-倒木を越え残雪を踏み-
鳩ノ巣駅-川苔山-赤杭尾根-古里駅
奥多摩
東京都
川苔山(1364m)、赤久奈山(924m)
2010年3月14日(日) 快晴
12.1km
歩行時間 6時間20分
1048m(鳩ノ巣駅-川苔山)
中央線、青梅線
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2010年3月14日(日)
代々木駅 5:44
中央線
6:29 立川駅 6:39
青梅線
7:41 鳩ノ巣駅 7:45
8:35 大根ノ山ノ神 8:40
10:05 大ダワ分岐
10:45 舟井戸ノコル
11:05 東の肩
11:13 川苔山 12:10
13:25 林道
13:55 赤久奈山 14:10
14:40 川井駅分岐
15:05 尾根下降点 15:10
15:15 古里登山口 15:20
15:30 古里駅 16:14
青梅線
16:39 青梅駅 16:43
青梅線快速
17:46 新宿駅


奥多摩町


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一昨日に登った景信山も、昨日の暖かさで雪はかなり溶けたようだ。標高の高い奥多摩はどうだろうか。
川苔山の登山道の中でも、歩いた回数がそう多くないコースを、今回は登降路とした。鳩ノ巣駅から登り古里駅へ下る、効率のよいコースである。

青梅線の車窓から望む奥多摩の山には、それほど雪が残っていないように見える。ただ登山道は樹林で隠されているので、標高の高い部分では雪道になっていると考えるのが普通だろう。鳩ノ巣駅で降りる前に、スパッツを装着しておく。
鳩ノ巣駅の前には葬儀場があり、喪服の人が行き来している。その前を通って踏み切りを渡り、棚沢地区の里道を緩く上がっていく。


鳩ノ巣駅からのコースは無数の倒木があった

民家の庭には梅が咲き誇り、あたりは早春のうららかな空気に包まれている。振り返ると鳩ノ巣城山の尖がった三角形が黒のシルエットを形作っている。

最上段の家の脇から登山道は始まる。入口にスミレが一輪咲いていた。植林下の登山道は、初めのうちはまだ日が差している部分も多く、雪はほとんど見られない。少し高度を上げると路肩にわずか残るようになった。
大根ノ山ノ神の祠の脇にはその名の通り、根張りのしっかりした杉の大木が2本、スックと立っている。

棚沢集落
大根ノ山ノ神
登山道の通行不能
気持ちよい雪道
川苔山頂上
雲取山

やがて道は尾根上の急登になる。植林帯であることに変わりはないが、尾根状になったせいか、登山道に倒木の影響は少な山ノ神からはしばらく平坦な道となる。残雪がいくぶんか増えてきた。山側が杉・檜の植林の斜面に来るとにわかに倒木が増える。登山道の上に覆いかぶさるように倒れているので、乗り越えたりくぐったり、あるいは退避路を通ったり、なかなか重労働である。

進むにつれて倒木は増えてくる。そして枯れ沢を木の桟橋でまたぐ箇所にくると、倒木で登山道が大規模に崩壊していた。桟橋はひしゃげている。登山道の通行は不可能に近い。
先行していた2名の登山者が、脇の急斜面に踏み跡を見つけて登っていくので、自分も後に続く。崖のようになっていてちょっと危険ではあるが、ここしか通れるところがない。

それにしても倒木でこんなに登山道がダメージを受けているのも初めて見た。ある意味、台風以上である。これはもちろん先日の雪(霙とも氷雨とも)や強風によるものだろう。常緑樹である杉や檜は枝葉に多量の氷が付着して、その重量に耐え切れず倒れてしまった。
あるものは根っこからもぎ取られるように、またあるものは地表から1メートルくらいのところからひねるような格好で折れている。むきだしになった樹皮はそれこそ雪のように白く、プラスチックの棒が転がっているように見える。

さらに登り、大ダワ・本仁田山への分岐を過ぎるあたりから足元はシャーベット状の雪が増え、非常に歩きにくくなる。1歩登るたびに、歩幅の4分の1くらいズズズと足がずり落ちてしまう。思った以上に時間がかかっている。
植林を脱したところが舟井戸ノコル。一面白い雪に覆われているが日差しが強く、人が歩く場所は泥雪になっている。しかしここから先は気持ちよい青空の下。上に見える川苔山頂めざして足取りは少し軽くなる。

東の肩に出ると、とたんに人通りが多くなった。川苔谷からの人が多いようだ。
鳩ノ巣や古里駅からのコースは地味だが危険箇所が少ないので、今の季節は中高年ハイカーの手頃なコースであると思うが、人はそれほど多くなかった。むしろガイド本の影響なのか、季節に関係なく川苔谷コースがよく使われているようだ。こちらは沢沿いの道や、滝周辺の岩場の凍結がちょっと恐いので冬場は難しくなる。

稜線から
林道が横切る
早春の日差しが注ぐ
里道を歩く

川苔山頂上に到着。時間がかかったがまだ富士山も見えてくれていた。

雲取山や鷹ノ巣山、天祖山、三ツドッケなど、ここは奥多摩の山々を見渡すのにいい展望台である。どの山の斜面も白い部分が多く、見た目には奥多摩の山の春はまだまだ先のように映るが、さんさんと降り注ぐ日の光には、つい1ヶ月ほど前とは比べものにならない強さがある。

古里駅への下山路は赤杭(あかぐな)尾根である。東の肩からさらに稜線を緩く登ったあたりが曲ヶ谷北峰。右折してアシビの茂ったヤセ尾根を下る。
赤杭尾根は、鳩ノ巣コースに比べると尾根を歩く部分が多いので、倒木に悩まされることはなさそうだ。その代わり上部は残雪が多い。あまり人が歩いていないようで、足跡がそのまま深さ30cmくらいの穴になってしまっている。自分の足をその穴にはめていくよりも、下りだから雪を踏み蹴っていったほうが足への負担も少なくていい。

日当たりのよい場所は雪がなくなっているが、エビ小屋山下から東の支尾根に移り歩くようになると、また一面の薄雪である。さらに下っていくとビニールテープで迂回路の方向を示している。以前から赤杭尾根の下部で造られていた林道が、ついに登山道を乗っ越してしまった。そのため登山コースも若干書き直されているようである。
登山道と林道との交差は2箇所、何だか秩父の里近い低山の雰囲気になってしまった。このあたりは御前山のカタクリ自生地とほぼ同標高で、アズマイチゲやハシリドコロ、ヤマエンゴサクなど春の山野草が多く咲く場所である。カタクリももちろん咲く。よりによってここが削られてしまったのは残念である。

赤久奈山で小休憩のあと、雪の消えつつある道をどんどん下る。川井駅への道を分けた先、斜面をトラバースする箇所は路肩が弱く、このコース唯一の難所である。落ち葉と残雪のミックスに足を取られないよう慎重に歩を進める。
高度を下げると、少し倒木が出てきた。古里の住宅地に下り着いたところで、タチツボスミレがいくつも見られた。うららかな午後の日を浴びながら、古里駅目指して里道を下る。