~風雪をしのいで峠越え~ |
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今冬の東京周辺の山は、どこも雪が深い。丹沢では2m近い積雪があり、蛭ガ岳山荘の小屋番の方が下山中、ヘリで救出されたとのこと。 2週間前、大菩薩峠に通じる丹波からの登山道で遭難があった。大菩薩も例外無く雪が多い。白銀の世界を見に、輪カンを持って出かけた。
前日介山荘の方に電話し、各登山道のトレースの付き具合を聞いてみた。 上日川峠から石丸峠への道を歩いてみたいのだが、トレースがないそうだ。また、小菅村へ通じる登山道にトレースがついたそうなので、下山路に使うことにした。なお、丸川峠や丹波、牛ノ寝通りにはまだトレースがないらしい。 ●強風の大菩薩稜線を行く
電車を1本乗り遅れ、塩山からタクシーを使うことになってしまった。裂石登山口から少し入ったゲートのところまで3140円。 のっけから雪道で、アイゼンを装着する。千石茶屋を通って尾根の取り付きへ。登り出すと、積雪はすでに50cm。ここからこんなだと上ではいったいどうなってるのか。トレースはしっかり踏み固められている。道も斜面も白一色で、あたりの雰囲気は雪山そのものである。 上日川峠着。ロッジ長兵衛の屋根にはつららが下がっている。 ここから福ちゃん荘・唐松尾根経由で大菩薩嶺に至る道と、石丸峠に行く道とが分岐するが、石丸峠への道はトレースがまったくなく雪の海のようなので、そっちへ行くのはあっさりとあきらめた。 福ちゃん荘までは、夏道と違い車道の方を登る。唐松尾根に入ると、風が強くなりジンと底冷えした感じがする。 急な登りであるが、標高を上げるにつれ後方の展望がどんどん開けていく。富士山や南アルプスの白いスカイラインが見事だ。
風はさらに強くなり、舞った雪が頬に当たって痛い。 雷岩からすぐに大菩薩嶺に行く。山頂には男性が5人ほどいた。皆丸川峠から上って来たようだ。トレースを付けて来たのか、あるいはある程度ついていたのか?ひとりはスノーシューだった。 雷岩に戻る。稜線の積雪は平均80cmくらいか。岩の高みに上ると、目の前に雪原が広がる。こういう光景が東京近辺の山で見れるとは思わなかった。 行く手をはばむかのような台風なみの風。雪が猛烈に舞っているので、100m位先に歩いている人がつけた足跡は、すでにぼんやりとしてしまっている。いい機会なので輪カンを試しに履いてみる。最初のうちはぎこちない動きで、前のめりに転んでしまった。 これほどすごい風なのに頭の上は青空だ。不思議な天気だ。 山での強風は、一昨年の九重連峰(大分)や安達太良山(福島)で猛烈なのを経験したが、東京近郊の山でこれほどなのは初めてだ。 |