2017年4月30日(日) |
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アクアホテル燕三条 |
5:00 |
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国道289, 403号他 |
6:00 |
加茂水源池(第二貯水池) |
6:05 |
6:10 |
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一合目登山口 |
◇ |
6:55 |
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三合目 |
◇ |
7:25 |
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四合目 |
◇ |
7:40 |
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大栃平 |
7:47 |
7:52 |
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五合目 |
◇ |
8:20 |
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六合目 |
◇ |
8:45 |
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粟ヶ岳ヒュッテ(七合目) |
8:55 |
9:20 |
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八合目 |
◇ |
9:30 |
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北峰(九合目) |
◇ |
9:50 |
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粟ヶ岳 |
10:30 |
10:50 |
北峰 |
10:55 |
11:25 |
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粟ヶ岳ヒュッテ |
11:55 |
12:40 |
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大栃平 |
12:45 |
13:20 |
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三合目 |
◇ |
13:50 |
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二合目 |
◇ |
14:00 |
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一合目登山口 |
◇ |
14:05 |
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第二貯水池 |
14:10 |
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国道289, 403他
加茂美人の湯 入浴立寄り |
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三条燕IC |
17:45 |
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北陸自動車道 関越自動車道 |
21:55 |
練馬IC |
◇ |
川内・下田山塊に属する粟ヶ岳は標高1300mに満たないながらも、回りの山からはよく目立ち、山座同定の主役となる。山容も堂々として美しいことから地元の人の間では親しみのある、自慢の山となっている。新潟県ではそのような存在である一方、県外の登山者には意外と知られておらず、県内外での知名度の差の大きい山である。
初夏のヒメサユリや紅葉もいいとのことだが、残雪期も登山適期とのこと。ゴールデンウィーク中ならヒルの心配もあまりなさそうで快適な登山となるだろう。
新潟の山に登り始めて15年、この川内山塊の盟主にようやくの登頂となった。
残雪多い主稜線から。粟ヶ岳は目の前
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新潟は朝から穏やかな晴れ。昨日は予想より長い時間雨となり、今日の天候が心配だったが、どうやら大丈夫そうだ。
燕三条から車で、加茂市を経由して登山口の加茂水源池へ。広い駐車場があり、まだ一台も駐車していない。昨日山開きがあって、その横断幕がまだ張られていた。
林道を少し行った所にも駐車スペースがあるとのことだが、「これより先に駐車場はないのでここに停めて下さい」との掲示があった。どうしようか迷っていたら後から一台やって来て、林道奥に入っていったので自分もその後に続く。
数100メートルも行くと第二貯水池があり、その脇のスペースに駐車した。実際はさらに奥に行った所にもスペースはあったようだ。
橋で堰堤を渡ったところで登山届を記入・投函、少し先に一合目の登山口がある。加茂側から登るルートは中央登山道と呼ばれている。
薄暗い杉林の登りは距離も短く、すぐに自然林豊かな尾根歩きとなる。木々を通して眺めもよく、爽快なイメージの道だ。ユキグニミツバツツジの鮮やかな紫色が新緑の森に映える。
二合目の標識を見て、緩く登降を繰り返すと正面に、西から伸びるハイキングコースの尾根が近づいてきた。それに合流したところが三合目で、ベンチがあり展望が開ける。足元には先ほどからイワウチワが目立ち始め、樹林はブナが主となる。繊毛の残る若葉は赤茶っぽい色をしていて初々しい。
