2019年3月31日(日) |
◇ |
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新宿駅 |
6:29 |
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京王線
北野駅乗換 |
7:21 |
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高尾山口駅 |
7:25 |
7:40 |
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ヤマルリソウ自生地 |
7:45 |
7:55 |
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ろくざん亭 |
◇ |
8:53 |
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金比羅台 |
9:05 |
9:24 |
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ケーブル山頂駅 |
9:30 |
9:38 |
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2号路北側~4号路 |
◇ |
10:24 |
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美人ブナ |
10:30 |
10:55 |
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高尾山直下(1号路) |
◇ |
11:15 |
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薬王院 |
◇ |
11:35 |
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3号路 |
◇ |
12:30 |
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2号路南側 |
◇ |
12:43 |
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1号路 |
◇ |
13:07 |
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金比羅台 |
◇ |
13:37 |
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ろくざん亭 |
◇ |
13:50 |
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高尾山口駅 |
13:59 |
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京王線
北野駅乗換 |
14:51 |
新宿駅 |
◇ |
高尾ビジターセンターのHPを見ると、イヌブナが発芽したとのこと。スミレの開花状況も気になるので、今週も高尾山に出かけることにした。
4号路のイヌブナが芽吹き始める
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未明の雨も上がり、朝から快晴、のはずだったが高尾の町はどんよりした天気。高尾山口駅に着くと、上のほうはまだ霧雨が降っているように見える。
朝早いからか、思ったほど人も少ない。今日もろくざん亭から登る。高尾山は最近この道ばかり歩いている。急なところはなく、照葉樹林に雑木が混ざって、全体的に明るい雰囲気の道だ。
アオキが新しい葉を出し始め、アカシデも芽吹き小さいながら雄花を垂らしていた。ミミガタテンナンショウもニョキッと頭を出している。
ろくざん亭ルートは静かだが、時々少人数のグループが登ってくる、スミレや木を観察しているうちにどんどん抜かれていく。
カシの大木まで登るとまさかの雨模様となってしまった。19度まで上がると言っていた気温予想だったが、たぶん10度に達してないだろう。以後ザックカバーを着けて登る。
シャガやミヤマシキミの咲き始めた斜面を過ぎると金比羅台。当然眺めはない。イチョウの大木の裏手の樹林帯に入り、ブナがあるか探してみる。
高尾山にはイヌブナのほか、少ないがブナもある。標高600mにも満たない太平洋側の山にブナがあるのは珍しく、昨年以来注目して見てきた。今までケーブル山頂駅付近や不動堂周辺、いろはの森上部でブナを確認できた。
