山の写真集 > 丹沢・道志・箱根 > 台ヶ岳
  • -ブナが残された道なき山-
  • 国有林前-台ヶ岳-国有林前
  • 箱根
  • 神奈川県
  • 台ヶ岳(1045m)
  • 2019年1月27日(日)
  • 2km
  • 1時間30分
  • 137m(国有林前-台ヶ岳)
  • -
  • -
  • マイカー
天気1

 

2019年1月27日(日)
東京IC 7:35
  東名高速道路
厚木IC 7:55
  国道1号,西湘バイパス
9:30   国有林前 9:35
9:40   笹ヤブの入口
10:30 台ヶ岳 10:55
11:30 国有林前
  国道1号他
13:35 厚木IC
  東名高速道路
13:55 東京IC

 

箱根の山は場所によってはブナ林が多く残されている。その中でも仙石原にある台ヶ岳は一つ気になっていた山である。山頂に太いブナが何本もあるらしいが、登山道がないとのことだ。
寒いだけで雪も降らず、山歩きになかなか魅力を見出せないこの冬だが、せっかくのいい天気なので出かけないのはもったいない。たまには笹薮漕ぎもいいのではないかと思い、車で箱根の地に向かった。


ブナの古木が何本も立つ台ヶ岳山頂

箱根湯本から県道734号を上り、芦ノ湖と大涌谷との分岐となるT字路付近に台ヶ岳の登山口がある

箱根の要所

近くに国有林前バス停がある。台ヶ岳入り口はこのすぐ先

国有林前バス停

ヒメシャラの樹皮がはがれ白く光っていた

明るいヒメシャラ

適当なところで南斜面の笹藪に入る

藪漕ぎ突入

振り返ると大涌谷と神山が近かった

大涌谷が近い


行程の短い山なので、早発ちはせずゆっくり家を出る。箱根湯本駅から登っていく細い車道にはすでに路線バスが走っていた。登山口は標高1000m付近だが、海沿いの道路から高度を上げていくのでかなり登ることになる。山の斜面は温泉の煙がモウモウと出ていた。
T字路の手前に台ヶ岳の登り口を見つける。そのすぐ先に国有林前と言うバス停があった。T字路を大涌谷方面へ左折して、すぐのところに自然探勝路コースがあったのでその入口に車を停める。

支度をして出発だ。今日は藪漕ぎなので、始めから手袋やストックを使っていく。こんなところで見かけるハイカーなどいない。近くには台ヶ岳国有林を示す看板が立てられていた。
先ほど見た入り口まで来る。山中に荒れ気味の林道が伸びており、車止めがある。この林道は台ヶ岳の南東面を巻いて遠ざかっていくようなので、入ってすぐ左の藪の中にさらに細い踏み跡をが台ヶ岳の入り口ということになる。笹が被っているのでちょっと目にはわかりにくい。

はっきりしない踏み跡を辿っていくと、ちょっとした小台地のようなところに出た。小規模ながらもブナとヒメシャラの林となっている。箱根の山は、奥多摩や丹沢と比べて登山口の標高が高いところが多いので、歩き始めてすぐにブナが見られる場所が多そうだ。ただ同じくらいの標高でも、豊富にあるところと全くないところもあり、差が激しい。
国有林に指定されてきたことが、ブナやヒメシャラの古木が伐採されずに生き延びてこられた理由のひとつなのだろうか。もっとも国有林といったら、戦後の国の施策によって拡大造林のもとで全面的に杉や檜に変えられてしまっていても不思議ではない。
何か特別な事情があって、昔のままの自然が保たれてきたのだろう。その事情というものを知りたいのだが、ネット検索してもなかなかたどり着けない。

ハコネザサの海の向こうには台ヶ岳のドーム型の山体がよく見える。山頂はもう目と鼻の先で、この距離なら普通に歩いていけば10分くらいで到達できそうな近さである。しかしここからは笹薮との格闘になるはずで、そんな短時間では済まなそうなことはわかる。

台ヶ岳山頂(最高点)にはブナの大木があり、ヒメシャラに山名板がかけられていた

台ヶ岳山頂

山頂は、周囲をぐるっと樹林と笹薮に囲まれている

樹林に囲まれ

南東に伸びた尾根は藪が薄かった。この赤テープが南東尾根の取り付きの目印になっている

赤テープあり

小台地にはウロ(空洞)が特徴的なブナ巨木が立つ

小台地のブナ

車止めのある台ヶ岳入り口

車止めあり


周囲はすでに背丈くらいのササの原となっている。右手の檜林沿いに道のようなものが見えるが、台ヶ岳から遠ざかりそうなので、このあたりで正面の斜面に取り付くことにした。
藪の薄そうなところを選んで高度を上げる。尾根状にはなっておらず単なる斜面である。登るにつれて傾斜はきつくなり、手を使うところも出てきた。
背丈ほどの笹のせいで展望はない。しかし振り返ると箱根山(神山)の高い峰のふところに、もうもうと噴煙を上げた大涌谷が意外なほど近くで見られた。神山は、今現在登り残しているだた2つの関東百山のうちのひとつなのだが、火山活動により登山禁止となってしまい、いまだ登頂を果たせない課題の山である。

笹が深くなってきた。右手のほうの尾根筋がすっきりしていそうなので、そちらのほうに移動していく。山頂近くの稜線に上がると平坦になり、藪も減った。ブナやヒメシャラの茂る中を進んで台ヶ岳山頂である。地図を見ると三角点の位置は少し西にあるらしいが、最高点付近で歩きは終了する。

ブナの大木に寄り添うようにヒメシャラの細木があり、手書きの山名板がつけられていた。展望はほとんどなく、神山と大涌谷が笹薮を透かして覗く程度だ。西には富士山の白い冠も木々の向こうに見えた。
山頂付近には少し刈り払われたところもある。しかし登山者がコンスタントにやってくるような雰囲気は全くなく、自然のままの姿だった。

来た方向へ下山する。登ってきたルートにはあまりこだわらず、下山するときの視点で藪の薄そうなところを下っていくことにする。
南東方向に伸びる尾根筋をしばらく下っていく。意外にも藪は少なく、赤テープも見られた。やはり下りのほうが藪の薄いところを見つけやすい。スイスイと、あっという間に高度を落とし、檜林の脇に下ってしまった。登りに50分くらいかかったが、下りは15分だった。少し笹を整理すれば登山道として歩けそうな気もする。
登りの起点となった小台地で初めて、登りのルートと合流する。あとは数分で登り口、国有林前に戻った。

久しぶりに藪山らしい藪山だったが、1時間と少ししか歩かなかった。時間も早いので近くの塔ノ峰なり、大涌谷でも行ってみようかと思ったが、高速が渋滞しないうちに帰りたかったので、温泉もパスして帰途に着く。