~果てしなく続く東京都最高峰への道~
タイトル

2005年5月4日(水)~5日(木)

奥多摩駅-三ノ木戸山-六ツ石山-城山-水根山-鷹ノ巣山-日蔭名栗ノ峰-高丸山-千本ツツジ-七ツ石山-小雲取山-雲取山-鴨沢

マップ
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日蔭名栗ノ峰から鷹ノ巣山
日蔭名栗ノ峰から鷹ノ巣山
カラマツの芽吹き
カラマツの花
千本ツツジ付近から
千本ツツジ付近から

●五十人平テント場へ
避難小屋まで下りて水を補給しに行く。石尾根はこれから先、比較的大きなピークがいくつも続いている。巻き道もあるが今回はご無用。
すぐに日蔭名栗ノ峰への登りだ。傾斜はきつい。足元にはマルバダケブキの葉が、もうすでに出始めている。盛夏にはこの葉で埋め尽くされてしまう場所だ。

ピーク手前に広々としたカヤトの原があって、休むのにいい。山々の眺めは鷹ノ巣山のそれと大差ないが、下のほうに奥多摩湖が見えるのが違う。
そして鷹ノ巣山そのものの眺めもここ日蔭名栗ノ峰(1725m)からの展望のポイントだ。本来の頂上は草原からさらに5分ほど上ったところにある。

高丸山へはいったん下る。登山者がすれ違うたびに、土煙りが上がる。ここのところ雨が降らず、地面は乾ききっているようだ。
地形図で両峰間を見ると、それほど高度は下げずすぐに次のピークを踏めそうに思えるが、高丸山(1733m)直下の急登は短いながらもしんどい。休み休みピークに至る。展望は日蔭名栗ノ峰のほうがいい。
しかし両峰とも、山頂に山名標識が見当たらない。以前日蔭名栗ノ峰に登ったときは、たしかに木にかけられていたはずなのに。

空は雲が支配し始めてきた。きつい登りは今日のところはもうない。なだらかな広い尾根を登り、次のピーク、千本ツツジ(1704m)に至る。
晴れた冬の日はここからの富士山は美しい。6年前、最初に石尾根から富士山を眺めたのはこのピークでだった。

千本ツツジから少し先に進んだところでも展望が大きく開ける。鷹ノ巣山からなどと同じ角度ではあるが、ここからの眺めは少し寂しさを感じる。
また、今の時期では、ツツジの花が咲いているのは1本もない。6月に入ってからだろう。

今日最後のピーク、七ツ石山(1757m)を越える。高度も上がって少し肌寒くなって来た。
もう3時だが登山者は次から次へと登って来る。軽装が多いので、七ツ石小屋泊まりで山頂を往復して来ているのかもしれない。富士山はもう霞んでしまったが、広い展望の中小憩する。
五十人平テント場
五十人平テント場

ブナ坂に下り広い防火帯を進む。マルバダケブキの葉やスミレが咲く。3つの小さなコブを越え、雲取山と小雲取山を望むヘリポートに至る。奥多摩小屋前の五十人平テント場はこの先だ。

小屋でテント申し込みをしてビールを購入。久しぶりのテント設営をする。小虫がいっぱいテントの面に張り付いてわずらわしい。
山の地面に背中をつけて寝るのは久しぶりだ。この感触はテント泊をする人でないとわからないだろう。
行動時間9時間、歩行7時間の長い1日が終わった。

●GWの雲取山登頂
次の日、空は青いが周囲の山は朝から霞んでいる。富士山も見えていない。
ヨモギの頭を越え、静かな針葉樹林の中をゆっくり進む。小雲取山の肩に登りつく。

小雲取山
小雲取山
雲取山頂上付近
雲取山頂上付近
「今日は祭日」奥多摩小屋
「今日は祭日」奥多摩小屋

目の前の高みが小雲取山(1937m)のピークだが、今まで一度も上がってみたことがなかった。今日は初めてピークを踏むことにする。山名板が木に掲げられていた。

雲取山はもう目と鼻の先。小雲取山との標高差が80mもあるように思えないが、数字上はそうなっているのだ。
1年2ヶ月ぶりの雲取山頂上(2017m)からは、富士山以外はよく見える。山の朝の空気をいっぱい吸う。

山頂から下るあたりで、昨日の青年がやってきた。初めて「どこまで?」と聞く。なんと瑞牆山まで縦走するそうだ。自分は昨日時点で、今回の目的はほぼ達成していたのに、彼にとってはほんのスタートだったのだ。
しかし、5泊は必要なテント山行の出だしに、石尾根を登るとは素晴らしい。彼の心意気こそ山登りの原点だと思う。頑張ってと思わずエールを送る。

富田新道寄りの巻き道を下り、テント場に戻る。下山は鴨沢への最短コースとする。
七ツ石小屋分岐あたりから、周囲に木々には新緑の装いが戻る。気温も上がり春の空気になる。高度100~200m間を行き来するだけでひと季節分タイムスリップしてしまう、春の山は不思議な場所だ。

堂所小袖の廃屋を過ぎて鴨沢バス停に下りる。臨時バスがジャストタイミングで来た。

奥多摩駅近くで地元のおばさんと少し話す。最近、下山後によくおばさんに話しかけられる。
「山は寒くなかった?私の知り合いの息子さんも登ってるんですよ。」「一人では危ないからなるべくグループで登ってね」
一人歩きはたしかに危険が伴うが、重い荷物を背負ってただひたすらに登ることに集中する、こういう山行こそ1人で行きたいのだ。
しかし何か事を起こして、地元の人に迷惑はかけられない。今のような山行スタイルを、いつまでも続けていくわけにはいかないだろう、そんなことを考えながら奥多摩駅に向かう。


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