また文献などによると、ケーブル山頂駅の東側、標高380m付近に高尾山で一番低標高に位置するブナがあるそうだ。しかし自分はまだ見ていない。昨年は、金比羅台からリフト・ケーブル駅方向への登路の背後にある尾根筋(踏み跡あり)を探したがなかった。
金比羅台には標高387mとの標柱が立っている。地図上で確認するともう数メートル低いように思うのだが、何れにしてもこの辺りにその最低標高のブナがあるはずだと思い、今日は金比羅台の裏を探してみた。イヌブナらしき大木はあったが、やはりブナを見つけることはできなかった。
ネットを調べても実際に見た人はなさそうで、もしかしたらもう倒れてしまったのかもしれない。
気を取り直して、ケーブル駅方面へ1号路の登りに入る。とたんに人が増える。道脇にはナガバノスミレサイシンをはじめスミレがたくさん咲いていた。麓の林道ならわかるが、もうこんな稜線まで咲き始めているのに少し驚きを感じる。
カヤや杉など黒木の多い道ではあるが、クマシデ、イロハモミジ、チョウジザクラといった落葉樹もかなり芽吹いている。絹毛をいっぱいつけた葉を出したイヌブナもある。
ケーブル山頂駅は、早い時間から黒山の人だかり。改札奥の展望台広場に行ってみる。
ここの展望台は、下から伸びてきたイヌブナが手すり越しに観察できたのだが、ついに上半分が切られてしまった。伸びた枝が手すりを超えて展望台の内側にはみ出してきており、服や肌に引っかかったりなどして迷惑がる客もいたのだろう。そういう理由で切られたのだろうか。これだけ人が増えて観光地化したのだから仕方のないことかもしれない。
しかしコンクリで固められた展望台とはいえ、ここは山の上である。デパートの屋上と同じような感覚で捉えられてしまっているとしたら残念である。
木が切られた結果、中央自動車道を前景に、高尾山稜や奥多摩の山々がパノラマで眺められるようになった。もしこの眺めを得るために木を切ったのなら問題外だ。
それでもイヌブナは残された枝には、冬芽から萌黄色の葉がたくさん姿を現し始めていた。ブナやイヌブナの芽吹きや開葉は早い。しかし昨年見たような花は全く出ておらず、すべて葉だけだった。今後花をつけた芽が開くのかが気になるところだ。
イヌブナの奥、自動販売機の裏手にあるのはブナのほうで、「駅前ブナ」と呼ばれているものだ。こちらも上の方の枝が伐られていた。芽吹きはもう少しである。
2号路から4号路と、北斜面の登山道に入る。淡いピンク色のヒナスミレが盛りとなっている。昨日の雨水が葉に乗って瑞々しい。ヒナスミレはスミレの中でも早いうちに咲く。タチツボスミレはまだあまり出ていない。
クスノキのような3本の葉脈が特徴的なのはシロダモだろう。そしてイヌブナはひこばえの細木に鮮やかな黄緑色の葉を次々と出し始めている。こうして見ると4号路はイヌブナが思った以上に多い。ひこばえ状になっている木はどれもイヌブナだった。
今日の目的、イヌブナの発芽がないかと注意深く地面を観察していく。4号路の中間あたりになるとその双葉が見られるようになった。吊り橋を渡っていろはの森登山道に合流、美人ブナ付近でも発芽した双葉をいくつか見る。ただこのあたりはイヌブナも多いので、おそらくそちらだろう。ブナのほうは、高尾山で発芽したものを見るのは難しそうだ。
高尾山頂には寄らず、薬王院方面へ下る。渋谷か銀座かと思わせるほどの人の多さだ。
薬王院を出たところで右折し、今日は3号路を歩くことにする。3号路に入る手前にもヒナスミレがたくさん咲いていた。4号路とは打って変わって、南面の3号路は照葉樹林の世界である。カシとシイの区別がまだよくわからず、大木が目の前に現れるたびに立ち止まって考える。
ようやく雲が切れて青空が覗くようになった。目の位置には茶色い花のついたユズリハ、足元にはエイザンスミレを見る。湿っぽい場所にはヤマネコノメソウ。地味だけどよく見るとなかなかユニークな形をしている。
最近、ハナネコノメの人気が高くなってきたようで、高尾山ほかの低山ハイキングの報告を見ると、ハナネコノメのきれいな写真がよく掲載されている。この花は小さいので、観察するには花の咲く位置にかなり近づく必要があり、踏みつけにより咲く場所が荒れる恐れがある。
日影沢のハナネコノメが今年少なくなったのは、人の沢への入り込みが原因ではないだろうか。
トウゴクサバノオもたくさんあるが花は開いていない。棘のような尖った葉が特徴のヒイラギは、齢を重ねていくと尖っていない葉になるそうだ。一本の枝に尖った葉と尖っていない葉がいっしょに見られ、興味深い。山にはまだなお、知らないことが多すぎる。
1号路に戻り、金比羅台から再びろくざん亭コースを下ることにする。今頃になって晴れて気温も上ってきた。好天の下を歩けなかったのは残念だが、今日もいろいろ観察しながらの山歩きができて、体よりもむしろ頭のほうをより使った意義ある1日となった。