~富士五湖を見下ろす絶景の御坂路~
タイトル
おにがたけ(1738m)・じゅうにがたけ(1683m)
2002.5.19.(日) 晴れ後曇り 一時雨

富士急行河口湖駅7:43-[タクシー]-8:05根場民宿-8:15登山口-8:45展望地-9:20ブナ原生林の標-9:55雪頭ガ岳10:15-10:30鬼ガ岳10:45-11:07金山11:12-11:50十二ガ岳12:10-12:35地蔵-13:05分岐-13:15桑留尾バス停15:05-[バス]-15:30河口湖駅 歩行時間:4時間15分

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御坂山塊は、富士山に近いということと、「御坂」という語感から穏やかな山容のイメージを持ってしまうが、実は一般登山道でも岩っぽい場所が多い。ロッククライミングで有名な三ツ峠山もこの山域だ。
岩尾根が多いだけに随所で展望を楽しめるのも魅力のひとつだ。しかも、どこよりもでっかい富士山の大観を道連れに歩けるので、(今でも登山者が多いが)もっと人気が出てもいい地域だと思う。
今回歩いた鬼ガ岳~十二ガ岳の縦走もまさに展望を楽しむコースである。岩尾根には季節の花々が咲く。
根場の林道から
根場の林道から

富士急行河口湖駅には8時少し前に着くが、バスの時間が合わずタクシーで根場(ねんば)民宿まで行く。
湖のふちを走り、林道に入って少しの所で下りる。ここはあたりの開けた分岐道で、直進すると鍵掛峠、右は雪頭ガ岳を経て鬼ガ岳である。右折して、絶景地と言われる雪頭ガ岳(せっとうがたけ)に向かう。

10分ほど歩いて登山口となる。付近は工事中なのであろうか、迂回路が付けられているが歩きにくい。
しばらくは桧の植林帯。タクシーの運転手さんの話では、昨日まで雨模様の天気が続いたらしく、やっと晴れた今日も湿気が多く、登山には快適な気候ではない。
青木ガ原樹海を見下ろす
青木ガ原樹海を見下ろす

ところで、この雪頭ガ岳への登山道は昭和50年代に地元の人たちが切り開いたそうで、まだ歴史が浅い。昭文社エアリアマップでは紹介されているが、アルペンガイドでは点線の記載さえもない。しかし道は明瞭で、荒れた所もない。
また、雪頭ガ岳のことを鬼ガ岳南峰と表記しているガイドもある。

植林が切れ、背後に展望が広がる。青木ガ原樹海がとてつもない広さで見下ろせる。
富士山はほとんど雲の中で、時たま8合目付近が見れるくらい。雪は大方細い線状に伸びている程度である。今年は全国的に雪解けが早いが、富士山も例外ではなかったようだ。
頂上には悪天の兆しである笠雲がかかっているようだ。
雪頭ガ岳から西湖
雪頭ガ岳から西湖

ブナが混じり、見晴らしのよい雑木の尾根をジグザグに登る。最後はかなりの急登を経て、開けた草地に出た。ここが雪頭ガ岳である。

昭文社エアリアマップにはお花畑と書かれている場所であるが、今の季節はクサボケ、フデリンドウ、タンポポやツツジのピンク色が見れる程度。
しかし南面に広がる展望は素晴らしい。眼下に西湖、その後ろには富士山(ただし雲の中)。河口湖やその向こうの街並みも眺められる。
昼食タイムには最適の場所だが、まだ時間が早すぎる。
展望のいい尾根
展望のいい尾根
鬼ガ岳
鬼ガ岳

鬼ガ岳へは、小さいピークを越えて行く。樹林の間から鬼ガ岳山頂部の梯子がよく見える。ピーク付近の岩の割れ目にはコイワザクラが咲いている。
先ほど見えた梯子を上る。ほぼ垂直でけっこうスリルがある。左に王岳の端正な姿が認められる。

鬼ガ岳山頂からは、ほぼ360度の展望。節刀ガ岳や十二ガ岳が目立つ。遠くには御坂黒岳や三ツ峠山も眺められる。山頂には奇異な形の岩が立っている。このへんに立って眺めれば、御坂山塊の多くの部分が岩っぽい山域であることが納得出来るであろう。
鎖場を通過
鎖場を通過

ミツバツツジの咲く中、やせた尾根を緩やかに上り下りする。展望に乏しい金山から左方面に進めば節刀ガ岳(せっとうがたけ)だが、今日は十二ガ岳へ進む。それにしてもすぐ近いところに「せっとうがたけ」と同じ読みの山が2つあるのは紛らわしい。

やや急な下りを経て再び道は岩っぽくなる。展望も広がり、梯子やロープが現れる。十二ガ岳のエリアに入ったとわかる。
十二ガ岳は東側の毛無山から縦走すると大小12のピークの上り下りをこなすことになる。尾根歩きとしてはそっちのほうが変化があって面白いだろう。今日は西側から、比較的たやすく十二ガ岳に上る。
コイワザクラ
コイワザクラ

しかしそれでも、岩の突き出たやせ尾根の通過は、やや緊張する所もある。ヒメイワカガミやコイワザクラが岩の間に咲く。花数はそれほど多くない。また、花はまだ付けていないがウスユキソウの葉も多い。

十二ガ岳山頂には祠がある。ガイドでは360度の展望とあるが、樹林にはばまれて眺めはよくない。わずかに富士山方面が覗けるのみ。
御坂や道志の山からの展望は、ガイドに載っている説明とかなり異なっていることが多い。ガイドでは「展望はない」とあるのに、実際は山頂付近に伐採が入り、富士山の方角の展望がよい、というようなことがある。十二ガ岳はその逆であった。
十二ガ岳山頂
十二ガ岳山頂

山頂から少し東側に行き、すぐ右に折れる。桑留尾(くわるび)への下山路である。最初は急な下りで、ロープの張られたザレ場もあって慎重を期すが、大きな岩を回り込んだ後は、歩を進めやすいおだやかな下りとなる。
お地蔵様のある場所を通り過ぎたあと、杉の植林をかすめる。再び雑木の道となった頃、とうとう雨が降り出した。文化洞トンネルへの道を分けると、再び急勾配の下りとなる。傍らにはチゴユリ、イカリソウがきれいに咲いているが、雨が落ちてきたのでカメラはザックの中。あとは淡々と下りて行く。

西湖に面した車道に下りると、目の前には「いずみの湯」という日帰り温泉施設がある。桑留尾バス停はそのすぐ脇だ。まだ時間が早いせいか温泉は空いていた。

鬼ガ岳付近の山は、いくつものピークを自在に結んで歩くことができ、いろいろな縦走パターンが楽しめる。花もそこそこ咲いているのだが、やはり展望がメインの尾根歩きだ。富士山が大きく望める、天気のいい日に歩きたい。


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