~雪上に届く光の春~
タイトル
あかくらがたけ(1257m)から
あさひやま(1299m)、にじゅうろくやさん(971m)

2006年2月11日(土・祝)快晴

6:30相模湖駅-[バス]-6:46三ケ木6:50-[バス]-7:30月夜野-[車]-7:50大栗7:55-8:20林道横断-9:20稜線-9:30赤鞍ヶ岳9:40-9:50ウバガ岩9:55-10:35秋山峠-10:40朝日山11:15-11:45サンショ平11:50-11:57棚ノ入山-12:35三日月峠-12:50二十六夜山13:30-14:20下尾崎14:42-[バス]-15:25上野原駅 歩行時間:4時間45分
マップ
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2月は「光の春」と言われる。気温の低いのは続くが日足が長くなって、日差しそのものにも12月や1月の時にはなかった明るさがある。日当たりの良い雑木林の尾根をこの時期に歩くとそれを強く感じる。

ウバガ岩から朝日山と富士山
ウバガ岩から朝日山(右)と富士山。中央奥は今倉山

道志の山にはもっと登りたいのだが、交通が不便で電車・バス派にはつらい。追い撃ちをかけるように、富士急山梨バスが道志へのバス便を減らしてしまい、週末の登山は土曜日朝のバスしか利用できない。下山口に道志村を選ぶことが出来ない訳である。

唯一運行されている土曜日7時55分、月夜野発の道志村行きバス。これに乗って赤鞍ヶ岳~朝日山の道志主稜を歩こうと思った。月夜野バス停に着いて初めて気がつく。今日は建国記念日、祝日であった。バスはない。バス停の前で途方にくれる。

今乗ってきた神奈川中央バスに乗って戻ろうかと思った。そのとき、向かいの店で作業をしていた人から声がかかる。赤鞍ヶ岳に登りに来たと話したら登山口まで車に乗せてくれるという。本当に助かった。
地元の方で、水道管が凍ってしまった家を修理して回っているとのこと。そんな作業中に申し訳なかったが、車で大栗に着くなり、近所の家の人に登山口を聞いてきてくれるなど、とても親切な人でありがたさが身にしみた。
この人のためにも、今日の登山は素晴らしいものでなくてはならない。お礼を払って登山口に向かう。

2月に入っても続いていた寒さも、今日になって緩み、暖かい太陽を背に受けて林道を進む。10分ほどですぐに山道に入る。雪はない。畑地を登り、鉄塔基部を過ぎて林道を横断する。
付近の斜面はあらかた伐採されていて、広大な展望が広がる。上部に赤鞍ヶ岳付近の稜線も見上げられる。一箇所黄緑色をしたカヤトの斜面が見える。丹沢山塊と道志の稜線の間に、富士山もいい按配に姿を見せている。

道志村を見下ろす
道志村を見下ろす
ウバガ岩からの展望
ウバガ岩からの展望
明るい雪の道
明るい雪の道

背の低い潅木の気持ちよい道。だんだんと斜度がきつくなってくるが、富士山に励まされながら高度を稼ぐ。やがて北岳や甲斐駒などの南アルプスの稜線も遠望される。
今日は気温が高いものの、空気が澄んでいて山々の眺めはどこを見てもくっきりしている。こういうことはたまにあって、大げさに言えば恍惚感と言ってもいいほどの気持ちよさ歩いていて感じる。1年に1度あるかないかの、うってつけの登山日和である。
荷揚用と思われる鉄製ロープのある場所からの展望も素晴らしい。

ゴトウ石と書かれた石を過ぎると、檜林となる。ここまでも急登だったが、このあたりからはさらに斜度は増す。そしてそれは稜線直下まで続く。さすがに体がついていかず小休止する。
自然林が現れ、小さなピークを越えると稜線に出る。巌道峠方面への道を分けて、もう少し高度を上げる。稜線上は5センチから10センチほどの雪で地面は真っ白だ。サングラスを取り出す。
雪の上は2,3の足跡がある。直近の降雪は5日前だから、ほとんど歩かれていないようだ。反対側に奥多摩の山々が望めるようになる。

登山口から1時間40分、雨量計がある赤鞍ヶ岳頂上に着く。雨量計後ろの笹薮の中に、三角点と手書きの山名板があるが狭い場所で、笹と林にさえぎられて展望はない。
一面雪で座ることが出来ないので、ザックの上に腰を下ろす。ここはあまり長居する場所ではなさそうだ。

稜線を歩き出す、尾根の北側に道がつけられているところは決まって雪で白い。見下ろす斜面も真っ白になっている。しかし南側になると雪が減り、日当たりの良い場所では土が露出している。尾根を境に2つの季節がせめぎ合っている様だ。

光あふれる露岩の尾根になり、高みに上がると富士山や南アルプスの望める展望地だ。ここはウバガ岩というところだろう。進む先にはこれから向かう朝日山も堂々とした姿を示している。
風もなく暖かい。腰を下ろして休憩のし直しをする。

自然林の明るい尾根を西に進む。思ったほどアップダウンはなく、樹林の切れ間から富士山も時々覗く。
この暖かさ、眩しいほどの光の春を全身に受ける。時々回りこむ北側斜面でさえも陰気な暗さはなく、どこかぬくもりさえ感じる。


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