~日本海を眺める笹原とブナ林の山~
タイトル
しらかみだけ 2002.9.15.~16.


白神岳登山口駅-マテ山-白神岳
-大峰岳-崩山-十二湖
マップ
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世界遺産に登録されたブナ林で知られる白神山地は、青森・秋田両県にまたがる47000ヘクタールに及ぶ広大な山塊である。その主峰、白神岳(1232m)は山頂からそのブナ林が眺められるだけでなく、反対側に日本海が一望出来る。
海抜0メートルの海岸線から急峻な形で立ち上がっており、標高は低いながらも山の懐は深く、登り応えのある山である。

白神岳山頂から
白神岳山頂から

2002年9月15日(日) 曇り
新宿駅小田急ハルク前・前夜22:10-[小田急夜行バス]-6:20秋田駅-[奥羽本線]-7:37東能代駅7:57-[五能線]-9:11白神岳登山口駅9:50-10:30登山口10:35-11:15二股コース分岐-11:50最後の水場12:30-14:50マテ山分岐-15:10白神岳(避難小屋泊)歩行時間:4時間30分

2002年9月16日(祝) 曇り時々晴れ
6:50白神岳-7:45白神岳の肩(1122M峰)-8:25 950m峰8:35-9:25大峰岳9:45-11:00崩山11:25-12:00大崩12:05-12:50水場13:20-13:30青池13:50-14:00奥十二湖駐車場14:45-[車]-14:55十二湖駅15:13-[五能線]-15:31臚作駅(不老ふ死温泉)ウェスパ椿山駅18:11-[五能線(リゾートしらかみ)]-20:11秋田駅22:10-[小田急夜行バス]-翌日5:50新宿駅小田急ハルク前 歩行時間:5時間30分
●交通費等
新宿小田急ハルク前→秋田駅前小田急夜行バス「フローラEX号」8510円
秋田駅→白神岳登山口駅JR奥羽本線、五能線1890円
十二湖駅→艫作駅JR五能線230円
不老ふ死温泉日帰り入浴料600円
ウェスパ椿山駅→秋田駅JR五能線快速「リゾートしらかみ」2400円
秋田駅前→新宿小田急ハルク前小田急夜行バス「フローラEX号」8510円
注:夜行バスは往復割引料金、他に避難小屋には寸志を払う



●日本海の海岸線から登り始める
新宿小田急ハルク前から、秋田行の夜行バスに乗る。座席ゆったりのダブルデッキだが、今年6月に乗った田沢湖行きのバスに比べると少し狭く感じる。しかし座席は中央最前列で、ゆっくり眠れた。

秋田駅には定刻通り、朝6時20分に着く。奥羽本線、五能線と接続は本数の少ない割にはいい。
五能線は車窓から日本海が大きく望める、人気のローカル線。ゆっくり海を見ようと海側の席に座ったつもりだったが、電車の走る方向は逆であった(秋田側から来ると、来た方向に戻るように発車する)。
しかも5両編成なのに実際に白神岳方面に行くのは先頭の2両のみだった。こういう知識は、2度目に来た時に役に立たせたい。
海を見ながら、9時過ぎに白神岳登山口駅に到着。秋田駅から2時間ほどの列車の旅だった。

林道の登りで日本海を眺める
林道の登りで日本海を眺める
白神岳登山口駅は小さな休憩舎しかない無人の駅で、以前は陸奥黒崎駅という名前だったそうだ。
白神岳はこの駅を出発点とすると、海抜数メートルの地点から登ることとなる。標高1200mそこそこの山だが登りがいがある。海岸線から急勾配で立ち上がっている稜線は、麓から見ると壁のようだ。

nosakuさんがそうしたように、自分もまずは、海岸線のほうに行ってみる。堤防のある所から、改めて歩き始める。
「おはようございます。登山ですか?雨が降らないといいですね」地元の人に声をかけられた。えっ?と思って振り向くと、頂上付近は何と、どす黒い雲で覆われている。回りは爽やかな青空なので、今日は晴天の下の登山と思っていた。

