~夏山の展望を満喫、八ヶ岳南部の峰々~ 2002.7.20.~21. 晴れ 観音平-編笠山-権現岳-西岳-富士見 |
食事をし、行動を始める頃には大方ガスが晴れた。軽身で権現岳をピストンする。 ゴゼンタチバナ、ヨツバシオガマを見ながら樹林帯を緩く登る。だんだんと傾斜がきつくなる。ノロシバ付近でチシマギキョウを見る。目の前にはギボシの尖った山頂部、その後方には、左に赤岳・右に権現岳と控えている。 厳しい傾斜の岩尾根となり、ところどころ鎖場が現れ始める。落石をしないように慎重に足を運ぶ。風が強い。姿を現したばがりの太陽は権現岳の後ろ側で、権現岳山頂の大岩は黒々とし、いまだ闇が支配している。 ギボシ(2643m)のピークを巻く。そこを谷筋からガスがすごい勢いで上がって来て、一種の神々しささえ感じる。 周囲にシャクナゲの咲く権現小屋を見て、ツルネ方面への稜線を分ける。展望満点のやせ尾根を少し登ると、大岩が積み重なった権現岳(2715m)山頂だ。てっぺんには刀剣がささっている。大岩を東側に回り込むとそこは絶壁、富士山と奥秩父の山が雲海に浮かんでいる。 先ほどのツルネ方面への分岐の鞍部に戻る。山頂に比べてここは落ち着いた場所で、360度に広がる展望は、山頂よりかえって見ごたえがある。 赤岳、阿弥陀岳の山頂部が雲間から見え隠れしている。その間に横岳、硫黄岳の姿もある。今年はおそらく歩く予定のないあの稜線を、この場所からこうして眺めるのも面白い。 帰路はギボシのピークに寄る。登山道からほんの2、3分のところである。ここも展望がすばらしい。 すっかり青空の下となった稜線を下って行く。ギボシから下の急な鎖場は、やはり下りのほうが慎重を期する。登って来る登山者の通過待ち時間もあり、テント場まで下るのにけっこうな時間がかかってしまった。 すでに朝9時近いので日も高くなって、夜露に濡れたテントもかなり乾き、比較的楽にたたむことが出来る。持って来たラジオで梅雨が明けたのを知る。 乙女の水と名のある水場を過ぎ、西岳への縦走路を進む。大方は斜度のない道だが、樹林の中でけっこう蒸す。そのうちアブ群が再登場してきた。目の前にホバリングして待ち構えているのだからたまったものではない。
西岳から不動清水、富士見高原までの下山は樹林帯の下りとなる。はじめのうちは気の抜けない急勾配が続く。何回か林道を横切る。登って来る人と言葉を交わすと、必ずアブがすごい話になってしまう。 オニシモツケ、ノアザミ、ヤマオダマキ、ウツボグサ、カラマツソウなど、蒸せかえるような緑の中に盛夏の花々が咲き競う。夏真っ盛りの山に身を置いていることに満足感を感じる。 不動清水には水場とベンチがあり小休止する。ここから編笠山への登り道もある。ゴルフ場のある富士見高原までは林道を下って行く。 富士見高原ゴルフ場(標高1338m)には広い駐車場と2つの建物があり、登山道はその建物の横を通って終わっている。受付のある建物内に電話があり、タクシーを呼ぶ。信濃境駅が一番近いが、時間によっては特急電車の停車駅である富士見駅に下りたほうが都合がいい。 富士見駅からは特急あずさ62号で帰る。今度は余裕で座れた。まだ時間が早いからだろう。あと1時間も遅ければまた立ちんぼで帰るところだったかもしれない。 八ヶ岳の中では、どちらかというと地味な存在である権現岳を中心とした山域は、思った以上に展望と夏の花を楽しめ、ハイシーズンでも比較的空いている穴場であった。アブのお出迎えが無ければなおいっそう快適であっただろう。 |