山の写真集 > 奥多摩 > 万六ノ頭から生藤山、トヤド浅間
  • -奥多摩の寂峰をつなぐ-
  • 柏木野-万六尾根-三国山-浅間峠-上川乗
  • 奥多摩
  • 東京都
  • 万六ノ頭(883m), 連行峰(1003m), 生藤山(990m), 熊倉山(966m), トヤド浅間(831m)
  • 2011年12月24日(土)
  • 13.3km
  • 5時間40分
  • 666m(柏木野-連行峰)
  • -
  • -
  • 中央線、青梅線、西東京バス
天気1

 

地図
2011年12月24日(土)
新宿駅 5:38
  中央線
6:16 立川駅 6:30
  青梅五日市線
6:59 武蔵五日市駅 7:10
  西東京バス
7:45 柏木野
8:30   尾根上
9:00   万六ノ頭 9:05
10:05   連行峰 10:15
10:40   生藤山 10:45
10:50   三国山 11:35
11:50   軍刀利山 11:55
12:40   栗坂峠
12:55   浅間峠 13:05
13:40   トヤド浅間 13:45
14:42 上川乗
  西東京バス
15:18 武蔵五日市駅 15:22
  青梅五日市線
15:39 拝島駅 15:50
  中央線
青梅特快
16:28 新宿駅

 

檜原村の南郷から、弧を描くように伸びる万六尾根に万六ノ頭があるが、登山道は西側を巻いている。クリスマス寒波が日本中を覆ったこの日、稜線伝いに登って初めてこのピークを踏んだ。


冬枯れの登山道

半端でなく寒そうなので、高い山に登る服装で行く。武蔵五日市駅からのバスは登山者が10名ほど。柏木野で下車する。20メートルほど先にある指導標に従い、民家の間をすり抜けて秋川沿いに下る。橋を渡ってすぐに杉林下の登山道が始まる。始めからジグザグの急登だが地面は柔らかく、足には優しい。寒いので温まろうと思って早足になる。

植林帯の登りは単調なところが多い。普通ならお地蔵さんとかユニークな標識とかが曲がり角などにあって単調さを補ってくれるが、ここは見事に何もない。足元を見つめながら黙々と高度を稼ぐ。ただひとつ、足元にシモバシラが見られる。寒い冬のごほうびであろうか。
1時間弱で尾根に上がる。ようやく自然林を見て、左に伸びる尾根を絡めて登っていく。

シモバシラ(柏木野からの登りにて)


シモバシラ

万六ノ頭

万六ノ頭付近の稜線は背の低い笹で覆われている


笹の道

連行峰手前付近は両側に笹の茂る道。奥多摩らしい雰囲気


雑木林の明るい道

登山道の脇には、地元の財団法人の所有地であることを示す標識が、あちこちに立っている。奥多摩のみならず南関東の山、登山道はかなりの部分が人様の土地につけられており、次いで国や自治体の敷地であることが多い。林業や製紙会社などの所有物であったり、長沢背稜の登山道のように東京都の水源林道でを登山道として利用している例もある。考えてみれば、誰のものでもない土地なんていうのがあるほうがおかしい。
やっかいなのは個人の私有地である登山道である。そうした場合、登山道の整備や補修は誰が責任を持って行うのか、考え物である。両神山の登山道は、その問題が元で所有者と国が衝突し、その結果登山道が閉鎖されてしまった。

平坦もしくは緩やかな道が続く。左手にちょっとしたピークがあり、登山道はこれを巻いている。これが万六ノ頭だろう。登山道を外し、テープに従って尾根伝いに進む。自然林の急斜面は踏み跡がほとんどないが、構わず這い上がるように登っていく。やがてピークに出る。奥多摩ではおなじみの山名標識。万六ノ頭と書かれていた。樹林に囲まれているが葉を落としているので、見通しはいい。生藤山の稜線の上に、白い富士山が頭を出していた。

なお、万六ノ頭のピークから北~北西方向に尾根が下りていて、テープもついている。柏木野方面へ下れる道がありそうだ。地形図と照らし合わせると、先ほど上がってきた植林の道から、この尾根が派生しているようにも見える。どこかに分岐があったのだろうか、気づかなかった。

万六ノ頭から稜線を行く。すぐに同じようなピークがあって、その後緩やかに下っていく。膝下くらいの笹で覆われている。万六尾根は元来笹の多い道で、標高の割には山深く距離もある。過去には遭難事故もあったところだ。ここ数年で奥多摩の高い山では、スズタケがことごとく枯れてしまった。笹が枯れるということは山の険しさを増す要素がひとつ減るわけで、安全という意味ではいいことだが、山歩きの楽しみは減じてしまう。もともと奥多摩の山は笹をかきわけ歩くところが多く、それが奥多摩の山の楽しさのひとつでもあったのだ。