駅に戻り、線路をまたいで国道へ。少し南下して「白神岳登山口」との大きな表示のある日野林道を上がって行く。海をバックに登山口の標識を見れるのは珍しいと思う。

白神山荘の横を過ぎ、山間の道を緩やかに登って行くと、やはりというか、ポツポツと雨が降り出した。その場でしばらく様子を見る。雲のかかった稜線を睨み続ける。
どうやら、天気は悪い方向へは向かっていないようだ。携帯で天気予報を確かめると、午後から晴れるとのこと。思い直して、再び登り始める。
マテ山コースのブナ林
ブナ林

車がどんどん林道を上がって行く。この山は今日、かなり混んでいそうだ。登山口直下の駐車場はツアーバスも停まっていて、あってほぼ満杯である。今日は山頂の避難小屋に泊まる予定だが、これらのうちいったいどれくらいの人が泊まりに来るのだろうか、少々不安になる。
駐車場のところから少しの歩きで登山口。写生をしている人がいる。登山道に入り込むと、最初から豊かな広葉樹の森が迎えてくれる。体の力がスーッと抜けて行く。道幅も広く(広すぎるくらい)、緩やかで快適な登山道だ。行き交う人々は軽装が多い。やはり駐車場からの日帰りピストンがほとんどのようであり、安心する。

時折雨がパラパラと落ちてくる中、道はあくまでも緩やかだ。標高差1200mを5時間近くかけて登るわけだから、こんなものなのかもしれない。時々樹林の隙間から、海が見える。
ブナが多く現れてくる。周囲は他にアカマツや、初めて見る「青森ヒバ」などの針葉樹林も混ざり、樹木の種類が多い印象を持つ。

●深い樹林帯を抜け笹の海へ
オヤマリンドウ
オヤマリンドウ
途中水の流れを何度もまたぎ、「最後の水場」で休憩。お湯を沸かしてラーメンを食べる。
さて、ここでどのくらい水を背負うか、思案のしどころだ。山頂直下の水は汚染で飲用不適との情報がある。煮沸したとしても、単なる飲み水とするのは出来るなら避けたい気がする。自分は胃腸があまり丈夫ではないので、山の中で突然腹具合が悪くならないか、よく心配になる。
結局、今日明日の飲み水として2リットル半を背負った。自炊用の水は山頂で得よう。

水場より先は落葉樹林下の急登になる。荷物が重くなってからすぐの急坂は応える。途中で30名ほどの団体2組とすれ違う。バス組であろう。見るとずぶ濡れの人が多い。どうやら山頂はどしゃぶりだったようだ。
それ以降も多くの人とすれ違うが、軽装でほとんど普段着の家族連れも、ぬれねずみ状態で下りてくる。

ジグザグに登りマテ山分岐。いったん平坦さを取り戻し、歩くにつれ山は奥深さを強めてくる。この山深い感触は、会津朝日岳で抱いたイメージによく似ている。
紅葉
紅葉

その後だんだんと樹林の密度が減ってくるとともに、樹高も低くなる。やがてあたりが開け、上方に笹の原が広がる。背後には日本海、海岸からそそり立つ白神岳稜線の姿が見てとれる。笹の海、雲海、そして本当の海。
笹原の急登を登って行く。青空が見えて来た。足元にはアキノキリンソウや、青色鮮やかなオヤマリンドウが咲く。

暮れゆく山頂から
暮れゆく山頂から
高山の雰囲気がある頂稜部を、笹をかきわけながら進むと、三角形の立派な小屋が視界に入る。これは白神岳山頂トイレで、山頂付近の水場が大腸菌で汚染されたのをきっかけに作られたという。肝心の小屋はもう少し山頂に近づいてから初めて現れる。
避難小屋は小さいが、3階に仕切られた頑丈な作りだ。この日は10名ほどが泊まる。

夕方5時過ぎになり、空が赤らんで来た。小屋から1分ほどの山頂へ行ってみる。360度に広がる展望、ガスが濃いが眼下に海が大きく横たわっている。
日は日本海のど真ん中に落ちる。それを見られたら最高だろう。しかし夕焼けが出始める頃ガスが周囲を覆い、四方乳白色の眺めとなってしまった。


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