~静かで雄大な6月の八ヶ岳~ あかだけ(2899m),あみだだけ(2805m) 2005年6月19日(日)~20日(月) 美濃戸口-南沢登山道- 行者小屋-赤岳-阿弥陀岳 |
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翌朝はサブザックで6時前に出発。昨日の雨で地蔵尾根の登山道は濡れている。しかしそれほど歩きにくい尾根ではない。
稜線に近づくにつれ、頭上から太陽の光がまぶしく差し込んでくる。 この高い壁のせいで、これだけ日の長い季節であっても、テント場付近に日が射す時刻はかなり遅いようである。 地蔵ノ頭に登り着く。甲州側はもやに包まれてあまりすっきりした眺めは得られない。しかし久しぶりの高山の稜線に立てば、それだけで気分は高揚する。 横岳方面に行けばツクモグサを見れるかもしれないが、それはまた次の楽しみに。今日はこのまま赤岳の方向へ行く。 シャクナゲ・オヤマノエンドウ・イワウメなど、八ヶ岳では早めの季節の花が稜線を彩る。赤岳展望荘も何となくひっそりとしている。そのまま赤岳への岩礫の登りへ。ガスが頂上部を隠し始めている。 人がいるのかいないのだかわからない赤岳頂上小屋の前を通り、標高2899m、赤岳頂上へ。 時々阿弥陀岳の巨体が覗くが、その他の方角はガス一色。赤岳の展望はこれで2勝2敗である。 中岳・阿弥陀岳への方向へ下りる。ガスが充満する険阻な岩尾根は気味が悪い。それでも高度を落とすと視界が利いて来る。 目の前に中岳の突起と、その先に阿弥陀岳が圧倒的な姿で鎮座している。あんな急な斜面は登れるのか。 実は1998年、初めての八ヶ岳の時、同じコースで阿弥陀岳にも登ろうとしたのだが途中の急登で雨に打たれ、引き返した経緯がある。その時も、これは岩登り近いという印象ばかりが残った。
文三郎道を分け、中岳(2681m)を乗っ越し、行者小屋への分岐を過ぎるといよいよ阿弥陀岳への登りとなる。モヤっぽいが頭上に青空も覗いている。 ハクサンイチゲの咲く急峻な登りを行く。やはり道の傾斜は赤岳以上でガレているところも多い。それでも中岳との鞍部から30分弱で阿弥陀岳頂上に到着する。 祠と石仏がある、意外にものんびりした雰囲気の頂上だ。展望も絶大でガスが切れた横岳、硫黄岳方面も見えている。
鞍部まで下り、行者小屋への下りに入る。地蔵尾根、文三郎道と行者小屋前から稜線を目指す道はいずれも急峻極まりないのだが、この中岳道だけはうそのように穏やかな道だ。 大きな黄色い花はリュウキンカだろうか、それとミツバオウレンがコイワカガミと一緒に咲いていて絵になる。 行者小屋に戻りテントを撤収、来た道を戻ることにする。どうも天気がまた怪しい。蒸しているので昼間から雷雨の心配がある。見上げる稜線もいつのまにかガスに覆われてしまっている。 梅雨時の高山は猫の目のように天候が変わる。 すでに八ヶ岳の眺めはない白河原を過ぎ、高度をどんどん下げていく。下界の天気はそれほど悪くないようだ。 美濃戸から林道を歩き出すとセミのワンワンという鳴き声、それと太陽がギラギラと顔を出す。しかし雨も降ってきた。こういうのを昔は「キツネの嫁入り」と言っていたが今は言わないのだろうか。 ザックから傘を取り出すと雨はやんだ。 美濃戸口に着く。風呂に入ってビールをぐいと飲み干す。周囲はもう夏といっていいほど蒸し暑さが充満している。何となくはっきりしない2日間の天気だった。 それにしても、休日を外せば6月の八ヶ岳は静かだ。最近は百名山を中心に、特定の時期に登山者が集中する傾向が強くなってきたように思う。 山の魅力は1年の間で決して一時だけのものではないのだから、あえて一番いい季節を外して行くのも、また違った発見があるだろう。 |