2011年11月26日(土) | |||
◇ | 代々木駅 | 5:16 | |
中央線 高尾駅乗換 |
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6:51 | 大月駅 | 6:53 | |
富士急行線 | |||
7:26 | 寿駅 | 7:28 | |
7:38 | 明見橋 | ◇ | |
7:45 | 堂屋尾根入口 | ◇ | |
8:10 | 堂尾山公園 | ◇ | |
8:18 | 鉄塔 | ◇ | |
8:22 | あずまや | 8:25 | |
8:42 | 1008m | ◇ | |
9:00 | 1114m | ◇ | |
9:28 | 相定ヶ峰 | ◇ | |
9:40 | 展望台 | 9:55 | |
10:00 | 倉見山 | 10:55 | |
11:20 | 1080m | ◇ | |
11:45 | 鉄塔 | ◇ | |
11:53 | 844.5m | ◇ | |
12:20 | 宮下登山口 | ◇ | |
12:40 | 東桂駅 | 12:48 | |
富士急行線 | |||
13:19 | 大月駅 | 13:33 | |
中央線 | |||
14:20 | 高尾駅 | 14:35 | |
京王線 | |||
15:25 | 新宿駅 | ◇ |
中央線や御坂方面の山は半年ぶりである。ひところは年に20回近く登っていた山梨県の山も、今年はこれが5つめ。山の好みも年毎に変わってきた。
富士山も雪化粧を始めたようなので、すっきりとした秋空の下、展望の尾根歩きをしたい。2度目の登頂となる倉見山(くらみやま)を、堂屋(どうや)尾根から登る。山も尾根もそれほど一般的でないが、それほど高い山でもなく、富士山の展望に優れており「お得度」の高い山と言える。
ベンチのある展望台から見る富士山 |
富士急行にも久しぶりに乗る。いまだにこの電車はカードが使えない。JRからの乗換え客はカード精算機でいったん精算し、その隣りの販売機で切符を買い直す必要がある。切符を買うのも久々だ。
車窓からはすでに大きな富士山。右に見えたかと思うと、いつの間にか左の窓から覗いている。寿駅で下車し、国道139号線を戻るように100mほど歩く。交差点で右折し、住宅や工場が立ち並ぶ道路を行く。全国的に有名な精密機器メーカーの工場もある。まだ日の差さない白い建物の後ろに、三ツ峠の大きな山体がかぶさるようにそびえている。
橋を渡り中央自動車道をくぐって、道なりに進むと左手に赤い鉄製の階段がある。「堂尾山富士見台」との標識がかかっている。ここが堂屋尾根の取り付き口で、尾根の末端から登っていくことになる。
階段を上がって山道に入ると、すでに背後に大きな富士山があった。初めだけ少しヤブっぽさはあったが、すぐにすっきりした道となった。ススキの穂が朝日にきらめき、気持ちのよい尾根歩きを演出する。
石の上に蚕影(こかげ)神社の石碑が立っていた。倉見山という名前は、今の三つ峠駅付近の地区の名前からきているのだが、以前このあたりは養蚕産業が盛んで蔵が建つほど栄えたそうで、蔵を見学に来る人が多かったことからこの地区を「蔵見」と名づけたらしい。地名といえば、この近くに「明見」という地区もあるが、これを「あすみ」とは、なかなか読めるものではない。
アカマツとコナラ、檜林を絡めて登っていく。「向原さくらを育てる会」という標識をよく見かける。右手に緩やかな尾根が分岐していた。その方向に少し進むと堂尾山公園という場所だった。広くはないが桜が植樹されており、富士山の眺めも素晴らしい。春には賑わいそうなところだ。
堂屋尾根に堂尾山公園。屋と尾は字が似ているから、きっとどちらかが間違えたのだろう。
さらに進み、富士見台への道を分けるとすぐに鉄塔の下に出る。やがて広い鞍部に着く。あずまやの脇に2つの石碑、そしてここが十字路だということを示す新しい指導標も立っていた。自分の地図には堂屋尾根を示す赤線は引かれていないが、思った以上にすでに歩かれている道のようだ。
ちょっとした傾斜の登りとなる。1008m点で一休みし、そこからは尾根を南側から巻くように高度を上げていく。道に沿って直径1~2センチほどの黒い電線が引かれていた。ところどころ切れているので昔のものらしい。鉄製のさびた鉄柱らしきものも見受けられる。
高度を上げると檜が多くなって、いつの間にか富士山が見えづらくなっていた。まあずっと富士山が見え続けの登山道というのもかえって味気ないものだ。左手に双耳峰っぽく見える倉見山、右側にはカラマツ林を前景に杓子山のどっしりした山体が望める。倉見山がすぐ近くの位置に来るようになると、その杓子山から下りてくる尾根との合流点に着いた。相定ヶ峰(そうじょうがみね・1250m)というピークでここにも立派な指導標がある。
倉見山まで、明るい自然林の中を尾根伝いに行く。少しアップダウンがある。木々はほぼ落葉しており、空は青く澄み切っていて気持ちがいい。やがて展望台と書かれた地点に着く。富士山が真正面に大きい。やはりここが一番のビューポイントのようだ。しかし大休止はやはり山頂で取ろう。次に、ベンチのある場所に出る。木の間越しに富士山は見えるが、なんとも中途半端なところにベンチを設置したものだ、と感じた。ヤセ尾根を大きく下って登り返ってすと、松の木が立つ倉見山山頂である。ここからも富士山は見える。大きな案内板が設置されており、ここは「富士八景」のひとつに選定されたとのことだ。きれいな指導標やベンチが設置されたわけがわかった。山頂はあまり広くなく、富士山を見ながら腰を下ろせる位置が意外と少ない。三角点の脇でゆっくりと休憩をとる。数名の登山者がやってきたが、土曜日にしては静かなものだ。
もっとも、初めて来た9年前のときはほとんど誰にも会わなかった。杓子山への岩尾根が着雪していて難儀した記憶があり、こんなところで怪我しても誰もやって来ないだろうな、と心細い思いもした。しかしこんなに富士山の眺めがいい山を地元が放っておくはずもなく、倉見山もようやく富士八景という冠を与えられた、ということになろう。
下山は、9年前に登りに取ったコースを行く。三ツ峠駅への分岐を見て、自然林の中を急降下する。やがて穏やかな尾根歩きに転ずる。この時間になって、何人ものひととすれ違うようになった。高度を下げると紅葉も残っていた。三ツ峠駅へのもう1本の分岐の先、1080mピークに立つ。植林が目立ち始め、鉄塔基部を通過。さらに分岐をやり過ごした先で登山道はいったん右へ尾根を外れていく。その地点から20メートルほど尾根を直進すると、844m三角点が林の中にひっそりとあった。風雨や人の目にさらされることのない場所のせいか、三角点は「国地院 四等三角点」という文字がかすれもせずはっきり刻まれており、きれいな標石のままだった。
この先、下りコースでは少々わかりにくいところもあって、踏み跡を慎重に拾いながら下る。下のほうはまだ、緑の雑木林が残っていた。お堂を見た先、墓地を突っ切って宮下登山口に着いた。あとは車道を東桂駅まで歩いていくだけだ。このあたりからはもう、富士山は見えない。富士山はやはり、山頂に立って初めて見えるような登山コースのほうが感動もひとしおで、登り始めから(または登る前から)見えてしまっているのはちょっと味気ない気もした。
それはともかく、久しぶりに大きくきれいな富士山を見ながらの、気持ちのいい登山となった。