山の写真集 > 大菩薩 > お坊山
  • -新緑の尾根へ-
  • 道証地蔵-大鹿峠-お坊山-東峰-東尾根
  • 大菩薩
  • 山梨県
  • お坊山西峰(1430m), 東峰(1421m), 棚洞山(1201m), 入道山(992m)
  • 2013年5月18日(土)
  • 12.4km
  • 5時間30分
  • 620m(道証地蔵-お坊山西峰)
  • -
  • -
  • 中央線,タクシー,京王線
天気

 

地図
2013年5月18日(土)
新宿駅 6:10
  京王線
北野駅乗換
7:05 高尾駅 7:11
  中央線
7:48 大月駅 8:15
  タクシー
8:40   道証地蔵 8:45
9:00   大鹿峠登山口
10:00   鉄塔
10:10 大鹿峠 10:20
11:05 稜線
11:10 お坊山西峰 11:15
11:28 東峰 12:15
13:05 棚洞山
13:35 入道山
14:30 東尾根登り口 14:45
15:20 笹子駅 15:35
  中央線
高尾駅乗換
16:38 八王子駅 19:15
  京王線
19:16 新宿駅

 

風薫る5月、大菩薩連嶺の南端、お坊山に登った。
お坊山一帯は広葉樹が多く、隣りの笹子雁ヶ腹摺山や滝子山のように人もそう多く訪れない。新緑や紅葉を楽しめる穴場の山である。
毎年4月に恒例となっている高尾スミレオフが、今年は悪天候で中止になったため、今回の企画となった。山を選んだのは自分で、5月中旬くらいなら標高1500mくらいの山なら花も残っているし、いいだろうと、二兎を追う目的で選んだ。実際は花はあまりなく、せいぜいツツジ系が見られるくらいだったが、この日は天気もよく新緑真っ盛りの山を楽しめた。


棚洞山にて、樹林の切れ間から見上げるお坊山は緑の山

道証地蔵付近から、見上げる山稜は奥まで緑に染まる

奥まで新緑

林道沿いには藤の花が多い

青空に映える

大鹿峠へ直接登る取り付き口。以前は破線ルートだったが、現在は実線(一般登山道)になっている

登り口

トチノキの大きな葉は裏側まで透けて見えそう

透過光

大鹿峠までは、峠道らしい緩やかな登りが続く

峠道の風情

イヌブナは普通のブナに比べて樹皮が黒っぽく、根元に細い木が群れて生えていることが多い

イヌブナ

ヤマツツジ(大鹿峠)

ヤマツツジ

大鹿峠からお坊山までは、鬱蒼とした緑のトンネル

緑のトンネル

大鹿峠からお坊山までの急登を黙々と登る

頑張りどころ

ヤブレガサ

ヤブレガサ

ルイヨウボタン

ルイヨウボタン

ミツバツツジ

ミツバツツジ

大月駅から、登山口に近い道証地蔵までタクシーでアプローチする。登山口により近い笹子駅から乗りたいのだが、笹子駅周辺にはタクシー会社がなく、営業所のある大月駅か甲斐大和駅からしか予約できなかった。予約ではなく、笹子駅付近から直接電話をかければ来てくれるかもしれないが、迎車代を取られるのかもしれない。
青空の爽やかな春の山村風景を見ながら登山口へ向かう。林道の上りになると、歩いて登山口に向かう登山者をどんどん追い越していく。滝子山登山口でもある道証地蔵に到着。料金は約4800円だった。
林道をもう少し歩く。周囲は新緑真っ盛り。藤の花もあちこちに鮮やかな紫色を放っている。暑すぎず寒すぎず、快適な出だしである。今日の参加メンバーは5人。のんびりしたペースで花や樹木を観察しながら緩く登る。林道が左にカーブすると西(右)側に手すりのついた登り口がある。

緑豊かな登山道が始まる。ヒトリシズカ、フタリシズカ、ツルキンバイの黄色い花が咲く。スミレはタチツボを時たま見るのみ。大鹿峠までの登山道は峠道の風情で、急なところがなくゆるゆるの歩きやすい登りである。トチノキの大きな葉は、透けて反対側が見えてしまいそうな明るい萌黄色である。カエデ、イヌブナ、ミズナラなど新緑の森が続く。谷を隔てて滝子山の頂が望めた。
左の山側の斜面には、時折り枝道が伸びていて、これらは下山に使うお坊山東尾根に通じているものもあるかもしれない。ベンチを何箇所か見て、送電鉄塔をやり過ごす。登り口から1時間で、ヤマツツジの咲く大鹿峠に到着した。
狭い大鹿峠の反対側は切り立った崖である。樹林を透かして南アルプスの雪山が見えた。日が上がって暑くなった。sanpoさんが凍らせてきてくれたオレンジが冷たくておいしい。

