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~南アルプス北部の展望台~
タイトル

あさよみね(2799m)・はやかわおね
2006年10月9日(祝)

北沢峠-栗沢山-アサヨ峰
-広河原峠-広河原

マップ
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農鳥岳頂上
アサヨ峰から甲斐駒と北アルプスの白いラインを眺める。左に栗沢山

仙水峠を経由する道を分け、栗沢山に直接登る道を取る。森閑としたコメツガ林を登る。最初から急登だ。

前方上のほうに太陽がまぶしく輝いているが、急な斜面は尽きることなく上へ上へと続いている。あまり歩かれない道かなと思ったが、意外と多くの人に出会う。

展望のない道を黙々と登り続ける。1時間を超えたあたりでようやく、樹林の切れ間から北岳の姿を望む。
傾斜も緩んで、少し進むと今度は甲斐駒の大きな姿を捉える場所に出る。


展望地から甲斐駒

アサヨ峰と地蔵岳

栗沢山から仙丈ヶ岳

富士山を展望

昨日から来ている人に聞くと、昨日甲斐駒に登ろうとしたが、あまりの強風で手前の駒津峰で断念したとの事だ。また、向かい側の仙丈ケ岳でも滑落か何かがあった模様(実際は事故ではなく病気だったようだ)。天気は晴れの南アルプスでも油断は禁物である。

もう少し急坂を踏ん張ると、ようやく森林限界を脱する。ハイマツの登りとなり、この先は展望はほしいままだ。
2,3のコブを超えると栗沢山頂上(2714m)となる。360度の大展望、中でも甲斐駒がド迫力で迫る。胴回りあたりに黄色いダケカンバの衣をまとった様は、さながら肩を怒らせた殿様のようである。仙丈、北岳も大きい。

栗沢山は目立たない一峰だが、南ア北部の重鎮を望むのにこれほどいい場所はない。アサヨ峰に隠れて富士山が全く見えないのもご愛嬌である。
仙水峠へ急激に落ち込む谷間には、ダケカンバの黄葉がほどよく調和している。

アサヨ峰へは展望満点の岩尾根を縦走する。難しい場所はないが、岩の上を歩く箇所が多い。オーバーハング気味に手を使う登りもある。
南アルプス林道に落ち込む斜面はところどころ、ダケカンバで彩られている。

最後のひと登りで、さらに展望のすばらしいアサヨ峰である。北岳がぐんと近づく。
そして鳳凰三山を露払いに富士山の秀麗な姿も登場する。早川尾根小屋の赤い屋根も見える。そこに至る稜線も変化があって楽しそうだ。

北アルプスや上越の山と比べてハイマツや針葉樹林の割合が多いので、紅黄葉の派手さはない。だがそれはそれで山の深さやスケールを感じさせる要素になっている。甲府盆地、信州側の平地の眺めも秀逸。
そしてこの日の特筆ものは、何といっても真っ白になった北アルプスの眺めである。左から乗鞍、立山、穂高と大キレット、鹿島槍と五竜、白馬に続く稜線、どれも白く輝いている(槍ヶ岳だけは雪が飛んだのか先が黒くなっている)。南アルプスからはこれらの峰が横並びで1列に見えるから、なおさら壮観だ。

反面、近くに見えている八ヶ岳、奥秩父山塊の黒々とした様はあまりにも対照的た。これほどの季節条件の違いを考えれば植生や自然環境が大きく異なるのも当然であろう。

同じ3000m級の高山でも、ちょっとした位置のずれによって実に多種多様な景観を見せる日本の山に、改めて感慨の念を深くする。


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