~岩稜の頂に高山植物咲き競う~ 花の横岳(2825m)・硫黄岳(2760m) 2003年7月5日(土)~ 6日(日) 美濃戸口-美濃戸-赤岳鉱泉-硫黄岳-横岳 |
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日射しまぶしい茅野駅から、バスで美濃戸口に向かう。高原地に入ると、正面に八ヶ岳の山並みが大きく姿を現す。 南のスロープがきれいな編笠山から北の横岳~蓼科山まで勢揃いだ。所々に雲も湧き始めている。青空のうちに稜線に上がりたい。 終点の美濃戸口バス停付近は、夏山シーズンの混雑とまではいかないが、そこそこの人で賑わっている。赤岳鉱泉・行者小屋方面へ向かう林道に入る。 しばらくは平坦な歩きが続く。やまのこ村の山荘の前に着くと、正面に阿弥陀岳が大きく見えてくる。美濃戸山荘の前で行者小屋への道(南沢)を分け、赤岳鉱泉へはさらに林道を伝う。 時々車が追い越して行く。2時間近くの林道歩きだが、カラマツや針葉樹の豊かな森の道なので、さほど単調さは感じない。アプローチの過程で楽しめるのは、八ヶ岳山行の特長だと思う。 途中で、林道と別れ左の巻き道に入る。10分もしないうちに再び林道に出会う。そこにクリンソウが数輪咲いていた。
さらに緩く上がり林道終点。車が数台駐車している。堰堤の前の木橋を渡りようやく登山道となる。 なおも緩やかな斜度が続く山道、足元にはゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、シロバナヘビイチゴと白系の花が目立つようになる。花の八ヶ岳の中でも、今の時期が一番山野草が楽しめると聞く。そしてこの梅雨のさ中足を運ぶ、もうひとつの目当てはもちろんウルップソウである。 沢を何度も木橋で渡る。キバナノコマノツメが鮮やかに花を付ける、そしてまるまる太ったヤマオダマキも沢沿いに見られる。林の中に隠れるようにオサバグサのかわいい姿もある。 やがて正面遠くに、横岳の岩峰が見えてくる。空はやや雲が支配し始めてきた。 さして急坂を登った覚えもないまま、赤岳鉱泉に到着。20名ほどの登山者が休憩している。「今日はなんとか天気はもつだろう、問題は明日だ」と話している。鉱泉の前から見上げると、赤岳や横岳がのしかかってくるようだ。
食事を済ませて、硫黄岳を目指す。左の森の中に入るような気がしていたが違った。鉱泉の建物を背にして、横岳に向かうように樹林帯に入って行く。何度か沢をまたぐ。水際にはキンポウゲだろうか、黄色い花が群落をなしている。 やがて針葉樹林帯の登りとなる。この道は99年、初めて八ヶ岳に来たとき2度も登りにとったのだが、急登で参った覚えがある。あのときはテントを背負っていた。今日は荷物は軽いが、努めてゆっくりと歩を進めるようにする。 薄暗い樹林帯の登りが続くが、所々で樹林の切れ間から八ヶ岳の主峰が顔を覗かせる。赤岳、阿弥陀岳が早くも大きい。ジグザグの登りなので、2つの塊は右に見えたり左に見えたりする。林床にはコイワカガミが目立つ。 ようやく前方が開け、新緑のダケカンバ林と青い空の間に、硫黄岳の特徴ある頂上部が見えるようになる。しかしここからが割と長い。 それでもだんだんと赤岳や横岳の見える頻度が多くなる。森林限界を抜け出し、赤岩ノ頭下へ。見覚えのある砂礫の地だ。どことなくアメリカの西部劇に出てきそうな場所である。硫黄岳から横岳、赤岳、阿弥陀岳と主峰が眼前いっぱいに広がる。 ハイマツに混じってシャクナゲも多いが、このへんは花をつけていない。 最後に岩混じりの斜面を登る。ミヤマシオガマやミヤマキンバイが初夏の山を彩る。大勢の登山者が集う硫黄岳頂上、爆裂火口跡の向こうには根石岳、天狗岳も健在だ。風が強く、標高2700mを越える地はやはり肌寒い。 だだっ広い岩屑の斜面を下る。硫黄岳山荘が近くなった頃、コマクサが現れ始めたがまだ数は少ない。 続いてウルップソウ。一昨年の白馬岳以来だ。しかしこれも個体数としては少ない。花期としては見頃を過ぎているのか、まだ先なのかよくわからない。 硫黄岳山荘の敷地内に入りお花畑を一周すると、形のよいウルップソウが咲いていた。シロバナコマクサも1輪ある。 山荘に入り宿泊の手続きをする。食事付きで営業小屋に泊まるのは、一昨年9月の南アルプス赤石小屋以来だ。けど自炊用具と食料を少し持っていたので、一食のみにした。 |