
不動堂山の往復なら可能そうだったので、欲張って登ることにした。

堀之内ICから関越に乗り直して、北陸自動車道へ。三条燕ICで下りて30分ほどで、前方に新緑の大蔵・菅名山塊が見えてくる。
そしてゴールデンウィークは、このあたりでは田植えの時期にあたる。いくつかの田んぼには苗が植えられていた。そうした田畑地の間の道をぬって行く。不動堂山は山塊の南側の方にあるらしいがよくわからない。

不動堂山は新潟百名山に入ってはいるが、それほど登られているわけではない地味な存在の山だ。登山口がわかりにくいということなので、入り口にあるキノコ製造工場にナビを合わせて行ったところ、すんなり到着できた。
工場の白い建物とテントの間を少し入っていくと、ゲートのある林道入口に行き当たる。車が何台か停まっていた。もう午後1時なので、自分が最後の登山者だろう。林道入口に、恐ろしいいでたちの熊注意の看板が立っていた。

5分ほどで登山道入口、杉林の急登となる。鉄塔基部で眺めが開けるがすぐにまた樹林帯。緩急を繰り返して少しずつ高度を上げていく。
この辺りは高木はミズナラ、中低木はオオカメノキやオオイタヤメイゲツの森が続く。

新緑、というかすでに緑濃く、刈り払われた登山道の幅は思いのほか狭いので、膝下に草木が当たる。これでは6月以降になるとこの草木が登山道いっぱいに繁茂して、かなり歩きにくくなりそうだ。
宝珠山など、この付近のほかの低山の登山道は、もう少し幅広く刈り払われていると思った。でもこれは、必要以上に刈り払いをせずに自然の状態を多く残そうという、不動堂山の手入れをしている人たちの意識の表れなのだろう。

登山道は次第にヤセ尾根状となり、迷う心配はないのだが草深い状態は変わらない。ミツバツツジや、ガマズミの白い花、ツクバネウツギの花はクリーム色、左右非対称の丸い葉っぱはマルバマンサク。足元にはチゴユリが点々と花を咲かせている。


ヤセ尾根に伸びるブナは、1か所から株分かれしているように、何本も太い幹が出ている

ひしめき合って

直登コース分岐は8合目となる

直登コース分岐

山頂近くなると傾斜は緩くなって、ブナ林の密度が濃くなる

ほぼブナ純林

山頂にもブナが低い位置から葉をたくさん出している

山頂にも

山頂から、残雪の粟ヶ岳が望める

粟ヶ岳

麓は田植えが始まった。中央の三角形が不動堂山

真ん中が不動堂山


太い松の木を見ると尾根はやや右に折れる。見通しの乏しい中、地道に高度を稼ぎ、標高330m付近でようやくブナが現れる。
ここで見られるブナは、根元から何本にも幹分かれして伸びているものが多い。
普通ブナは単独で、まっすぐにスックと立っている姿がおなじみで、午前中に見た美人林、二六公園など園地化されたところに育つブナは、そのような端正な姿のものばかりだった。山の中のブナはそれに比べ、気象や地形の関係でなかなか普通にまっすぐ伸びることができない。
周囲の環境の圧の大きい中、長年何かしらのストレスを感じながら、ヤセ尾根にへばりつくように形を柔軟に変えて生きている。不動堂山のブナはそういう姿のものがとりわけ多いと感じる。

標高450m付近で周囲はブナばかりとなる。大蔵・菅名山塊の一角であるこの地はやはり、上部では美しいブナ林の中を歩ける。しかし山頂までもう標高差100mくらいしかないので、ブナを見られるエリアはそう広くない。

直登コースが分岐する八合目を過ぎ、しばらく歩くとようやく不動堂山山頂となる。
それほど広くない山頂は、中央部にもブナが茂っているが、北東側は開けており風越山、大蔵山、粟ヶ岳などの眺めが得られた。ここまで全く見通しのない登山道を歩いてきたので、360度展望でなくても十分開放感に満たされ、感動さえ覚える。

不動堂山は周回することもできるが、時間も時間なので今日は往復にする。
大蔵・菅名山塊はヤマビルがいる山と言われており、不動堂山も季節によってはいそうである。ブナ好きにとっては見どころのある山だが、眺めの乏しいヤブ山の印象が強く、一般受けはしにくいと思われる。

登山口到着は4時過ぎ。この時間でもまだ日が高い。今日泊まるところはすぐ近くなので、温泉に入って、周囲の田園風景をのんびりと楽しみながら山を離れる。
明日がメイン、しっかり寝て備える。

翌日の菱ヶ岳・五頭山へ
翌々日の日本国へ