~春陽注ぐ道志東端の里山~
タイトル

にゅうどうまる(714m)、みねやま(570m)
2006年3月25日(土) 曇り後晴れ

6:53中央線藤野駅-[バス]-7:10奥牧野-7:55綱子集落-8:20登山口-8:40綱子峠-8:50送電鉄塔-9:10入道丸9:35-9:45平野峠-10:35天神峠-10:55十字路-11:15菅井分岐(361号鉄塔往復)11:40-11:45 360号鉄塔11:50-12:05小舟分岐-12:20峯山12:35-12:40大鐘分岐-13:15やまなみ温泉14:46-[バス]-15:00藤野駅
歩行時間:5時間15分

マップ
峰山・石砂山・鉢岡山 Home


道志山塊の東端にある入道丸は4年前に登っている。そのときは巌道峠までの一般登山道を歩いた。標高800mにも満たない低山ではあるが、雑木林の静かな尾根歩きという印象があった。
今回は、藤野町の峯山までつなげて歩くことにした。隠れ里のような綱子の集落を中心に、ぐるっと一回りするコースとなる。

綱子集落の風景
綱子集落の風景

藤野駅から、乗客は自分ひとりだけのバスで終点の奥牧野(おくまぎの)まで。民家が点在しているが静かだ。
車道を緩く下って、バス操車場を回り込む。道が右にカーブするところで正面の小道に入る。すぐに秋山川を橋で渡る。
川に沿った平坦で単調な林道歩きが続くが、左の斜面にはタチツボスミレが咲き出している。ダンコウバイも見られる。曇りがちで寒々とした雰囲気の中に早春の彩りがうれしい。
道脇には峯山の説明板が立っている。昔から信仰の山として大事にされてきたようだ。

養護施設の藤野さつき学園を過ぎ、林道は徐々に傾斜を増す。やがて綱子(つなご)の集落に出る。ほんの10軒程度の民家が寄り添うように谷間を埋めている。車の時代でなかったら、知る人ぞ知る山間の寂村であったろう。
ベンチがあるので少し休憩する。「ホタルとあじさいの里 綱子」との標識が立っている。
天候は回復に向かっていて、暖かい日差しが集落の田畑に注ぎ始めた。遊歩道がしつらえてあるので、上部の田畑の間を歩いてみる。農作業をしている人の姿が見える。

登山口は林道をさらに10分ほど進む。犬に吠えられながら、集落のどん詰まりまで行って右折、ここには指導標が立っている。幅広な道を50mほどで左手の山道を登っていく。
植林下だがどことなく明るい道を登る。やがて分岐となる。電源開発(会社の名前)の送電線巡視路の指導標が立っているがここは右に進み、尾根筋を辿る。

入道丸頂上
入道丸頂上
平野峠
平野峠
明るい尾根歩きが続く
明るい尾根歩きが続く

綱子峠から先は落葉樹の雑木林も増えてきて、気持ちの良い歩きとなる。送電鉄塔への急な登りをこなすと、背後の展望がぐんとよくなる。
今日行く予定の峯山がよく目立つ。お椀のような山体のてっぺんに、頂上部の杉の木が数本固まって突き出ているので、まるで乳房のような山だ。進む方向には入道丸が大きい。

再び植林の中となる。きつい登りのあと、右手に雑木林が復活する。平らになったところが入道丸だ。
樹林に囲まれて展望は乏しいが、広くてゆったりした雰囲気のいい山頂である。冬の日に鍋を担ぎ上げて食すのもいいかもしれない。

入道丸からも、小気味よい尾根歩きが続く。安寺沢への道を分け小さなコブに上がったところが平野峠である。
変則的な十字路になっていて、西へは巌道峠から赤鞍ガ岳への尾根道、南西方向へは月夜野への下り。今日はここでUターンするように東方向に鋭く折れる。導標には「菅井」との表示がある。
登山マップには紹介されていない道だが、それほどヤブ深くもなく普通に歩ける。両側がアカマツの混じる雑木林でなかなかよい。ダンコウバイやキブシなど、早春の花も多く見かける。そしてその樹間越しには、キラキラと光る道志の家並みが見下ろせる。
しかしやはり、それほど多くの人が歩いているわけではないようで、しばらく行くと笹ヤブや低潅木が体に当たり始める。そのたびにチクチクと痛い。

高度を落とし、正面に舟山(587m)のこんもりしたピークが見えてくる。踏み跡は東北東に下っているのだが、南側にも支尾根が伸びている。
地形図によると、ここから少し南下した後、東北東に向きを変えるように読めたので、南の尾根を少し下ってみる。しかし東に折れる踏み跡はなく、そのまま下山してしまいそうだ。登り返してさっきの東北東に伸びる尾根を下ることにする。
踏み跡は再び分岐する。どちらが正しいのかわからないので、とりあえず右を下ってみる。
しばらくすると車道に下り立つ。左のピーク目指して車道を登っていくと、案内板と指導標があった。ここが天神峠のようである。さきほど分岐した左方向への道はここへ直接下っていた。

峯山の眺め
峯山の眺め
三神の石碑
三神の石碑
シュンラン
シュンラン

天神峠からは格段に道が良くなる。舟山を北側から巻いたあとは、明るい雑木林の中の気持ちよい歩きがしばらく続く。南斜面なので暖かく、スミレも咲いている。キブシが鈴なりに花(というより実のようだが)をつけている。
ただし、麓の工事の音がやかましいのが玉にキズだ。聞こえてくる音の大きさからすると、かなりの大規模な工事のようだが、いったい何が出来るのだろう。

十字路となっている菅井分岐に着く。百番観音の石碑が片隅に置かれている。その石碑のある細道を行き、しばらくすると鉄塔の基部に着く。ここであたりが大きく開けた。
正面に峯山が大きいが、ここからは尾根続きになっておらず、道もなくなっている。どうやら道を間違えたようだ。
500mほど離れた左方の尾根を見るともうひとつの鉄塔が。あちらに行くのが正解だったようだ。菅井分岐まで戻って、西側の分岐に入る。

360号鉄塔の下で小憩して、峯山にいよいよ近づく。綱子への下り道が何本も分岐している。
峯山への直登は木の階段が歩幅が合わず、さらに急登が長く続きかなりつらい。登りついた峯山は樹林に閉ざされた地味な山頂だった。祠があり、静かな雰囲気だ。

山頂の真ん中に祠がある。読んでいた少し古いガイドによると、「いつ訪れても何かしらの供物、この日は日本酒とリンゴが並ぶ。里人の信仰心いまだすたれず」とあるが、何も置かれていない。里人にとっての山を敬う気持ちも、時代とともに少しずつ変化してきているだろうか。今日はたまたまだと思いたい。

大久和へ向けて下る。山を守る3つの神の石碑を見た後は、明るい自然林の尾根を急降下するようになる。少し高度を落とすと草陰にシュンランが咲いていた。

下山後、すぐ近くにあるやまなみ温泉に立ち寄る。小さいがかけ流しの源泉があり、消毒をしていないぬる湯で、とても気に入った。ぬる湯は八甲田の谷地温泉で味をしめたので、つい長湯になってしまう。

何となくほんわかした空気の中を、バスで藤野駅まで戻る。


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