展望随一、南アルプスの重鎮
タイトル
北沢峠-仙水峠-甲斐駒ケ岳-双児山-北沢峠
2001.7.14~15. 晴れ時々曇り
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●雲海の仙水峠、駒津峰を経て山頂へ

翌朝、回りのざわつきにつられ、3時過ぎに起きてしまう。食事とテント内の整理をし、まだ薄暗い4時半に出発。まずは仙水峠を目指す。

仙水小屋までは沢沿いのゆるやかな登り。仙水小屋脇のテント設営地はちょっと狭苦しい感じ。しかし小仙丈ケ岳が望める。
しばらくすると岩原の緩斜面を歩くようになる。シャクナゲがいくつか花をつけ始めている。このあたりから登山者の行列に入ってしまう。こんな早朝から登っている人がいっぱいいる。アプローチのよさゆえ、甲斐駒はとりわけ朝の早い山なのかもしれない。

仙水峠からの雲海
仙水峠からの雲海

真正面にまぶしい日の光を受けるようになると、突然左上方に大きな塊が。甲斐駒の別峰、「摩利支天」だ。日の当たっていないその姿に、ちょっとこの世のものとは思えない無気味さを感じる。

間もなく仙水峠に到着。東側の展望が一気に開ける。眼下には一面の雲海である。
左上方には甲斐駒の摩利支天、背後には仙丈ケ岳。絶好のビューポイントなのだが、これにまさる展望の地は、この後もたくさんありそうな気がする。
雲海の上には1つの雲もない。まっ青な空しかない。

仙水峠
仙水峠

仙水峠からは一転して、駒津峰への厳しい急登となる。再び樹林帯に入り、行列に交じって黙々と登る。樹林の背が低くなりだんだんあたりが開け、鳳凰山、その向こうに富士山が見えるようになる。傾斜はきついが視界がどんどん広がって行く。
ほどなく、北岳、塩見岳といった南アルプス一帯の全貌がとらえられる。幾重にも重なった山並みが、静かに横たわっている。

駒津峰の山頂。なぜかテントが一張り。ここはこれまでの展望を総決算するかのような絶景の地。正面には鋸岳。はるかかなたに北アルプスの山並みがはっきりとらえられる。
風もさわやかでつい長居したくなるような山頂だが、メインイベントはこれから。先を行く。

このまばゆいばかりの絶景の中で甲斐駒だけが唯一、夜明け前の山肌を呈している。しかし山自体は花崗岩で白っぽく、薄暗さは感じさせない。駒津峰からは右のやせ尾根をたどり、甲斐駒めざして直進していく。
この岩だらけのやせ尾根はアップダウンが激しくかなりきつい。「もうやめようかな」と尻込みする初老の人もいる。下りきったところはキレットのようになっていてすぐに登り返す。
どうやら巻き道への分岐を見落としてしまったらしい。直登コースに入ってしまった。岩の斜面を両手を使って登る。昨年秋の槍ヶ岳を思い出す。幸いホールドに悩むような岩はなく、かなりの重労働を強いられつつも、山頂が見えてきた。傍らにハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウを認める。
甲斐駒ケ岳山頂
甲斐駒ケ岳山頂

砂礫の地面を踏むようになり、大きな岩の間を何度も通って、ついに山頂へたどり着く。大展望である。

富士山、北岳、間ノ岳、塩見岳、仙丈ケ岳、はるか先に北アルプスの奥穂高岳、槍ヶ岳、乗鞍岳など3000mの山々が一望の元に見渡せる。日本の高い所ベスト5がここから見れてしまうのは楽しい。
他にも地蔵岳、アサヨ峰、八ヶ岳、奥秩父山塊、鋸岳。今まで見た山頂からの展望の中で、これは間違い無く一番か二番の素晴らしさだろう。

ひんやりした風が時々山頂をかけて行く。これこそ夏山。黒戸尾根を下って行く登山者が「また来るからなー」と叫んでいた。


甲斐駒ケ岳山頂 甲斐駒ケ岳山頂
甲斐駒ケ岳山頂


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