鴨沢から雲取山・七ツ石山
2003.1.12.~13. 鴨沢-ブナ坂-雲取山- 七ツ石山-浅間尾根-峰谷 |
●夕映えの雲取山へ 奥多摩駅から丹波行きのバスは登山者で満員だ。 20名ほどが鴨沢で下りる。民家の屋根に雪が積もっている程度だが、丹波川の水面は一部氷が張っている。 バス停から小袖乗越までの植林帯はところどころ凍結している。しかし何とか滑らずに通過する。小袖乗越では数人の登山者がアイゼンを付けていて、自分もここで装着する。 堂所、七ツ石山分岐と完全凍結箇所は無いが、シャーベット状の雪で滑りやすい箇所が多い。片倉谷側は自然林で、日当たりがいい場所では土が露出している。 ブナ坂でアイゼンを外す。石尾根の積雪は30cmほどだが、やはり真南に面した斜面の雪は消えているところもある。 まさに1点の雲りもない快晴で、気温も高い。富士山も逆光ながら全貌を見せている。 トレースはしっかりついていて歩きやすい。しかし何しろ今日は一眼レフと中判カメラの2台、三脚をザックに詰め込んで来てしまった。山荘泊まりでシュラフなどは無いのに背中がズシンと重く歩みがはかどらない。 奥多摩小屋、小雲取山の肩あたりになるとさすがに寒くなる。背後にどんどん広がる展望に励まされ、ダブルストックを駆使して雲取山頂に這い上がる。時刻はちょうど4時。山肌を照らす陽光は早くも赤らみ始めている。 1月は1年のうちでも最も日の短い月だが、雲取山山頂からの展望はこの時期が一番いい。 朝は石尾根の真上から日が昇り、夕方は南アルプスに日が沈む。山岳展望ソフト「カシミール3D」によればこの日は16時48分ころ、塩見岳と悪沢岳の間に夕日が沈むはずだ。
日が傾くにつれ気温は急降下。マイナス5度を切って来た。寒さをひたすらこらえながら真っ赤な夕日をカメラに収める。 南アルプスの稜線に太陽がかかり始めると、あっという間に日が沈んだ。あまりの早さに、回りの人といっしょに驚きの声を上げる。太陽は動いているものなのだと実感する(実は地球が自転しているということなのだが)。 この時間に山頂にいる5人ほどの人は、おそらくみんな避難小屋泊まりだろう。自分はこれから雲取山荘まで20分ほどの下りだ。日も落ち、もうのんびりしていられない。 下るほどに、原生林の中の登山道はみるみるうちに闇に包まれていく。積雪は50cm以上だ。灯りのともる山荘には5時過ぎの到着となった。
●湧き上がる峰々 2日目、朝食はとらずヘッドランプとアイゼンを付けて朝6時に山荘を出る。東の空がかすかに白んできている。 登り出すとガスが出始める。上のほうは猛烈な風が吹いているようだ。 30分かけて再び雲取山頂へ。ガスで何も見えず。しかし風もガスをかなたに吹き飛ばすほどに強烈で、凍てつく寒さではあるがしばらく待てば晴れて来そうである。ただ、ご来光は無理のようだ。 避難小屋の前でお湯を沸かしながらガスが飛ぶのを待つ。 待つこと40分あまり、青空が見え始める。石尾根の上に白い太陽が見え隠れする。奥多摩の山々が突然湧き上がる。南には雲海の上に富士山が見えて来た。雲取山頂付近の樹林は霧氷をまとい、奥秩父山塊・大菩薩嶺とも頭に雲を乗せている。 8時近くになって風も止んだ。目の前には何事も無かったかのように、真っ青な空と雪山のおだやかな風景があるのみ。 朝の固く締まった雪は、アイゼンが効いて実に心地よい。石尾根を縦走したかったが出発の時間が遅くなり、さらに荷物の重さにもめげていたこともあって、今日は七ツ石山に登ったあと、鷹ノ巣山避難小屋から峰谷に下りることにした。 昨日、今日とピッケルを持った登山者が多い。石尾根周辺は氷結している場所はなかったのだが、別の道はどうかわからない。やはり今年の冬は気温が低く、場所によってはいつも通りの装備では苦渋することもあるかもしれない。 さらに、雲取山頂から見た今年の奥多摩の山は、樹林帯でもけっこう下部のほうまで雪が積もっており、昨年まで見ていた表情とは少し違う。雪国の山という印象がある。 下山した峰谷集落もまだかなり雪が残っていた。 |