なだらかな尾根道を登っていく。イワウチワはますます増え、少し広い平坦地になると大群落を形成していた。尾根の右側には白いイワウチワ、左はピンク色のものが咲いており、色違いで棲み分けしているのが興味深い。
道はややぬかるみはじめてきた。昨日の雨の影響か、または上部で雪解けしているのか。
四合目で少し頭上が開け、周囲の山の眺めもきいてくる。合目ごとに青地の標識が立っている。数字だらけで一瞬何が書いてあるのかわかりにくかったが、山頂及び登山口までの距離と所要時間だった。粟ヶ岳山頂までは2820メートル、1時間55分とのことである。
緩やかな登りから一段上に上がると、登山道上に残雪が現れた。頭上が一気に開けてそのまま五合目手前の大栃平に着く。ここからは粟ヶ岳はもちろん、守門岳も白い頂を見せていた。
前方の谷間からゴー、ゴーと大きな音が山の中腹から聞こえてくる。今日は風が強い予報になっており、標高の高い所は強風が吹き荒れていることを心配していたが、あの音はどうやら雪解けの滝の水音のようだ。
大栃平からは少し下って、時折りブナ林に入るもヤセ尾根の眺めいい稜線となる。斜度は増し、三段のスチール製梯子やロープのかかった岩場の登りが出てきた。振り返ると阿賀野から新潟市方面の平野が広く見渡せ、弥彦・角田山のゆったりした姿もあった。そのすぐ先は日本海だ。
カタクリが現れ、木々の緑も少なくなる。それに反比例するかのように、周囲は白い眺めがどんどん増えてきた。標高900メートルを超え、残雪の斜面を登る。ステップが切られており問題ない。昨日は粟ヶ岳の加茂市側の山開きだったので、しっかりとした整備が入ったのだろう。(粟ヶ岳南面の下田地区の山開きは5月に入ってから)
ヤセ尾根の残雪登りが続くうち、右手に水場の標石が現れた。雪面の斜度はさらにきつくなり、ステップもこのあたりはしっかりしたものがついていない。まだ時間が早いので雪は固く、登りはまだしも下りの時はスリップに注意を要するだろう。
登り切ったところが砥沢峰のピークで、そのすぐ先に粟ヶ岳ヒュッテが建っていた。合目表示は七合目である。
ヒュッテと言っても無人小屋だが展望のすばらしいところにあり、前方には粟ヶ岳が大きくのしかかるようだ。
ヒュッテ内に荷物を少し置き、軽くしてから山頂を目指す。残雪量はここから1メートル以上となり、粟ヶ岳を正面に見据え雪上の稜線を進む。急登となってところどころ岩場を登高する。
やがて権ノ神岳からの道が合流し、ここから主稜線となる。北には飯豊連峰が壁のようだ。九合目を過ぎ、2メートルほどの残雪を横目に見ながら、粟ヶ岳山頂はもうひとつの小ピークを越えた先にあった。
風は強かったが、展望は最高である。守門岳・浅草岳も立派だが何と言っても、東に広がる川内山塊のうねるような山並みはどれも残雪たっぷりで圧巻だ。
このあたりの山は残雪期限定の道の無い山が多く、一部はエキスパートのみの領域でもある、まさに秘境だ。粟ヶ岳はそういった越後の奥山との接点に位置し、一般登山者が登れる数少ない川内山塊の峰ということになる。
大展望を眼前に、後ろ髪を引かれながら下山に入る。飯豊を正面に見ながら残雪の尾根を行く。登山者が次から次へとやってきて、この山の人気の高さが伺える。
九合目の先で稜線を外れ粟ヶ岳ヒュッテに下っていく。ヒュッテで昼食をとる。
室内には昨日の山開きに使用した貼り紙などが残っていた。伝言板がわりの黒板には「(明日の)山開き、どうか晴れて下さい→晴れました。ありがとう」の文字が。昨日は夕方大雷雨だったが、日中の天気は持っていたようで、山開きは盛況だったことだろう。
ここからの下りは急なヤセ尾根のため、アイゼンを使うことにする。こういう状態の道があることを予想して持ってきていたので、使わない手はない。雪がなくなるまで短い距離ではあるが、スリップの心配を全くせずに下れた。
気温が上がって雪面も緩んできたので、アイゼンはすぐに外す。この先の岩場を通過すれば、あとは写真を撮りながらのんびり下れる。
日が高くなり山々の眺めはあまりよくなくなったが、花には十分日が当たるようになって撮影しやすい。カタクリやショウジョウバカマ、ナガハシスミレ、木の花ではタムシバ、オオカメノキの白花が多く、マンサクも咲き残っていた。下の方ではユキグニミツバツツジがそこかしこで日の光を浴びて鮮やかな紫色を輝かせている。
しかし何と言ってもこの尾根のイワウチワの多さには驚かされた。
後方の登山者が下ってきては抜いていく。地元の人が多いのだろうか、みな足が速い。
四合目の標識は下り30分の表示になっている。つまりここから一合あたり10分の計算だ。自分はそれぞれ20分から30分もかかっている。手持ちのガイドもよくみたら同じく10分ずつなので、おそらく自分が遅いのだろう。
県外の登山者にとっては残雪の山の美しさ、花の多さや初々しいブナの若葉に感動しながら歩いており、急ぎ足で通り過ぎるわけにはいかなかった。
先ほどまで残雪ばかりだった周囲の山の景色も、三合目まで来るとすっかり新緑の装いに変わっている。5月の新潟の山に登ると季節をまるまるひとつ分行き来する。
貯水池の水面が見えてきた。一気に下って一合目の登山口に下り立つ。期待を大きく上回る最高の山だった。
車で戻る途中、加茂美人の湯に寄っていく。下界は気温が上がり、もう初夏の様相だった。温泉からは粟ヶ岳の勇姿が余すところなく望め、前景の川や田んぼとマッチして美しい田園風景を形作っていた。
地元の人にとって粟ヶ岳は「お山」であり、そこにあって当然の存在なのだろう。
東京への帰路は長い。高速渋滞に巻き込まれるのも嫌なので、適当に時間をつぶしてのんびり運転していくとする。昨日は大雷雨で全く見えなかった越後の山並みが、青空をバックにくっきりと姿を見せていた。