山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 天水山
  • -信越トレイルの終点はブナの原生林-
  • 松之山登山口-天水山-三方岳-深坂峠
  • 信越
  • 新潟県/長野県
  • 天水山(1088m), 三方岳(1139m)
  • 2017年10月28日(土)
  • 7.5km
  • 2時間30分
  • 272m(松之山登山口-三方岳)
  • -
  • 松之山温泉 鷹の湯
  • マイカー
天気1

 

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2017年10月28日(土)
鍋倉山・巨木の谷駐車場 11:20
  県道95号, 国道403・117号、県道49号
12:20 松之山登山口 12:25
12:46   尾根上
13:05 天水山 13:15
13:57 三方岳 13:52
14:22 深坂峠
15:10 松之山登山口 15:20
  国道405号, 県道80号, 国道353号他
松之山温泉鷹の湯立寄り
17:55 塩沢石打IC
  関越自動車道
21:30 練馬IC

 


鍋倉山から下山し国道を東進、細い県道に入る。上りに転じ、無印良品キャンプ場を抜け山伏山の下を巻いていく。舗装されているが幅の狭い一車線のくねくねした上りが続く。
標高を上げると周囲は再び見事なブナの黄葉に包まれた道となる。津南登山口を分け5分ほどで、標高870mの松之山登山口に着いた。

午前の鍋倉山へ


天水山のブナ林

松之山登山口

松之山登山口

尾根に上がるまでブナ林の急登となる

色づく中

尾根上に出て、天水山を前にする

山頂へ

尾根上から長野県側の山並み

長野県側の眺め

天水山山頂

天水山山頂

天水山から西側に続く縦走路は豊かなブナ林が広がる

豊かなブナ林


時刻は12時を過ぎた。天水山は信越トレイルの終点の山であり、ここから80km先の斑尾山まで標高1000m前後の尾根筋を中心に登山道がつけられている。午前中に登った鍋倉山と黒倉山もトレイルの通過点である。
コース中にはテントサイトもあるようなので、新緑や紅葉の時期はそれなりに混むかと思っていたが、今日はやはりこんな天気なので、人出は今ひとつである。登山口の駐車スペースには2台停まっていた。

ここから山頂往復でも2時間かからない。午後の山なら手頃だろう。登山口から林道を少し上っていくとすぐに見応えのあるブナの純林となった。紅葉もこの辺りがちょうどよい。
登山道に入るとすぐに急な斜面を登るようになる。けれど距離は短く、程なく尾根に上がった。津南口からの道を合わせる。目指す天水山はもう目の前にある。やはり稜線に出ると風がゴーゴーと音を立ててうなっており、青空も依然として見えない。

幾度かのアップダウンを経て天水山山頂に着く。1組の家族がいた。山頂にもブナが生育しており、鍋倉山以上にここはブナの山である。葉はもう落ち気味ではあるが、紅葉はまだ見られる。展望は東側の山麓が見下ろせる程度だ。

ブナの紅葉は楽しめたが、思った以上にあっけなかったので引き返さずにこのまましばらく、信越トレイルの稜線を歩いていくことにした。
天水山からは緩いアップダウンがいくつか続く。この山は双耳峰とのことで西峰というのがあるらしいが、どのピークが西峰かわからなかった。小ピーク間の鞍部には素晴らしいブナの林が展開し見応えがある。
次第にヤセ尾根になり、特に新潟側の斜面は切れ落ちていて、ところどころて眺めが得られる。平野の先に見えるのは黒姫山と尾神岳のようである。進行方向には信越トレイルの尾根がうねうねとどこまでも続いていた。午前の鍋倉山は尾根の先で、ここからは見えなそうである。

尾根上からは北(新潟)側の眺めが開ける。刈羽黒姫山や尾神岳を望む

新潟側は開ける

深坂峠へも開けた稜線が続く

開けた稜線

深坂峠

深坂峠

深坂峠からの車道では遠く越後三山が望めた

越後三山が見える

天水山北面のブナ原生林は、日本の自然百選に選ばれている

天水越ブナ百選

棚田を眺めながら松之山温泉へ下る

天水越の棚田


信越トレイルを日数をかけて縦走するとなると、やはりアクセスがネックになって、車で行く場合下山してからの車の回収方法を考えなければならない。登下山口間のマイカー回送サービスもあるらしいのだが、現実的にはJR飯山線の駅からタクシー利用となりそうだ。林道を歩いてのアプローチはかなり長くなる。
山自体は手頃でエスケープルートも多数あり、この山域に近いところに住んでいれば、足しげく通う山になりそうだ。

稜線がやや左に向きを変え、ようやく登り傾向の道となる。着いたところが三角点のある三方岳だった。展望はなく、山名標がなければ通り過ぎてしまいそうなところだ。
空気感が湿っぽさを覚えるようになり、すぐではないにしても雨が落ちてきそうな雰囲気である。しかしあとは深坂(みさか)峠まで下り舗装林道を戻るのみとなる。

急崖のはるか下に見えていたその林道がどんどん近づき、駐車している車も見えてきた。その林道に下り立ち新潟側に少し歩くと深坂峠である。

信越トレイルはこの先伏野峠から牧峠、関田峠を経て午前中の黒倉・鍋倉山に至る。その間も20km近くあり1日でも歩ききるのも大変だが、トレイル起点の斑尾山へはさらに50km以上ある。奥秩父の主脈縦走路である、雲取山から瑞牆山までが50kmくらいだから、あまりにも長大な縦走路である。
なお現在群馬県で、谷川岳から四阿山までを縦走路で結ぼうという計画が進行中である。この『ぐんま県境稜線トレイル』が完成すれば総長100kmというおそらく国内最大の稜線ルートとなる。個人的には、未開通の三坂峠から白砂山間の部分が、開通予定の来年夏までにどう整備されるかに興味がある。

縦走者のためのテントサイトがある深坂峠からは新潟側が大きく開け、越後駒まで見えた。右手にはさっきまで歩いていた稜線が切り立った崖の縁を伝っていたのがよくわかる。45分ほどの林道歩きで松之山登山口に戻った。
この時間になって、登山口付近で多くの人を見かけるようになる。登山ではなく観光客のようだ。2名の若者がブナの大きな写真を持って、「この写真のブナのある場所を知りませんか?」と聞いて回っていた。
同じようなブナはいっぱいあったので答えられなかったが、天水山はたしかにそのような人を惹きつける魅力的なブナが多い、いい山だった。
欲を言えば天気のいい日に登りたかった。山頂から東にある山伏山もブナの山で、山伏山と合わせて津南登山口から天水山に登るのも面白そうだ。新緑の時期にぜひ再訪したい。

東京への帰路は、来た道を引き返さずに十日町を通って関越自動車道方面へ行く。棚田を見て、松之山温泉に立ち寄りしていく。昔ながらの素朴な雰囲気を持った温泉場だった。ホウ酸温泉という珍しい泉質で、口にすると塩辛い。関田山脈が海抜0mから隆起してできた山地であるということも影響しているのか。
この付近は気象的な条件によって、標高のかなり低いところまでブナ林が成育しており、観光パンフレットで紹介されている「松之山の美人林」も標高300m台のところにある二次林である。
松之山地区は同じ新潟の豪雪地帯の山村でも、魚沼平野の明るい広々とした場所とはイメージを異にし、隠れ里のような一種独特の雰囲気を持っていた。

もう日も落ち、国道で峠越えする頃には真っ暗となった。街灯もないので車のライトのみが頼りである。しかもついに雨が降ってきた。
塩沢石打のインターに入り、関越トンネルを抜けると関東地方は大雨だった。

午前の鍋倉山へ