~岩尾根を彩るコイワザクラ~
8:12富士急行線河口湖駅-[バス]-8:30大石プチペンション村-8:50登山道分岐-9:45水場9:50-10:30大石峠10:45-11:40節刀ガ岳12:15-12:25金山-13:00十二ガ岳13:15-14:40毛無山15:00-15:20長浜分岐-16:00文化洞トンネル16:15-[バス]-16:35河口湖駅 歩行時間:5時間55分 |
野鳥のさえずりがこだまする大石プチペンション村から、林道を少し歩く。登山コース案内板のあるところで右折し、やがて山道となる。 案内板によると、この地点は毛無山にも通じていて、大石峠→節刀ガ岳→十二ガ岳→毛無山→大石という周回コースが取れるようである。しかし今日はここに戻りはせず、西湖側に下る予定だ。
片側が杉や桧の植林帯の、だらだらした登りが続く。2年前に黒岳から下ったときはスミレの多さに驚いたが今年も同じ。 ヒトリシズカやイカリソウも絶え間なく現れ、御坂の山はやはり花が多いことを実感する。 天気予報では山梨県は晴れだが、いまのところどんよりした曇り。眺めが開ける高度になっても、残念ながら富士山の姿はない。ここのところの気候は、冷夏・多雨だった昨年とよく似ている。 天気予報に一喜一憂する日々が今年も続きそうである。
大石峠に上がる頃には、若干上層雲は薄くなってきた。西の尾根道をさらに登る。高度1500mを越えているのにまだ植林が目に付く。自然林はまだ芽吹いた直後の様子だ。 2箇所ほど眺めが得られ、富士はないものの眼下の山並みや河口湖も見える。 傾斜が弱まったところで、バイケイソウの群生を見る。いっしょにヤブレガサも顔を出している。ヤブレガサは1年のうちで最初に目に留まる「足元の新緑」という気がする。 ツツジの花芽の目立つところで右折。少しの登りで節刀ガ岳頂上だ。 東面は樹林に隠されているが、反対側に鬼ガ岳が大きく望める。団体のハイカーがいるので写真を撮ったあと、直下の平坦地に戻る。ここは頂上よりずっと展望がいい。鬼ガ岳の向こうに王岳、来た方向には黒岳。頭上には青空も覗き始めた。 しかし、何といっても正面の十二ガ岳の怪異な突起群が目を惹く。その隣りに富士山がお出ましでないのが惜しい。
金山までは穏やかな尾根道。そこから十二ガ岳までは2年前に一度歩いている。ロープや鎖のかかる急斜面の岩場が断続するところだ。途中の岩場ではコイワザクラがいっぱい花をつけていて、今が盛りのようだ。 十二ガ岳頂上。ここも登山者が多い。さてここから桑留尾(くわるび)分岐を経て毛無山までは、今回初めてのコースである。十二ガ岳西側よりもさらに長く険しい岩場と聞く。
急な斜面を下ると前方が開け、足元が大きく落ち込んでいる。最下部がキレットと言われているところだろう。そこまでは長い長いロープの下りとなる。下から5名ほど登ってくるので、通過に15分ほど待つ。いよいよ下りとなるが、意外と足場は豊富だった。落石に注意しながらキレットまで下りきる。 グラグラする吊橋を慎重に渡ると今度は長いロープの登りとなる。やはり登りのほうがリズムをつけやすくスムーズである。 登りついたところには「十一ガ岳」という看板が立てられている。ここから毛無山まで十、九、八、・・・と続き一ガ岳まで上り下りの連続となる。かなりのハードコースである。 歩く前は、本当に12のピークが並んでいるとは思っていなかった。こういうのは数合わせで、うちいくつかは取ってつけたような、尾根の肩に近いピークも含まれているのだろう、とタカをくくっていた。しかし実際に12回登って下るコースだったのである。(厳密には十ガ岳のピークだけは巻いている様だが) 一番厳しいのが最初の十二ガ岳~十一ガ岳間で、それ以後は、ロープのかかった急斜面こそあるものの通過にはあまり難儀しない。それでも体力はそれなりに消耗するので、毛無山に着くまで(反対コースでは十二ガ岳に着くまで)は気を緩めないことが大切だと思う。
毛無山でやっと、ゆっくり腰を落ち着けて休憩する。眼下に河口湖と西湖が大きい。 下りは、自然林の美しい緩やかな尾根道だ。ピンクのイカリソウが鮮やかに足元を彩る。 新緑の森の中、足和田山への道を分けて文化洞トンネルに下る。最後まで富士山は望めなかったが、ずっと歩き残していた稜線をこなせたので充実感のある1日だった。 |