タイトル
上高地-蝶ヶ岳-常念岳-大天井岳-中房温泉
2005年8月27日(土)~8月29日(月)
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●夏雲湧く白砂の稜線を北へ
8/29(月)常念乗越~大天井岳~燕山荘~中房温泉  晴れ

朝の常念岳
朝の常念岳 [拡大]
燕岳への縦走路から大天井岳と槍
燕岳への縦走路から大天井岳と槍 [拡大]

3日目の朝。雨具も含めて、持ってきた物を全部着てご来光を待つ。暑い夏も終わりだ。後で聞いたところでは、北穂高小屋ではこの日、初氷が張ったという。

頭上に一点の雲のない青空の中、歩き出す。昨日足が進まなかった横通岳への登りも、今日はすんなり入れる。

今日の行程は・・・、槍には至らないがそれでも西岳方面に進む考えもある。しかし今回は腰痛もあり自重した。最近自重ばかりであるが、単独行が中心で山に行っている以上無理はしない。一昨年の逆コースである、燕岳方面に縦走するコースを選んだ。

臨機応変に行程を変えられるのが単独行のメリットかもしれない。しかし考えうるコースの下調べは一通りしているので、予定を変更することの不安はあまり無い。ただひとつ決めかねているのは、燕山荘でもう1泊するかだ。

横通岳の肩への標高200mの登りは、天に昇るような爽快さだ。今朝はまれに見る好天気、青空にくっきりと映える槍・穂高。槍は昨日見られた端正な姿から、やや左に傾いた形に変わっている。
安曇野方面も今日は雲海も少なく、キラキラした町並みが見下ろせる。

ハイマツの海を抜け、東天井岳分岐への登り。ヤマハハコやハクサンボウフウが咲く。
分岐から大天井岳まで、展望の稜線はまだまだ続く。一昨年はガスの中の歩きだった。ここは天気のいいときに歩きたいと言われるのがよくわかる。砂礫の平坦地にコマクサの咲き残りを見る。

大天荘から5分ほどで大天井岳頂上。双六岳から三俣蓮華岳の展望が加わる。そして眼下に黒部ダムの湖面が覗く。
燕岳へ続く表銀座の稜線も伸びやかだ。森林限界上に位置する雲上の縦走路なのに、ここから見るとはるか下にある。あそこまで下りるのも骨が折れそうだ。

しかし今日は、昨日までと打って変わって体調もいい。どこまでも歩いて行けそうな気がする。落っこちるようにどんどん下って切通岩の鎖場を乗っ越す。燕山荘までは、槍に変わって裏銀座縦走路の峰々が展望のお供となる。
この角度からの槍は、脇に小槍を抱えてまるで奥歯のような姿になっている。

安曇野側にガスが充満し始める。さしもの展望の稜線も、ところどころでガスの中となる。
ピークを巻いて東側(安曇野側)に付けられた道に入ると、とたんに草木が多くなる。そして稜線に戻ると再び高山帯の様相に。別世界のように雰囲気がガラッと変わってしまうのが面白い。

穂高連峰
穂高連峰
東天井岳分岐から横通岳
横通岳、常念岳
大下りの頭にて
大下りの頭にて

ガス湧く稜線
ガス湧く稜線 [拡大]

大きく下って、突然厳しい急登に転じる。大下りの頭への登りだ。この縦走路を大天井岳から歩く場合は、この部分が大変きつい。しかしコースとしては燕岳側から歩くのが一般的であり、自分と同じ方向に歩く人は前後を見ても全くいない。

ガスで日がさえぎられる時間が多くなるが、登山道は花崗岩の明るい雰囲気に満ち始める。そして燕山荘に到着。
存分に歩けたし、今回はここで下ることにしよう。山荘でバスの時間を聞き、北アルプスの稜線に1年の別れを告げる。

合戦尾根は、かつては北アルプス三大急登に数えられていたが、整備が行き届き危ないところはほとんどない。1ヶ月前の南ア・大門沢への下山路と比べると、てんで楽である。
しかしやはり膝や腰には負担がくるので、あせることなくじっくり下る。

月曜でも登ってくる人は多い。合戦尾根だけで50人近くとすれ違った。燕山荘の人は、明日百数十人の予約が入っていると言っていた。
お盆が過ぎると北アルプスは静かな山になるというのはもう、昔の話なのかもしれない。

合戦小屋でトマトを食べ、さらに下る。途中で中房温泉の赤い屋根、そして有明山の後ろに安曇野の町並みが視界に入る。
3日間よく歩いた。天候の安定しない今年の夏であったが、最後に素晴らしい夏空の山を用意してくれていた。


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