~参道を辿り展望の頂へ~
タイトル
しらくらからおおだけさん(1266m)
2005年1月9日(日) 晴れ後時々曇り

7:03武蔵五日市駅-[バス]-7:30白倉7:35-7:50車道出合-8:30展望地8:40-9:10馬頭刈尾根-9:35大岳山荘9:45-10:10大岳山10:55-11:55大ダワ分岐-12:05鋸山12:15-[15分休]-13:50登計峠-14:15奥多摩駅

歩行時間:5時間10分

マップ
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朝日のまぶしい武蔵五日市駅でバスに乗り、白倉(331m)で下車。雪の残る静かな山村から小道を上がっていく。
斜面につけられた畑や庚申塔を見ながら進む。神社の横で山道に入る。竹林はこんな冬の時期でも、日に照らされて明るい。
丁目石
丁目石
道端の二十三夜塔
道端の二十三夜塔

この道は元々大嶽神社への表参道だったせいか、よく踏まれた杉木立のおごそかな道である。鳥居をくぐって登りやがて車道をまたぐ。ここには「二丁目」という丁目石が置かれている。
雑木林や鬱蒼とした杉林が交互に続く。白倉からの登りは、地図では等高線が非常に細かく急登が予想された。しかし初めのうちは意外と傾斜は緩やかである。
それでも体の内部はほどなくほてってくる。思わずフリースを脱ごうとするのだが、周りの空気はまだ冷たく感じる。寒くて厚着しているのに汗が出る。食べ物の味付けに「甘辛」というのがあるが、寒くて暑い冬の山歩きはそれと似た表現を使って、さしずめ「寒暑(さむあつ)」とでも言えるだろうか。

ジグザグに登っていくと、戸倉の山越しに富士山、丹沢の山々が大きく望める展望地に出る。まだ時間が早いので富士山も順光の中きれいに姿を見せている。
明るい馬頭刈尾根
明るい馬頭刈尾根

それにしても静かで時が止まったようだ。
御前山の陣馬尾根(藤倉からの道)や湯久保尾根同様、大岳山も秋川側からの登路に味わいのある道が残されているようだ。以前、軍足(ぐんたり)から馬頭刈(まずかり)尾根を登ったことがあるが、登りとしてはいささか長い行程ではあるけれども雰囲気のいい道だった。

足元にはところどころ雪が現れるようになる。それとともに傾斜もきつさを増してくる。苦しい時間はそう長くはなく、目の前の黒々とした塊と青空との境界がだんだんと近づく。意外と早く馬頭刈尾根(1059m)の稜線に上がれた。
尾根上の積雪は5センチほど。数分歩くとベンチのある展望台で、間隔の広い杉の木の間から富士山などがよく見える。
大嶽神社
山頂直下にある大嶽神社

緩やかな登りまたは平坦な歩きよい道は、随所に雑木林と展望のきく場所がある。右手に丸っこい大岳山も近づいた。鋸山への道を分け、大岳山荘への道に入る。
若干凍結している場所がある。アイゼンをつけるタイミングを図りつつも、結局そのまま大岳山荘(1158m)前の広場に到着する。

今日は展望が本当に素晴らしい、先週の丹沢に続き、今日もまた相模湾が見えている。そして都心のビル群。もちろん富士山も。
大岳山頂上への岩尾根はちょっとした難路となる。日陰は雪が凍結しているのでここでアイゼンをつける。やがてあたりはパッと開け、青空に向かって登る。今日初めての登山者にあった。

大岳山頂上はまさに展望の地。雲取山から大菩薩嶺、雁ガ腹摺山。笹尾根・浅間尾根の山並み、三頭山、御前山。三ツ峠山と御正体山を従えた富士山の手前に、ポコっと頭を出しているのは権現山、そしてここから相模湾も見えるのか。もう5,6度来ているのに今日初めて知った。光る海の横には丹沢山塊がずらりと揃い、高さを競っている。
以前は、山がいっぱい見えるなあくらいにしか思わなかったが、もうずいぶん山の名前と位置を把握できるようになったので、山座同定も楽しい。
大岳山頂上
大岳山頂上
鋸尾根の天聖神社
鋸尾根の天聖神社

下山は鋸尾根を行く。ここは都合4度目、いずれも下りである。しかし雪のある時期を下るのは今日が初めて。
海沢から登って来たと言う人は8本爪アイゼンを装着していたが今日の自分のは4本。それが少し不安だ。しかしまあどうにかなるだろう。

岩がちの急坂を慎重に下る。雪はまだらに付いていて、たまにガリッというアイゼンと岩の接触音がして少々気味が悪い。かと思うと、雑木に包まれた穏やかな平坦道になり、緊張と弛緩が交互に来る。
この稜線はほぼ南東-北西方向、あるいは南北方向にとほぼまっすぐに伸びているのだが、アップダウンが多いため雪のつきも場所によってずいぶん違う。登り返しは南斜面になり雪が全くないところが多い反面、下りになると、かなり高度を下げたところでも雪が消えず凍結している。

御前山や石尾根の稜線もまだ見える。そして富士山も。しかし上空はだんだんと雲が支配してくる。鋸山(1109m・天地山が正しいとの説もある)や御前山への分岐を過ぎてなおも下る。
鉄梯子のかかる急坂を下り上りすると大天狗・子天狗の奉られた天聖神社のある小台地で、ここはそこそこ展望がいい。奥多摩の山の中で天狗の像が置かれているのはけっこう珍しいと思う。

植林の急坂を何度も下る。しかしそれにしても長い。鉄塔のある場所に来ると、はるか下のほうに町営温泉施設「もえぎの湯」の建物が見えた。珍しく駐車場に空きがある。ということは今日はあまり混んでいないのだろう。

林道に出て登計(とけ)峠(480m)に下り立つ。いつもは愛宕山への登り返しに入るのだが、今日は左の車道を下り、登計集落を経由して奥多摩駅に下ることとする。
集落は梅でも咲いているかと期待したが何と柿の木が実をつけて残っていた。しかし民家の庭には植栽の福寿草がもう花をつけている。

セメント工場を背にした奥多摩の町並みを眺めながら、青梅街道に下りる。もえぎの湯はやはり空いていた。
奥多摩駅の周辺は山里の駅という雰囲気がしていて、下山地としてやはり一番好感が持てる。最近は田舎の駅でさえも、駅舎や周辺の建物がどんどん建て替えられていくが奥多摩駅はこのまま残ってほしいものと改めて思う。

個人的な事情で1ヶ月ほど山へは来れなくなる。今度来るときには日足が伸び、奥多摩にも春の足音が聞こえて始めているだろうか。


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