~長い尾根を歩いて展望の頂へ~ こんぴらおねからひのでやま(902m) 2009年1月25日(日)快晴
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奥多摩の主要な登山道で歩いていないのがまだ3つある。今回そのうちのひとつ、日ノ出山に通じる金比羅尾根を歩いた。残りの2つは孫惣谷林道と倉掛尾根である(どこだかわからない人は地図を広げて探してみてください)。 金比羅尾根コースは、武蔵五日市駅から少しの車道歩きで取り付ける。しかし植林が多いとのことで後回しになっていた。長いコースなので普通は下りに使うことが多いようで、あまのじゃくな自分は、歩くなら登りだと思っていた。 五日市線が武蔵五日市駅に近づくと周囲の丘陵や山は軒並み、薄く白い衣をまとっていた。八王子や奥多摩は前の日に雪となった。 秋川街道を少し歩き、五日市高校バス停の手前の角を右折する。高校の校舎とグランドの間についた道を歩き、農道の先が登山口となる。民家の屋根も田畑も山も、みな白い。 白くなった山村の朝は、おごそかな空気が流れている。世の中の汚い、いやなことを雪の白さがすべて包み隠してくれるようだ。雪は人の心を穏やかにする作用がある。架空請求詐欺や通り魔事件など、やるせない都市型犯罪が最近多発しているのも、東京都心部に雪がさっぱり降らなくなったのが原因のひとつなのではないかと思う。 スパッツをつけて、林道のような幅広の道を緩く登っていく。金比羅尾根の下部は雑木林の多い、遊歩道のような道が続いている。ところどころ眺めの効くところにはベンチがあり、またツツジなども植えられていて花の時期はなかなか楽しめるだろう。 金比羅神社の手前まで来ると、秋川沿いの家並みが見下ろせた。臼杵山など戸倉の山並みが朝日を受け白さを際立たせている。
その先は長い植林下の道が続く。金比羅山(468m)の頂上は知らぬ間に通り過ぎてしまったようだ。木の向こうに大岳山やサルギ尾根の起伏が見られるものの、総じて単調な行程だ。金比羅神社までは日差したっぷりで汗もうっすらにじむほどだったが、その汗も引っ込み、少し早足で歩かないと肌寒さを感じるほどになる。 時折そよぐ風に乗って、木の枝の雪が細かく舞う。木の間から差し込む日差しを受け、それがキラキラと輝く。 右手が少し開け、支尾根が合流してくる。幸神へ下る尾根道らしいが、地形図を見てもそのような地名は見当たらない。足元は数センチの積雪となる。そのうち進む先に端正なピークが見えてきた。麻生山のようだ。 麻生山は「奥多摩150山」のうちの一峰で、まだ登ったことがないので頂上を踏んでおきたい。しかしピークへの取り付きを知らぬ間に通り過ぎ、いつの間にか肝要分岐まで来てしまった。尾根筋を戻るように辿り、麻生山のピーク(794m)に着く。植林の中の地味な場所だった。 肝要分岐まで戻り、日ノ出山を目指す。どんどん高度を上げていくと、つるつる温泉からの道と合流、さらに御岳山への巻き道も合わさる。人の話し声が聞こえ始める。すでに日ノ出山のエリアに入ったということだ。新しい日帰り温泉の「瀬音の湯」を示す標識もたくさん見られる。 雪のついた斜面をひと踏ん張り、木の階段を登っていくと日ノ出山頂上に着く。武蔵五日市駅から3時間45分、やはり長い道のりだった。
木が生えてはいるものの、展望はほぼ全方位だ。石尾根の山は白く、さらに遠く日光の山まで遠望できる。 南に目を転じると丹沢山塊、そして富士山の白い頂上部が覗いていた。ほんの先っぽだけしか見えないが、日ノ出山から富士山が見えるとは、いままで知らなかった。 東側には関東平野が大パノラマで眺められる。登山者も大方はベンチのある東側の斜面に座り、眺めを楽しんでいる。 それにしても人が次から次へと登ってくる。日ノ出山は今の時期から春先あたりまで、特に人気の山になる。特に3月中旬ごろは麓の吉野梅郷からのコースが賑わうようだ。 今日は久しぶりにコンロを持ってきたので、うどんに餅を入れてぐつぐつ煮込んで食べる。 日ノ出山からは御岳山方面に向かって尾根道を歩く。大塚山に行く前に、今日は御岳神社(929m)に立ち寄る。山歩きの格好でない人も多い。路面には雪が広く薄く残っており、みな慎重に歩を進めている。神社の境内からも関東平野方面の広い展望が得られた。 富士峰園地を経て大塚山へ。木の芽が生育しているが花はまだだ。大塚山(920m)からは石尾根の山々や大菩薩嶺、黒川鶏冠山が木の間から望めた。奥多摩の山に本格的に雪が積もるのは、むしろこれから3月あたりまでだ。これから来るたびごとに山の白さは増していることだろう。 下山は丹三郎尾根を使う。大塚山は隣りの鉄五郎新道をよく歩くので、この尾根はあまり使ったことはなく、もう10年近く前に一度歩いたきりだ。上部は豊かな自然林だが、植林帯に入ってからは単調な行程となる。 丹三郎尾根を下りきり、動物除けの金網を開けると登山口となる。トイレ(ウォシュレット付き)と休憩舎があった。 丹三郎(集落の名前)や古里地区には雪はほとんどない。今日のうちにほぼ溶けてしまったようだ。 車道を辿り、古里駅から青梅線で帰京する。 |