稜線に出ると端正な三角形の滝子山が高い

形よい滝子山

お坊山西峰からは富士山がよく見える

世界遺産へ

「お坊山の東峰」ではなく、単に東峰と書かれているところが興味深い

東峰

クサタチバナ

クサタチバナ

お坊山東尾根のジグザグ道を下る。周囲は新緑真っ盛り

深い新緑の中を下る

ミズナラ

ミズナラ

棚洞山付近で南側の展望が開ける箇所あり。本社ヶ丸(右)から鶴ヶ鳥屋山までの稜線。中央に突き出て見えるのは三ツ峠

数少ない展望地

東尾根の株はアカマツも混じってくる

アカマツ

お坊山東尾根の登り口にこのような取り付き口の案内板があるが、実際はどこを登ったらいいか迷いそう

わかったような

中央線のガードをくぐって笹子駅へ

里道を歩く

お坊山へは鬱蒼とした樹林の中の急登である。はじめはやせた尾根、皆うつむき加減に黙々と登る。尾根の幅は次第に広がり、少しゆとりが出る。巻き道を左に見るが、展望のあるお坊山西峰に寄っていきたいため直登の道を行く。
ミツバツツジが見え始めると空が広くなって、稜線にたどり着く。ここはお坊山西峰・東峰間の鞍部になっている。ベンチがあり、ここからは滝子山の眺めがいいはずだが、葉の茂った季節だからか、やや樹林に隠れ気味の滝子山だった。そして青空の下、大谷ヶ丸やハマイバ丸なども望めた。

稜線を右へ行く。標高1400mは萌黄の色もまだ軽い。お坊山西峰も狭いが、場所を移動すると富士山、八ヶ岳がよく見える。南アルプスは甲斐駒、北岳から南の悪沢・赤石まで遠望できた。気温が高いわりには空気が乾き、クリアな眺めが得られた。
鞍部に引き返し、直進すると今度はお坊山東峰に着く。立派な山名標識には「東峰」とだけ書かれている。以前来た時は晩秋や初冬の時期だったので、葉も落ちて広々とした平坦地のイメージがあったのだが、今日は緑多い樹林の山である。それでも南方には木々の向こうに大きな富士山が見えていた。平らなところに腰を下ろして昼食休憩とした。

それにしても、今日は登り始めてから他の登山者を見かけない。笹子雁や滝子山はそれなりに賑わってはいるだろうが、お坊山にはなかなか人が来ない。タクシーを使わない場合は、駅からはけっこう距離がある山ゆえ敬遠されているのかもしれないが、晩秋や初冬の折は縦走者がそこそこいる。

下山は東尾根である。紅葉の時期に一度登りに取ったことがあるが、落葉樹の多い歩きやすい尾根との印象があった。ただし一般登山道にはなっていないので、取り付き口がわかりにくかったり、下部は急登で骨が折れる。
東峰からの下り始めはなだらかで気分が落ち着く。傾斜がさほどないため、尾根通しに下っても、左に伸びる巻き道を取っても、どちらでもよさそうだ。
巻き道を行くことにしたが、どんどん尾根から離れていってしまうので時々不安になる。まさか登りに使った尾根に合流してしまったりして・・・そんなことも考えられる。しかしちゃんと、下の尾根筋に戻ってくるように踏み跡はついていた。ヌタ場のような湿った場所を過ぎると、以前歩いた記憶が何となく蘇ってくることもあった。

少し高度を落とすと再び新緑真っ盛りの森となる。ミズナラが多く、滝子山の東側の尾根と印象が近い。巻き道から尾根に沿うようになると、少しの登り返しで棚洞山に着く。樹林の切れ間からお坊山の丸い山体が覗く。
さらに下っていくと尾根がやせてきて、アカマツが混ざるようになる。入道山の前後で南側の展望が開けた。本社ヶ丸-鶴ヶ鳥屋山の稜線の上に覗いている電波塔の山頂は三ツ峠である。
入道山、その先の小ピーク(上平山)付近では山火事跡が見られた。

ここから先は急降下となる。落ち葉の積もった急斜面のジグザグ道だ。ちょっとボーっとしていると足を踏み外して転落してしまいそうなところもあるので、一歩一歩着実に下る。5名の帯列がたちまち長くなる。
かすれた文字で「お坊山登山道」と書かれた白い板が立てかけられていた。これは記憶がある。その先はさらに落っこちるような急坂。左手に大きな崩落地を見ると、登山口も近い。最後は滑りやすい斜面を手を使いながら下って、林道の通る取り付き口に下り立った。

自分を含め、メンバーの何人かはここを登ったことがあるが、どうも今降りてきた場所から登った記憶がない。登山口はもっと別のところだったはず。ということで、誰彼言うともなく、かつて取り付いた登り口を探そうと林道を登り返した。苦労して下山してきたばかりなのに、皆元気である。
少し登ると何箇所か登り口があった。まあ、どこから登ってもいいのだろうが、いずれにしても最初は急登を免れないようだ。

目の前に走っている中央自動車道のガードをくぐり、その先の中央線のガードもくぐって笹子の山里をのんびり歩いていく。ムシムシした感じはないが麓は暑い。国道に設置された温度計は27度を差していた。そろそろ下山後のビールがうまい季節である。
駅までの間に自販機などはないが、笹一酒造がある。日本酒専門かと思って建物の中に入ってみたら、ちゃんと缶ビールが置いてあった。誘惑に負けて一本買う。笹子駅までぐびぐび飲みながら歩く。行儀が悪いが今日のところは勘弁してもらおう。
スミレオフ会の代わりの割には花の少ない1日となってしまったが、何と言っても新緑の素晴らしい山だった。八王子で打ち上げ会の後、現地解散する。