-日本一の孤高の高峰-
タイトル
河口湖五合目-富士山お鉢巡り
山域富士山
地域山梨県
標高剣ヶ峰(3776m)
山行日2010年8月29日(日) 天気
沿面距離14.0km
歩行時間8時間45分
標高差1475m(河口湖五合目~剣ヶ峰)
宿泊-
温泉-
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行程

2010年8月29日(日) 前夜発

調布IC17:25
中央自動車道
河口湖IC18:40
富士スバルライン
19:45河口湖五合目
手前1km地点
2:05
2:25河口湖五合目
2:40六合目
3:20七合目3:30
4:20八合目4:30
5:20本八合目
6:05九合目6:10
7:22富士山
久須志神社
7:35
8:15剣ヶ峰
富士山
久須志神社
9:15
9:30九合目
9:45八合目
10:50六合目
11:20河口湖五合目
11:40河口湖五合目
手前1km地点
11:55
富士スバルライン
12:35河口湖IC
中央自動車道
14:05高井戸IC


関連リンク
富士河口湖観光情報
富士急行バス
富士スバルラインHP


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標高3000mを大きく超えてくるようになると、さすがに息苦しさというか、動作がスローになるのが自分自身よくわかる。しかし、心配していた高山病のような症状は出ないまま、いよいよ頂上が目の前となった。

狛犬の間を通り鳥居をくぐって、富士山頂上の一角に立つ。「浅間神社奥宮」と刻まれた標柱と東京屋という名前の売店、そして久須志神社が並ぶ。


日本最高所の剣ヶ峰を右手に見ながら、お鉢を回る

ここはまだ標高3700m程度。建物の裏側に回ると、お鉢の反対側に測候所の立つ高まりが見える。あれが最高点の剣ヶ峰であろう。

お鉢の手前で少し休憩する。
深く、ゆっくりと呼吸をする。やはり空気が薄い。 体が重く感じる原因は、標高1400mを一気に上がってきた疲れだけではないだろう。

頂上にも死んだように眠っている人がかなりの数いる。


頂上へ
お鉢の向こうに剣ヶ峰
海が見える
日本最高所から
大沢崩れ

展望がいい山、と言うには語弊がある。全方位開けている場所はなく、常に180度の眺めで、反対側は当然ながら富士山の斜面である。頂上に立っても、お鉢が大きいので反対側は見えない。

また、周囲の山岳はみな遠く見下ろす位置にあるため、迫り来るような眺めでもない。河口湖などは地表にペタッと張り付いた感じで、ちょっと別の世界のようだ。
でもこれらは富士山からしか得ることのできない、独特な眺めだと思えばいい。

駿河湾や南アルプスも見たいので、お鉢巡りをする。
時計回りに進み、大日岳の脇を通って緩やかな砂礫の道を進む。このあたりからは山中湖や丹沢の山がよく見える。御殿場口コースを左に見送ると、石造りの奥宮があった。大勢の人でごった返していたので、中を覗くことは諦める。

海が見えてきた。相模湾に続いて雲海がかぶさっているのはおそらく伊豆半島。駿河湾から陸地に戻り安倍奥や南アルプスの山稜へとつながっている。山から海、海から山へ移りゆく南関東の地形が一望のもとだ。
気温が高いのか、もやっとした眺めでしかないのが惜しい。

道は突然の急坂となる。ちょっとの傾斜でも足がついていかない。苦労して最高点の剣ヶ峰のすぐ下まで登り着く。
最高点の場所へは、30名ほどの行列ができていた。こんなところにも順番待ちがあるのか、とあきれたが、どうやら記念写真を撮る人の列だったようだ。別に自分の姿を写真に収めるつもりはないので、列に加わらずに3776mの最高点に到達する。
ここから見下ろす、大日岳や伊豆ヶ岳付近の眺めはなかなかいい。

緩やかに下り、ようやく南アルプスとのご対面となる。甲斐駒や北岳、どれも遠く、インパクトのある写真にならない。富士山はやはり孤高の独立峰である。

お鉢のもうひとつの高峰、白山岳へ登る体力はもう残っていない。内側の巻き道を通って久須志神社の地点へ戻る。
手前の久須志岳付近からは、八ヶ岳や奥秩父、御坂の山が見下ろせ、展望を楽しみながら休憩できる場所だ。

河口湖を見下ろす
空に落ちていく
登山口へ
混雑する五合目

お鉢も回れたし、もう思い残すことはない。下山しよう。初めは須走コースと同じ道を使って、八合目で分岐する。その八合目を気づかずに通り過ぎやしないかと不安になる。
間違えたら須走に下ってしまうから。そんな間抜けなことは考えにくいのだが、何しろかなり疲労しているため、思考力も鈍っている。朝通った富士山ホテルまで下ったところで、この先進むべき道ははっきりした。

疲れてはいるが、足運びは快調である。回りには下りが苦手な人がたくさんいて、横向きとか、後ろ向きで歩いている人が多い。初めはふざけているのかと思った。
自分が13年前、初登山で奥多摩の山に登ったとき、こんなふうに後ろ向きに下ったのだろうか、記憶がない。たぶん今日は、「今この富士山が、自分の初登山です」という人もきっと多いのだろう。

こういうなだらかな下りは、一歩一歩足を踏ん張って歩くよりも、小走りでいくほうが膝の負担が少ない。これも13年前、奥多摩の山に登ったときに回りの登山者に教わったのを思い出す。
六合目から、馬車の通る道を下って登山口。五合目までの緩やかな登り返しはきつかった。

五合目駐車場付近は、銀座の歩行者天国のようになっていた。観光バスの数も上高地を超えているのではないかと思う。河口湖五合目は、日本有数の避暑地兼観光地といっていいだろう。
もっとも今日は、標高2300mとは思えないほどの暑苦しい地ではあるが。
車のある場所まで、まだ20分ほど歩かねばならない。アスファルトの熱が登山靴を伝わって感じるようになる。どうやらお昼前に駐車場所にたどり着くことができた。

日本一の山に登れたことに満足する。しかし、巨大駐車場にさえ入りきれない車、頂上直下まで伸びているブルドーザー道、登山道脇で高山病でふらふらしていたり死んだように眠る人たち、身動きできないほどの激しい渋滞、後ろ向きに歩く登山者。日本一の山だけに許されるものをいっぱい見た。孤高の峰たる所以である。