2020年9月22日(火) | |||
◇ | 飯山市(前泊地) | 5:30 | |
国道403号 清水平林道 |
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6:30 | カヤの平キャンプ場 | 6:35 | |
6:45 | 信州大学教育林(周回) | 7:15 | |
7:20 | 東コース | ◇ | |
7:55 | 五叉路 | ◇ | |
8:00 | 北ドブ湿原 | 8:10 | |
8:20 | 五叉路 | 8:35 | |
8:35 | 西コース | ◇ | |
9:12 | カヤの平キャンプ場 | 9:30 | |
清水平林道 国道403, 117号 市街地立寄り |
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11:25 | 豊田飯山IC | ◇ | |
上信越自動車道 関越自動車道 |
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14:45 | 練馬IC | ◇ |
早朝、飯山市のホテルを出る。周囲は、高いくはないが四方に山が連なっている。
千曲川を越えてのどかな田園地帯に入ると、その山々がぐんと近づく。どれもたおやかで伸びやかな稜線を引いている。今日登るカヤの平はどれか。目立ったピークのあつところではないので、よくわからない。
山に入り車道をどんどん上っていく。標高1400mまで上がるのでかなりの距離がある。千曲川沿いから40分もかかってカヤの平キャンプ場に着く。
カヤの平のブナ林 [拡大] |
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カヤの平は、木島平村にある山上高原・湿原帯である。スキーをやる人なら木島平の名は知っているかもしれないが、スキー場とは少し離れている。南側は志賀高原、北東側は秋山郷と接しており、リゾート地と秘境との橋渡し的な位置にある。
カヤの平は湿原の高山植物のすばらしさが知られているが、ブナ林も有名で、長野県一との評価もある。森林としては、前回歩いた富士山の水ヶ塚・西臼塚と同じく、国有林内に作られた自然休養林である。
ブナの観察記録はブナ100のページに書くとして、ここではカヤの平の全般について記すことにする。とは言っても、今回はほとんどブナだけを見続けた山行になってしまった。
カヤの平キャンプ場は広いオートキャンプ地になっており、この日もたくさんの車とテントが張られていた。昨日の斑尾高原キャンプ場も盛況で、夕方に日帰り温泉に寄った後、またキャンプ場に戻るような家族連れが多かった。コロナ禍は休日の人々の過ごし方も随分変えてしまった。
斑尾高原のホテルもそれなりに人が入っていたようだったが、キャンプ場は以前とまったく人の入りが違うのが、はたで見ててわかる。山のテン場はコロナ以前から混雑が目立っていたが、ついに一般のキャンプ場にも、人の波が襲ってきた。
キャンプ場の背後には牧場があり、牛がのんびり草を食んでいる。カヤの平の広い平原地で、少し足を伸ばせば北に八剣山、南に高館山があり登山コースが伸びている。気合を入れて登る山ではないが、カヤの平までハイキングにやってきた人は、どちらかに登っていくことが多いようだ。
自分もできればとは思ったが、帰りの渋滞がこわいので今日はカヤの平のブナを見ることに集中する予定である。何しろ今日は、連休にもかかわらずコロナの影響で高速道路の渋滞予測がされていない。しかし連休前半の人の移動のニュースを見たら、今日はまれに見る大渋滞になるのは、火を見るより明らかである。遅くとも午前中には麓まで下りたい。
朝から人々がくつろぐキャンプ場を見ながら、樹林帯に入る。すぐに「信州大学ブナ原生林教育園」への道が分岐する。これは行かないわけにはいかない。大木のブナが多い、一周700mの軽い歩きである。
ササの生え方や倒木後の更新など、ブナ林の特性や見どころを解説した文章がたくさん書かれており、勉強になる。これだけでも十分見応えがあった。
戻って、北ドブ湿原に通じる東コースを歩いていく。傾斜は緩やか、もしくはほとんど平坦の幅広の道で、何と言ってもスラリとした立ち姿のブナが美しい。青空がバックというのもひさしぶりでうれしい。
あまりにも整然とした木立が続くので、植えられた二次林かとも思ってしまうくらいだが、おそらく、ある一時期に一斉に天然更新した林だろう。9月は、1年の中でもしかしたら一番山や森林の見どころが少なくなる月かもしれない。それでこれだけの瑞々しさであふれた森は希少である。
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四方に道が分岐する五叉路に出る。八剣山には登るつもりはないが、北ドブ湿原へは寄って行こう。緩く登ってきた分を下り、茶色く染まりつつある湿原地に出る。トリカブト、アキノチョウジ、ウメバチソウといった初秋の花が少ないながらも寂しくなった地に最後の色どりを添えていた。湿原の行き当たりに東屋が見えるが、途中で引き返す。
五叉路に戻り、西コースで戻る。もう1本、大ブナ歩道というのが分岐しているのだが、今日はもういいだろう。キャンプ場への最短距離を行く。
西コースもゆったりした下りで、ブナは東コースほどではないがそれでも十分多い。足元にツルリンドウが咲くのを久しぶりに見る。
カヤの平の登山道は、湿原の中は別としてロープ柵や木道などの人工物が必要以上に設置されていない。水はけがよいからなのか、今回歩いた部分では道は乾き、残雪期から春の時期でもそれほどぬかるみに悩まされることもなさそうに思える。
ブナが美しい以上に道も整備され、すっきりしていて歩きやすい。登山道としては少し手を入れ過ぎている気もするのは、キャンプに来た家族連れや観光客にもこの雰囲気を味わってもらいたいがための配慮だろう。公共交通機関がなくて全国区にはなりにくいが、多くの人に歩いてもらいたい森である。
午前中どころか、9時過ぎにキャンプ場に戻ってしまった。高標山くらい登ってもよかったかな。でも何も調べていなかったので、今回はこれにて下山する。ここはまた来ることになるだろう。
千曲川沿いまで下ってくると、雪のような白いものを被った山稜が現れた。昨日は富士山が初冠雪したというニュースがあったので、北アルプスにも降ったのかもしれない。そう思い、さらに車で近づいてみたら、それは雪ではなく建物だった。
あんな高い所に建物が密集している、よく見たら昨日登った斑尾山ではないか。斑尾高原のリゾート地がこんなところからはっきりと見えるなんて、ここもあそこも眺めのいいところなのだなあと、感心してしまった。
最後は北信州の名産、蕎麦を食していくことにする。高速渋滞が気になるが、蕎麦は省略できない。
おみやげにオヤマボクチをつなぎに使った新富倉そばをいくつか買って帰る。