2005年8月27日(土)~8月29日(月) |
朝はまずまずの天気。槍・穂高も見えているが、背景は青空ではなく白い。反対の岐阜県側は雲りのようだ。 一方安曇野のほうも一面の雲海。山の上だけ天気がよいようだ。 テントをたたみ縦走を開始する。昨日の疲れを引きずっているのか、何となく体が重い。
展望の稜線を歩き蝶ヶ岳三角点、そして蝶槍の突起に登り上がる。昨日の蝶ヶ岳最高点(長塀ノ頭)から瞑想の丘、三角点、蝶槍と「蝶ヶ岳」と言う言葉の指すエリアは結構広い。傾斜も少なく広大な丘という気もする。 蝶槍からは一気に下降する。樹林帯に戻り、鞍部に着く。 蝶からここまで3時間半とガイドにあるのに、1時間で来てしまったという人がいた。おそらくそれは、ここ鞍部までの時間ではなく常念岳直下の最低鞍部まで3時間半、ということなのだろう。それほどこのあたりは細かなアップダウンが多くて小ピークや鞍部が多く、思った以上に骨の折れる道である。体調が万全でなく、先月以来気になっていた腰痛がぶり返し始めてきた。
樹林の中、2592mに登って振り返ると蝶槍が堂々とした姿を見せている。 さらに下ってガレ場を登って2512mピーク。ここからは大展望。槍・穂高の眺めもさることながら、目の前に常念岳が圧倒的な高さで迫っている。このピークで面白いのは、さっきの樹林のピークより低いのに、こちらは木々の無い全くの森林限界上の様相を呈していることだ。 最低鞍部に下って、さあここからが正念場、常念岳への標高差400mの登りだ。 岩ガラガラでところどころ踏み跡がわからなくなる。前後に人も多い。前の人の進む方向について行ってしまって、その先行者が行き詰ってしまうと、お互いバツが悪いものだ。 眺めは相変わらず素晴らしいが、登っても登ってもまだまだ岩の登りである。テントの重量が腰に響く。20名ほどのツアーの団体を追い越したが、上部でへたり込んで腰を下ろしていると追いつかれる。「また会いましたね」と言われてしまう。 右方に前常念~三股に下る尾根が見えて来た。もう一息。踏ん張って2年ぶり、祠のある常念岳頂上へ。 今まで見えなかった北方の展望がパノラマで広がる。横通岳から大天井岳、燕岳、黒々とした鷲羽岳と赤っぽい裏銀座縦走路の岩尾根から続く白い野口五郎岳。このへんは山の色で見分けがつくので面白い。同じ北アルプスでも、ハイマツの多さや組成岩石の成分が異なるので、山や稜線の色はかなりバリエーションがある。 そして遠方に鹿島槍と剱、立山。もちろん槍・穂高の姿は今日は終始、道連れである。頭上に青空、秋の雲が風に乗り山から山へと流れていく。 常念岳南面の登りは大変だったが、常念乗越への下りも1時間近くかかる道である。 今日の行動を常念乗越で終えると最初から決めていたなら、前常念へ寄り道して、そこから乗越に下るコースも捨てがたかった。この時はまだ、今日中に大天井岳まで足を伸ばすつもりでいた。 トウヤクリンドウの咲くガレ場を下って、常念小屋の建つ常念乗越へ。小屋に入って、お目当ての常念うどんを注文する。マツタケが入っている。 もう体力的にはいっぱいだが、横通岳への登りに歩を進めてみた、しかし体が言うことをきかない。 ここで泊まると、3日目に槍ヶ岳に至る計画が果たせなくなる。しかし体が動かないならしょうがない。一昨年同様、ここにテントを張ることにした。 太陽がギラギラする灼熱のテント場から、槍・穂高はまだ見え続けている。しかしじきに雨が落ちてくる。山の天気は本当にわからない。疲れを癒すべく、テントの中で眠りに入る。 目を覚ますともう夕方。雨は上がった。夕食を済ませて暗くなるのを待つ。上空は雲でさすがの槍も姿を隠す。 この日の夜は冷えた。夜中にベンチレーター(通気窓)から覗くと槍や穂高、常念岳がくっきりと月夜に映えている。そして満天の星空。明日の好天は保証付きのようだ。 |