タイトル
横手駒ヶ岳神社-七丈小屋-甲斐駒ヶ岳-北沢峠
2009年9月13日(日)~9月14日(月)
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8年ぶりの甲斐駒ヶ岳を、黒戸尾根から登る。今では北沢峠からの登路が一般的だが、かつては信仰の山として、この黒戸尾根につけられた山道が表参道であった。南アルプスの主峰を麓から登るので、標高差が2200mある。

自分が今までの山行で経験した一番の標高差は、北アルプス笠ヶ岳の1820mだった(単純に登山口から最高点までの差で計る場合)から、それを軽く越えることになる。
ただし途中の山小屋に一泊しての登高なので、その分きつさは軽減される。

岩の積み重なる黒戸尾根から地蔵岳方面を望む
岩の積み重なる黒戸尾根から地蔵岳方面を望む
この尾根のもうひとつの特徴といえば、南アルプスの一般コースとしては珍しく、無数の梯子や鎖場・岩場を越えていくことである。

うわさには聞いていたが、実際登ってみてこれほどたくさんあるとは思わなかった。
マップ



2009年9月13日(日) 晴れ 歩行4時間35分
5:03新宿駅-[中央線、高尾駅乗換え]-8:16日野春駅8:20-[タクシー]-8:40横手駒ヶ岳神社-9:25展望台9:30-10:00沢出合-10:30笹ノ平10:40-11:45刃渡り11:55-[10分休]-12:20刀利天狗-3:00五合目13:15-14:00七丈小屋(泊)

2009年9月14日(月) 晴れ後時々曇り 歩行4時間30分
5:45七丈小屋-6:30八合目御來迎場6:40-7:45甲斐駒ヶ岳8:40-9:40駒津峰9:50-10:20双児山10:35-11:45北沢峠12:55-[村営バス]-13:30広河原14:00-[山梨交通バス]-15:50甲府駅16:10-[かいじ118号]-17:58新宿駅


●長い行程を一歩一歩
9/13(日) 日野春駅~横手駒ヶ岳神社~刃渡り~五合目~七丈小屋  晴れ

朝の中央線に乗り、日野春駅で下車。初めて下りる駅だ。八ヶ岳がよく見える。
ここから、登山口の横手駒ヶ岳神社まではタクシーを使う。今回は、車で行こうか最後まで迷ったが、結局電車とタクシーにした。車を使った場合の問題は、回収の方法である。

明るい自然林
石碑
コメツガの森

黒戸尾根を往復するならマイカーが便利だろう。ただし、山越えして北沢峠に下山しても、バスや電車を駆使して横手に戻って来る方法もある。
北沢峠→[バス]→広河原→[バス]→甲府駅→[中央線]→韮崎駅→[バス]→牧の原→[バス]→横手→[徒歩20分]→横手駒ヶ岳神社というかなり複雑な交通手段となるが、不可能ではない。お昼前後に北沢峠に下山できれば、夕方6時頃までには回収できる。
また、横手ではないもうひとつの登山口、竹宇(ちくう)駒ヶ岳神社へには、長坂駅からのタクシーが近い。夏季には尾白川渓谷へ行くバスが利用できる。黒戸尾根の登山は、プランを立てるのに楽しみがある。
今回は車回収の手間もなく、下山後も余裕のある行程で屈指のハードコースに挑戦できる。

空は青空。甲斐駒もくっきりとしたシルエットを形作っている。
タクシーは農道を走って横手の住宅地へ。横手駒ヶ岳神社の横を通り、少し先の登山口でタクシーを下車する。3770円だった。

登山道は、雑木林の緩やかな登りで始まる。南・北アルプスの登山は、いつも登り出しの標高が高く、今日のように歩き始めが雑木林というのは珍しい。
鬱蒼とした感じはなく、東から西方向に進むので、背後に明るい日差しを浴びる。木々の葉がキラキラして、まるで新緑の頃のような輝きを見せている。

昔から歩き継がれてきた道らしく、道の付けられ方に無理がなく歩きやすい。随所に現われる石碑が、かつての参詣道としての名残を示している。江戸の時代から、「駒ヶ嶽教」という信仰登山が定着し明治、大正時代に最も栄えたと言われている。
それにしてもここは日本の三大急登に数えられているのに、初めは意外なほどゆったりした登りである(三大急登の他2つは、北アルプス烏帽子岳のブナ立尾根、谷川岳の西黒尾根)。

じきに切り開きに出て、八ヶ岳方面の眺めが得られた。前後して夫婦が一組、歩いていた。ヘルメットを携行している。ほどなく、再び八ヶ岳が大きく望める展望台に出た。

刃渡り
八ヶ岳の眺め

初めのうち気温が高かったので早くにTシャツになったが、風の冷たい時もあり、再び長袖を着るタイミングを探る。やがて道の両脇に低い笹が現われ、全く斜度のない道となった。
ほどなく下りとなりをまたぐ。先ほどの夫婦に追いついたので、ヘルメットのことを聞いてみた。来週劔岳に登るので、この上の刃渡りで予行練習するということだ。そのため今日は5合目で下山するらしい。
刃渡りはそういうことも出来るような場所なのか。ちょっと身が引き締まる。

沢から先は、ようやくというか、なかなか厳しい急登が始まる。標高差2200mを登るのに、これくらいはなければおかしい。
もう1度沢を渡って、さらにジグザグに登高していく。きついな、と感じるころ、竹宇からの道が右から合わさる。笹ノ平という場所である。いっぺんに山が深くなった気がする。
その先の少しなだらかな場所で休憩する。上部は風が強く、鳥の声が聞こえない代わりにヒューヒューという乾いた音が頭上で回っている。

再び急登となる。コメツガなど針葉樹が増え、南アルプスの森閑とした雰囲気に溢れてくる。少し岩っぽくなってきたと思うと、不意に目の前が開ける。刃渡り(はわたり)に到着した。
写真で見ると、両側が切れ落ちかなりスリルのある岩場に映るが、実際乗って歩いてみるとそんな恐さはない。
個人差はあると思うが、鎖もついているし、濡れていたり強風でも吹いていなければ、普通に渡れる。振り返るといい眺めである。黄色に染まりつつある白州町の田畑地域が見下ろせた。



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