~雲海に浮かぶ暁の富士~ 2007年12月16日(日)~17日(月)
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5年ぶりの三ツ峠。その5年前も夏の時期で、富士山の眺めは山頂からは得られなかった。三ツ峠といえば富士山、ここから見る富士山の均整のとれた姿は一番美しいと言われる。 山頂に至るコースは、三ツ峠登山口から登るのが一番容易だが、山登りとしては本社ヶ丸からの縦走路や北口登山道が充実していいだろう。今回は都留市からバスで宝鉱山まで行き、北口登山道を登ることにした。
●氷結した滝を見ながら 宝鉱山バス停から林道を少し歩く。北口登山道の登山口には、1台の車が停まっていた。 樹林帯から沢を下方に見ながらの登路となるが、人は誰もおらず静かな道である。沢は滝をいくつも持ち、まず最初に見る滝は初滝だ。 沢を見下ろすと人が歩いている。登山口に駐車していた車の主だろう。しばらくピッケルで滝を突いていたが、そのうち登山道に上がってきた。滝の凍結具合を見に来たという。 初滝の上部にある小さな滝は一部凍っていたものの、沢全体はまだ勢いよく水を放っている。ずっと高度を上げたところにある白竜の滝で、ようやく全面凍結した姿が見れた。 北口登山道は地形図で見ると短く楽な印象があるが、標高差があり急登の続く道だ。思った以上に時間がかかる。 御坂の山の中でも難路の部類に属するといっていいだろう。しかし落葉樹が多く自然度は高い。新緑や紅葉の時期はいいだろう。ただ降雪があって凍結したりすると、下りにとるのは避けたほうがいいかもしれない。 白竜の滝からは沢を離れ、尾根上となる。ここも急勾配の登りが続く。昔からの登山道らしく、かなり年季の入った指導標が多く立つ。自然保護を訴える看板、「I Love 三ツ峠」とかかれた標識などある。 三ツ峠は今でこそ、御坂側からの登路が一般化しているが、北口登山道は昔から多くの人に好まれてきた道、という感じがする。手っ取り早く山頂に立ちたいなら御坂側からの道を使えばいい。山を歩くことそのものを楽しむなら本社ヶ丸からの縦走路、そしてこの北口登山道ということになるだろう。
やがて、登山ノートの入った百葉箱を見る。こういうのは山頂にあるものと思っていたが、北口登山道は尾根の途中にあるのだ。 ノートはもう使い切られていた。今度来たときは新しいノートでも入れておいてあげようか、とも思う。 樹林帯から抜け出し稜線に出る。それまでの日の差さない道から一転し、まぶしいくらいの日光を浴びる。 しかし気温は低く、真冬の寒さだ。 霜解けでぬかるんだ道を緩く登って、御巣鷹山(1715m)に着く。山頂部のほとんどがアンテナ設備で占められているが、西側は樹林の切れ間から南アルプスの眺めが得られる。 風が冷たいので、アンテナ設備の陰で昼食にする。気温の低下で、おにぎりのご飯がボロボロになっていた。 穏やかな稜線を進む。富士山が真正面にとてつもなく大きい。しかしこの時間ではもう逆光だ。 今日は中判カメラ持参、ただフィルムが30枚くらいしかない。今日のところは撮影をなるだけ控え、明日朝の富士の大観に期待する。 三ツ峠・開運山頂上(1785m)に上がる。澄み切った冬空の下、360度の素晴しい眺めが広がる。富士山はもちろん、丹沢、南アルプス、八ヶ岳、そして奥秩父の金峰山が真っ白だ。おそらく昨晩降ったのだろう。 三ツ峠がやっぱり御坂の山で一番の展望の山なのかな、と思う。 今日は、足元に見える四季楽園に泊まる。まだ時間が早いが、明日の朝に備え部屋でゆっくり休むことにする。 ここは山の上では珍しく部屋に蛍光灯があり、お風呂にも入れる(冬は不定期)。山小屋というより山荘、ロッジに近い。山歩きよりも、写真が目的でとまりに来る人が多いからだろう。 この日の宿泊客は10名ほどで、6畳の部屋を一人で使った。 夕方、西の空が少し焼けた。明日の好天は保証されたも同然か。食事をして7時には床に着いた。
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