|
|
2010年8月13日(金)
|
◇ | | 新宿駅 | 6:38 |
小田急線
|
7:55 | | (新)松田駅 | 8:13 |
御殿場線
|
8:50 | | 御殿場駅 | 9:10 |
富士急行バス
|
10:10 | 須走口新五合目 | 10:35 |
12:00 | 六合目 (長田山荘) | 12:35 |
13:05 | 本六合目 (瀬戸館) | 13:15 |
14:20 | | 七合目 (大陽館 泊) | ◇ |
2010年8月14日(土)
|
◇ | 七合目 | 5:20 |
6:00 | 本七合目 (見晴館) | 6:30 |
7:50 | 砂払い五合目 | 8:00 |
8:30 | | 須走口新五合目 | 9:20 |
富士急行バス
|
10:15 | | 御殿場駅 | 10:27 |
御殿場線
|
10:50 | | 山北駅 | 13:59 |
小田急線 さくらの湯立ち寄り |
14:07 | | (新)松田駅 | 14:23 |
小田急線
|
15:47 | 新宿駅 | ◇ |
|
夜、外に出て驚いた。ベンチに大勢の人がたむろしているのだ。もちろん宿泊者ではない。下から登ってきてここで休憩しているのだろう。
昼間見た光景と変わらないのだ。富士山に昼と夜の区別はなさそうである。小屋も受付と売店は夜通しやっている。
そして、休憩者の何人かは意識が朦朧としていたり、テーブルにうずくまっていたりする。明らかに高山病か、極度の疲労、睡眠不足である。そんな体に大きなダメージを抱えたまま、富士山に登ろうとするのか。計画が無茶だ。
この人たちの頭の中に今思い描かれているのは、頂上に立っている自分の姿しかないのだろう。
小屋の人も、疲れてへたり込んでいる人を小屋の中で休ませてあげるようなことはせず、半ば放置している。ただ、「寝ると低体温症になるから寝るな」、と注意を促していたようだ。他の山の山小屋の人だと、こういう登山者の無茶な行動に大して注意を促し、山の恐さを諭したりするだろう。場合によっては登山を思いとどまらせるような気づかいをするかもしれない(そもそもこんなにフラフラの人が大勢いることはまずない)。
富士山の山小屋は休憩所、仮眠所として存在するだけのようであり、登山者の憩いの場にはなっていない。
本七合目。ガスと強風で今回はここまで
|
こういう状況で、病気や事故などのトラブルがあまり聞かれないのは意外に思える。もちろん事故がないことはなく、登山シーズンは数日に1回の割で新聞などをにぎわせている。
実際この日も、富士宮コースで82歳の登山者が高山病で搬送されたようだ。
けれど年間に20万人が登ると言われる山の割に事故が少ないのは事実だ。
表に出ない事故が多いのか、また登山者の年齢層が低く、体力にものを言わせて少しくらいの困難は乗り越えて登ってしまうのかもしれない。
登山道は遊歩道のように完全整備されているから、その点での不慮の事故は少なそうだ。
朝の登山口で少し気になってはいたのだが、下山してきた人が意外と無表情で、あれっと思った。日本一の山に登ってきたのに。
普通の山の登山口は、さあこれから登るぞという期待いっぱいの登山者と、登頂の達成感に満ち溢れた下山者が行き交う場所なのだ。須走登山口にはその雰囲気が感じられなかった。登りの途中ですれ違う人も、何か元気がない印象を受けた。
とにかくこの外の光景を見て、眠気がいっぺんに吹き飛んでしまった。寝床に戻り、若干の興奮を覚えつつ目のさえたまま時の過ぎるのを待った。
晴れていれば2時ごろ、暗い中山頂を目指す予定だった。しかしゴーとうなる風がその気をしぼませてしまう。日の出の時間になっても風は止まず、回りはガスに覆われる眺めになっていた。周囲が明るくなってからの出発となった。
強風でよろめきそうになる中、ジグザグを登っていく。体の小さなsanpoさんやのぞむさんは、持って行かれそうな強い風に、自分以上に苦労しているようだ。
| 怪しい雲が湧く |
| 山中湖方面 |
| 砂走りを一気に |
| 頂上は雲の中 |
|
天気は期待はずれでも、下のほう、山中湖あたりの眺望が得られる。杓子山や倉見山、御正体山がはるか下にある。富士山ならではの、周りの山を見下ろす眺め。あそこからもおそらく、この富士山はガスに消え入りそうになる寸前の姿で、何とか見えているのだろう。
大陽館から見えていた鳥居をくぐる。回りを石垣で完全防備した建物が立っていて、「本七合目見晴館 標高3200m」とある。
ガスが充満し、この先も何も見えない。展望のなさと風による危険を考え、ここで引き返すことにした。
「富士山には、一生で一度しか頂上に立たないだろうから、それは天気のいい日にしたい」sanpoさんの意向と自分も同じだった。のぞむさんには申し訳ない気持ちもあったが、この天気を見てすんなり意見がまとまった。
ところで、本七合目には標高3200mの表示があったが、実際はもう少し低いようである。自分が今まで登った一番高いところは北岳の3193mだが、今回の場所がそれを超えていたのか微妙である。
ここだけでなく、須走コースの標高表示はどこも少し高めに書かれているようだ。ただ、北岳や武甲山のように、山頂の標高は計測によって変更されたりする。ましてや登山道途中の数字などはおおよそ程度でとらえておくしかない。
下山は砂走りコースを行く(しかない)。来た道をもう一度下ってもみたかったのだが、どうも登り専用のようで、下山は砂走りしかなさそうだ。
それこそ一直線上の黒土の下り。眺めは開けている。少し下ると、早くも五合目の駐車場やバスが見えてきた。すぐに下山できてしまいそうである。
ずっとこの同じ眺めのまま下り続けると、平衡感覚がおかしくなってくる。ふと上を見上げたら、雲の線が斜めになっていた。いつの間にか自分の体が斜めになっていたようだ。
走って下る人もいるが長くは続かず、100mくらい下るとすぐに休憩している。あまりスピードを出すのは恐いが、少し小走りのほうが、歩くよりもひざに負担がかからない。登山を始めて間もないころ、同じ下山者に教えてもらったことを思い出した。
昨日休憩した山小屋が左手に見えてきた。さらに走るように下って、砂払い五合目の休憩所で足を休める。大勢の登山者がいるが、軽装の若い人ばかり。自分たちは完全に年長者だ。
今回の山は、若者や家族連れが多く、他の山では当たり前に見る中高年登山者はほとんど見かけなかった。
山に親しんで、何度も登ろうとする人は少なく、一度だけという登山未経験者や初心者しか登らない山、そんなふうに富士山は映った。リピーターが少ないのは、事務的な応対ばかりの山小屋従業員の姿勢からもうかがえる。先日の北アルプスの山小屋とは全く正反対だ。
樹林帯に入って、昨日登った道と合流する。須走登山口に下り着く。強い日差しが戻り、バス停あたりまで下ると青空の下、昨日見えなかった緩い大きなスロープが目に飛び込んできた。しかし頂上部はまだ、大きな笠雲に覆われている。
いつかは頂上まで登らなければ、と思うのだが、それを考えるといささか気が重い。アクセスはよいので、天気のいい日を狙って日帰りで登ってみたい。
|