正規の登山道に戻る。しばらくは登りもなく楽であるが、片側が檜林であることが多く、日が差しにくいので思いのほか寒い。ひとしきりの急登のあと、再び平坦な道へ。ほんの時たま、樹林の切れ間から都心方面のビル群が見える。高い塔のようなものはスカイツリーであろうか。また、キラキラ光る相模湾も覗いている。

生藤山山頂は周囲の樹林の背が伸び、葉の落ちる冬でも眺めが悪くなってしまった


樹林の頂

三国山からは扇山、三ツ峠など南西方面の眺望が広がる


展望

小さい標識のある地点からトヤド浅間への踏み跡に入る


「山頂難路」

落ち葉に敷き詰められたトヤド浅間山頂。三等三角点がある


三角点

崩壊気味のヤセ尾根を経て一気に高度を上げる。両側が背丈ほどの笹の道となって、もうひとつ急な登りをこなすと、連行峰(れんぎょうみね)のピークに着いた。登山道の途中に山頂標識があるような地味な所だが、ここは秩父・奥多摩の長大な山稜の東端で、関東平野に没する手前の最後の1000m峰である。高尾山稜とも接続していて、そちら方向から登山者が数名、縦走してきた。

小憩の後、尾根道を西進する。自然林が清々しい。このあたりはもう私有地ではなく、関東ふれあいの道として自治体による管理となっている。遠く南アルプスの赤石岳あたりが白い姿を見せていた。富士山は大きな雲がかかり始めている。

茅丸は巻いて南に面した明るい山腹道を行く。生藤山への道に入ると岩場の登りとなる。自然林の中を歩いて生藤山(しょうとうざん)山頂に着く。1999年の初訪以来、今日が10度めの登頂となるが、周囲の樹林の成長で来るたびに眺めが悪くなり、ついに今回は樹林の中の山頂と化していた。数年前までは、富士山や丹沢の山がパノラマで眺められたのだが。昼休憩はこの先の三国山(さんごくやま)でとることにした。

緩く下って三国山。ここの展望のよさは変わらない。三ツ峠や扇山など中央線沿線・御坂の山。南アルプスがよく見える。ただ、富士山は完全に雲の餌食になってしまった。冬型の気圧配置だと南関東の山の天気はよくなるのが一般的だが、あまりにも冬型が強い場合は、必ずしもそうでなくなる。日本海側に多量の雪を降らせた季節風が、北関東や中部山岳を越えてからっ風となって関東地方にやってくるが、それがさらに太平洋に達したときに、再び海水を巻き上げ雲を発生させる。その結果、丹沢や伊豆など、海に近い山地の天候が悪化し、富士山にも影響する。

食事の後、尾根歩きを再開する。軍刀利(ぐんたり)神社元社の立つピークも眺めがいいので、大休止はここでもいい。ここからは小さなアップダウンが続く。頭上に雲も現れ始めた。軍刀利山熊倉山と越えていくと植林も出てくるが、明るい尾根道が続く。朝からずっと着ていたジャンパーをようやく脱ぐ。

平坦地に下りたところが栗坂峠で、小伏への道が下っている。さらに小さな登り下りを経て、あずまやのある浅間峠となる。宮内敏雄著「奥多摩」に掲載してある図では、さっきの栗坂峠のところにカッコ書きで浅間峠と書かれているので、少なくとも戦前以降、浅間峠がここに移動してきたようである。

上川乗への下山路に入るが、今から下山してしまうと1時間以上のバス待ち時間が出来てしまうので、トヤド浅間(せんげん)に寄っていくことにした。国道から近いところにある山なのだが、今回初めて登る。ここから尾根伝いに行くことができるらしい。右手にトヤド浅間を示す小さな標識がある。「山頂難路」と書かれていた。
少し高みに上がるとそのトヤド浅間らしき丸い山体が見えた。一般的な登山道ではなく踏み跡程度で、笹が被るところも会った。15分ほど下り気味に歩いて、かなりの斜度の登り返しとなった。ここはかなりきつい。山頂難路とはこの急坂のことを指していたのか。トヤド浅間の山頂は、三等三角点がある、樹林の中の静かな場所だった。

このまま車道に直接下る道はわかりにくそうだったので、安全を考え来た道を戻ることにする。正規の登山道に戻って上川乗へ下山する。
社を見てからは道はよくなるが、ジグザグの下りは意外と時間がかかった。上川乗に下山したのは、結局バスの時間ギリギリになってしまった。