●千枚岳で大展望を満喫 [ 椹島-千枚小屋-千枚岳-千枚小屋(泊)]
2日目。日が上り次第に青みがかってくる空には雲一つなさそうだ。
今日は千枚小屋までの6時間ほどの登り。2日目でもまだ目的の山の頂に立てない。アプローチが不便な山は、静かな山でもある。
しばらくは沢沿いに行くが、ところどころ崩れている。沢を離れると道はよくなり、樹林帯のゆるやかな登りとなる。
高度を上げるにつれ周囲は雑木林から針葉樹林帯に変わって行くが、数度林道に出くわす。かなり上の方にまで林道が伸びているが一般の車は入るような道ではなさそうだ。
眺めが効く所がほとんどないのが残念だが、途中の展望台で悪沢岳の白っぽい(雪?)塊を大きく捉えることが出来た。バックは澄み切った秋の青空がある。
千枚小屋
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途中で、初老の男性が休憩している。「コーヒーでも飲みませんか」と声をかけられた。富山から来たという。自分も夏に登った五竜岳が好きだそうだ。その後小屋まで、少し距離を置きながらもいっしょに登る。
林相はダケカンバの多い広葉樹林となる。快晴の下、眺めの効かない樹林帯を歩くのが惜しく感じる。しかし、しばらく行くと周囲が明るく感じるようになる。ダケカンバの葉の色が一部黄変しているせいだ。
すぐに小屋が見える。千枚小屋に到着した。山の斜面に貼り付いた小ぎれいな小屋からの展望は素晴らしい。雪を冠した富士山が望める。
千枚岳への登り
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受付を済ませ、軽身になって千枚岳に登る。ハイマツが現れる。ナナカマドの葉はようやく赤くなってきた。ダケカンバはよく見ると色付きが悪く、茶色にくすんだ葉も多い。
千枚岳山頂からは大パノラマが広がる。悪沢岳がすぐ横に。赤石岳、聖岳。反対側には塩見岳を中心に間ノ岳、農鳥岳、奥に緑濃い鳳凰山。甲斐駒も先っぽを見せている。遠景には北アルプスの山々が。
そして富士山をぐるっと囲むように奥秩父連山、大菩薩連嶺、丹沢、毛無山塊、愛鷹連峰。富士山の右下に見える黒っぽい影は、何と駿河湾。その向こうに伊豆半島。日本本土を北から南まで広く見渡せているようだ。
千枚岳から赤石岳
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こうして見ると、雲一つない青空というのも、迫力に欠ける。空には適度に雲があった方がいいが、そういう贅沢なことを言ってはいけない。山はやはり晴天の下を歩きたい。
1時間ほど展望を楽しみ小屋へ。ここの小屋のトイレは正真正銘の水洗式だ。宿泊客は明日下山の人が多い。この日の夜はそれほど冷えることなく、窓の外に見える星空を眺めながら床に付いた。
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